(文化の扉)多和田文学、ふわり越境

<(文化の扉)多和田文学、ふわり越境>
デジタル朝日が「日独2言語で/言葉遊びとユーモアと」と説いているので、紹介します。
この記事を紙媒体でスクラップしたのだが、電子媒体でも保存するところが、いかにも老人であるなあ。


(この記事を6/24デジタル朝日から転記しました)


ドイツ在住の作家、多和田葉子が世界的に注目を集めている。日本、ドイツ、米国で権威ある文学賞を受けてきた。作風は前衛的で国境や言語にとらわれないコスモポリタン。と同時に、日本語の魅力を追究した日本文学である。

 多和田葉子は大学卒業後、22歳でハンブルクに移住した。現在はベルリンに暮らす。日本語とドイツ語の両方で、小説や詩を発表してきた。日本では芥川賞、谷崎潤一郎賞、野間文芸賞といった純文学の大きな賞を次々に受賞。ドイツではクライスト賞を受け、独特の文体が評価された。いま、世界で活躍する日本人作家のひとりだ。

 昨秋には英語版の「献灯使」が米国の権威ある文学賞、全米図書賞の翻訳文学部門を受賞した。大災厄の後に鎖国を選んだ近未来の「日本」が舞台。訳者の満谷マーガレットさんは、「受賞作は震災後の汚染された日本を描く。決して日本だけの問題ではない。全米図書賞という重要な賞を受けたことでこの作品が世界で広く読まれ、受け止められる、その意義は大きいと思う」と話す。

 100歳を超えても頑丈な老人たちが社会を支え、子どもは弱くて歩けない。「彼女のファンタジーは現実に根ざしているから力がある」と満谷さん。深刻な物語だが、ユーモアに包まれ、読後感は朗らか。理由の一つに多和田作品の特徴である言葉遊びがある。「献灯使」では「みどりの日」があるなら「赤の日」も、と休日が際限なく増えていく。すたれてきた性交を奨励する「枕の日」、「インターネットがなくなった日を祝うのは「御婦裸淫の日」だ。

    *

 「何をするのにもわたしは言語を羅針盤にして進む方向を決める」。エッセー集「言葉と歩く日記」に書いた。言葉は遊び相手であり、新しい道への案内人だ。ベルリンの通りを歩き、思索する「百年の散歩」、あなたと呼ばれる主人公が世界の都市で奇妙な出会いを重ねる「容疑者の夜行列車」。「雲をつかむ話」は挿話がふわふわと移り飛ぶ。登場人物は国家や社会の規範から、国境や言語の壁から自由だ。

 作家自身、日本とベルリンの行き来だけでなく、世界各地を旅して飛び回る。各地の朗読会では言葉の不思議さをユーモアたっぷりに語り、よく笑いが起きるそうだ。

 「子どもの目を持った民俗学者」と評した紹介文もあった、と教えてくれたのはドイツ文学者で早稲田大学教授の松永美穂さん。様々な国や地域の研究者がワークショップやシンポジウムで多和田文学に言及する。比較文学、ジェンダー論、翻訳論、言語哲学、とその批評の切り口も多様だという。


(文化の扉)多和田文学、ふわり越境 日独2言語で/言葉遊びとユーモアと2019.6.24

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