『ソロモンの指環』3

<『ソロモンの指環』3>
図書館に予約していた『ソロモンの指環』という本を、待つこと5日でゲットしたのです。
「BOOK」データベースがこの本を「永遠の名作」と讃えているが・・・さて、如何なるものか♪


【ソロモンの指環】


コンラート・ローレンツ著、早川書房、2006年刊

<「BOOK」データベース>より
孵卵器のなかでハイイロガンのヒナが孵った。小さな綿毛のかたまりのような彼女は大きな黒い目で、見守る私を見つめ返した。私がちょっと動いて話しかけたとたん、ガンのヒナも私にあいさつした。こうして彼女の最初のあいさつを「解発」してしまったばかりに、私はこのヒナに母親として認知され、彼女を育てあげるという途方もない義務を背負わされたのだが、それはなんと素晴らしく、愉しい義務だったことか…「刷り込み」理論を提唱し、動物行動学をうちたてた功績でノーベル賞を受賞したローレンツ博士が、溢れんばかりの喜びと共感をもって、研究・観察の対象にして愛すべき友である動物たちの生態を描く、永遠の名作。

<読む前の大使寸評>
「BOOK」データベースがこの本を「永遠の名作」と讃えているが・・・さて、如何なるものか♪

<図書館予約:(9/03予約、9/08受取)>

rakutenソロモンの指環

ローレンツ博士とガンたち


10羽のハイイロガンとの生活について、見てみましょう。
p157~159
<ガンの子マルティナ>
 ガンと暮らした最初の夏、私は信じられぬほど多くの時間をこの10羽の子ガンたちとともに費やし、信じられぬほど多くのことを彼らから学んだ。はだかになり野生にかえって、野生のガンたちの群れの社会にとけこみ、ドナウの堤で歩きまわったり泳いだりするのが、私の研究の本質的な部分を占めている。なんと幸福な科学だろう。

 私はきわめてものぐさな人間だ。だから私には実験家より観察家がはるかにむいている。ほんとうに私が生来の傾向に反して仕事をするのは、カントの至上命令のようにきびしい強制があるときにかぎる。野生生活の動物たちを相手とするこのような純観察家的な生活と研究のすばらしい点は、動物たち自体もおどろくほどものぐさだということにある。
 真の文化をもつひまさえない現代文明人の少々ばかげた忙しさは、動物にはまったく縁がない。勤勉の象徴であるミツバチやアリでさえ、1日の大部分をなにもせずにすごす。ただ人間にはそれが見えないだけだ。この偽善者たっときたら、巣にもどってすわったえあ、もう何一つ仕事はしない。そして動物たちは、けっしてあくせくしない。

 ガンを知りたければ、彼らといっしょに生活をしなければならない。そして彼らと生活をともにしたければ、かれらの生活のテンポに適応しなければならない。生れながらにしてものぐさでない人間には、とうていそんなことはできない。体質的に活発で勤勉な人は、私がやってきたように、一夏じゅうガンたちの中でガンになりきって生活せよといわれたら、きっと気が狂ってしまうだろう。

 少なくとも1日の半分は、ガンたちはじっとすわりこんで腹ごなしをしている。残りの半日のうち、少なく見積もっても四分の三を、彼らは餌あさりに費やす。餌あさりと腹ごなしの間にはさまった時間に、観察すべき活動がみられるのだが、この時間たるやぜんぶあわせても、ガンが目を覚ましている日中の時間のせいぜい八分の一に達するかどうかである。もし1日のこの八分の一の間にすることがそれほど興味あるものでなかったら、ガンなどはおよそ退屈千万な畜生だということになろう。

 ガンの群れをつれてドナウの河岸を歩きまわってみたまえ。まったく良心の呵責なしに、なまけていることができる。なぜなら1日の八分の七を、ひなたにねそべってすごせるからだ。フィルムを入れ、セットして、すぐシャッターのきれるカメラさえぶらさげていればよい。しかも鳥たちの動きにたえず気をくばっている必用もない。訓練した耳さえもっていれば、鳥たちがそろそろ起きだすか餌あさりをやめるかして、もっとおもしろいもののほうへ移ろうとするときには、彼らの気分表現の鳴き声ですぐそれとわかるからである。

 もちろんガンがまだ小さく、しかもその人にしっかりなっている場合には、ただ呼び声だけでガンを向こうへ追いやったり、自分についてこさせたりできる。また、ハイイロガンの表現声を知っていて、かついくぶんでもそれをまねることができるならば、もはやそう無条件には人にくっついてこないおとなのガンの群れにたいしても、ある場所からたちのかせたり、飛び立たせたり、そのほかいろいろなことをさせることができる。

 けれどもそのような指示を与えるときは、十分に注意深く、かつほどほどにやらなくてはならない。つまりヒナをつれた親ガンがする以上に、そのような指示を与えてはならない。小さなガンのヒナたちは、十分な休息を与えないと、肉体的にも心理的にも、すぐ疲れ果ててしまうのである。


『ソロモンの指環』2:マルティナの世話
『ソロモンの指環』1:ガン類の刷り込み

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