『間違う力』3

<『間違う力』3>
図書館で『間違う力』という新書を、手にしたのです。
これこれ、高野さんの「間違う力」については、かねてより注目していたのです。


【間違う力】


高野秀行著、KADOKAWA、2018年刊

<「BOOK」データベース>より
人生は脇道にそれてこそ。ソマリランドに一番詳しい日本人になり、アジア納豆の研究でも第一人者となるなど、間違い転じて福となしてきたノンフィクション作家が、間違う人生の面白さを楽しく伝える!!破天荒な生き方から得られた人生訓10箇条!

<読む前の大使寸評>
これこれ、高野さんの「間違う力」については、かねてより注目していたのです。

rakuten間違う力


「第9条 奇襲に頼る」より、高野さんの戦略(間違う力)を見てみましょう。
p168~172
<奇襲はメリットが多いが、リスクも高い>
 コンゴに通ううち、「アフリカ=人の行かないところ」という初期設定は徐々に訂正されていった。
 アフリカは日本からは遠いが、ヨーロッパからはじつに近い。たとえば、フランス人はバカンスで普通にアフリカ諸国に出かける。日本人にとってのサイパンやハワイみたいな感じなのかもしれない。

 決定的だったのは、Bというフランスの人類学者に会って話を聞いたときだ。彼は当時弱冠42歳ながら、その頃まで「ピグミー」と呼ばれていたコンゴの狩猟採集民研究の世界的権威であり、京都大学の招きで来日していた。私はじつは大学進学以前から文化人類学に強く興味をもっていたのだが、オンゴへ通ううちに、京大の先生から誘われたりもして、次第に本気になっていた。

 私が人類学者になりたいというと、B先生は次のようなアドバイスをくれた。
「日本の研究者はよくやっているが、言語に弱いのが欠点だ。人類学者になりたかったら言語を勉強することだ」
 恐れ入ってしまった。京大の研究者の人たちはみんな、現地のリンガラ語を自由に駆使しているのを知っていたからだ。あれほどしゃべれてもまだまだということか。さすが世界のトップはちがうと感銘を受けた。

 ところがである。その後、京大の先生から思いかけない話を聞かされた。
 B先生は現地の言葉は何一つ話せないというのだ。
 じつは彼はフランス語で全部やっているという。コンゴの公用語はフランス語だから、学校でもフランス語だ。高校を卒業した程度の人なら、読み書きにしても会話にしても日常生活にはまったく問題ない。中には、フランス人に遜色ないくらい能力がある人もいる。

 そういう現地の優秀な人材を通訳に使い、研究対象である狩猟採集民の人たちに片っ端から訊いていくのだという。自分の母語を駆使できるのだから、どんな込み入ったことでもどんどん訊ける。私だって日本語で取材できたら、どんなに複雑な神話や親族体系についても訊けるし、狩りの手順や食料の分配につても時期やグループによってどんな差異が生まれるかなどすごい勢いで理解できるだろう。

 つまり、B先生が言った「日本人研究者は言語が弱点」というのは、「日本人はフランス語ができない」という話なのだ。
 冗談じゃないぜと言いたくなる。
 コンゴはフランス語の植民地だったから、フランス語が通じるだけだ。
 フランス人はフランス語ができて当然であり、日本人はいくら頑張ってもフランス人のレベルには達しない。現地のコンゴ人通訳のレベルだって難しいだろう。

 B先生の「欺瞞」あるいは「傲慢」を知って以来、急速に、アフリカから気が抜けていった。ついでに人類学からも気が抜けていったのだが、それは京大の大学院入試問題があまりに難しくて「こりゃとても無理」と思ったからである。考えてみれば、京大大学院なんて王道中の王道で、最初から私には無縁な場所だった。

 私はターゲットを南米に切り替えた。ことらも日本からは遠い。行く人も少なく、情報も少ない。スペイン語とポルトガル語圏というのも日本人が敬遠する理由となっている。 例によって、スペイン語とポルトガル語を少しばかり習って二度出かけた。22~24歳の頃だ。


『間違う力』2:就職しないで生きる方法を探す
『間違う力』1:高野さんの輝かしい業績

この本も高野秀行の世界R4に収めておくものとします。


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