『羊をめぐる冒険(上)』1

<『羊をめぐる冒険(上)』1>
積読になっていた本であるが、思い立って読みはじめたのです。

『羊をめぐる冒険』という本を図書館で借りて読んだのだが、『羊をめぐる冒険(上)』というこの本は、その前日譚のような本のようです。


【羊をめぐる冒険(上)】
羊

村上春樹著、講談社、2004年刊

<「BOOK」データベース>より
あなたのことは今でも好きよ、という言葉を残して妻が出て行った。その後広告コピーの仕事を通して、耳専門のモデルをしている二十一歳の女性が新しいガール・フレンドとなった。北海道に渡ったらしい“鼠”の手紙から、ある日羊をめぐる冒険行が始まる。新しい文学の扉をひらいた村上春樹の代表作長編。

<大使寸評>
『羊をめぐる冒険』という本を図書館で借りて読んだのだが、『羊をめぐる冒険(上)』というこの本は、その前日譚のような本のようです。

rakuten羊をめぐる冒険(上)




冒頭部分の語り口を、見てみましょう。

<奇妙な男のこと・序>
 一人の人間が習慣的に大量の酒を飲むようになるには様々な理由がある。理由は様々だが、結果は大抵同じだ。

 1973年には僕の共同経営者は楽しい酔払いだった。1976年には彼はほんの少し気むずかしい酔払いになり、そして1987年の夏には初期アルコール中毒に通じるドアの把手に不器用に手をかけていた。多くの習慣的飲酒者がそうであるように、素面の時の彼は鋭敏とは言えないにしてもまともで感じの良い人間だと考えていた。

 彼も自分自身についてそう考えていた。だから酒を飲んだ。アルコールが入ると自分がまともで感じの良い人間であるという考え方にしっくり同化できそうな気がしたからだ。
もちろんはじめのうちはそれがうまくいった。しかし時が経ち酒量が増えるにつれて、そこに微妙な誤差が生じ、微妙な誤差はやがて深い溝となった。彼のまともさと感じの良さがあまりにも先に進みすぎて、彼自身にさえ追いつけなくなってしまったのだ。よくあるケースだ。しかし大抵の人間は自分自身をよくあるケースだと考えたりはしない。鋭敏ではない人間ならなおさらだ。彼は見失ったものと再会するために、より深いアルコールの霧の中を彷徨いはじめた。そして状況は一層悪くなった。
(中略)

 僕が事務所に着いた時、彼は既にウィスキーを一杯飲んでいた。一杯で止めている限り彼はまともだったが、飲んでいることに変わりはなかった。いつかは二杯飲むようになるかもしれない。そうなれば僕はこの会社を離れて、別の仕事を探すことになるだろう。

 僕はエアコンの吹き出し口の前に立って汗を乾かしながら、女の子が持ってきてくれた冷たい麦茶を飲んだ。彼は何も言わず、僕も何も言わなかった。午後の強い日差しが幻想的なしぶきのようにリノリウムの床に降り注いでいた。眼下には公園の緑が広がり、芝生の上に寝転んでのんびりと体を焼いている人々の姿が小さく見えた。相棒はボールペンの先で左の手のひらをつついていた。

「離婚したんだって?」
「2ヶ月も前の話だぜ」と僕は窓の外に目をやったまま言った。サングラスをはずすと目が痛んだ。
「どうして離婚したんだ?」
「個人的なことだよ」
「知ってるよ」と彼は我慢強く言った。「個人的じゃない離婚なんて聞いたこともない」 
 僕は黙っていた。お互いのプライヴェートな問題に触れないことが長年にわたる我々の暗黙の了解だった。


今年5月に読んだ『羊をめぐる冒険』という本です。

【羊をめぐる冒険】


村上春樹著、講談社、1982年刊

<「BOOK」データベース>より
古書につきデータなし

<読む前の大使寸評>
おお 村上文学もこれだけ古いと速攻でゲットできるやんけ♪

<図書館予約:(5/02予約、5/06受取)>

rakuten羊をめぐる冒険
『羊をめぐる冒険』5:エピローグ
『羊をめぐる冒険』4:北海道での羊探索
『羊をめぐる冒険』3:ジェイズ・バーのあたり
『羊をめぐる冒険』2:羊の話が始まるあたり
『羊をめぐる冒険』1:「第1章 1970/11/25」の冒頭


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