「アパッチ族」アンソロジーR1

<「アパッチ族」アンソロジーR1>
まだ日本の文壇に、日本人SFというジャンルが形成される前だったけど・・・
小松左京の「日本アパッチ族」を読んだが、その荒唐無稽な面白さは衝撃的であった。

・・・ということで、アパッチ族絡みの小説や映画を集めてみました。

・日本三文オペラ
・さよなら小松左京
・地中の廃墟から
・SF魂
・血と骨
・夜を賭けて
・日本アパッチ族(復刻版)

R1:『日本三文オペラ』を追加、全面見直し
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<『日本三文オペラ』>
図書館に予約していた『日本三文オペラ』という文庫本を、待つこと20日ほどでゲットしたのです。
泥棒集団“アパッチ族”については、小松左京が先に出版し、当時かなり売れたことを記憶しているのです。
また、山本太郎主演で『夜を賭けて』として映画化されたアパッチ族である。
(山本太郎議員の若き日の姿が、カッコイイのである)

…ということで、かなり遅れてしまったが、開高健の描くアパッチ族が興味深いのである。


【日本三文オペラ】


開高健著、新潮社、1971年刊

<「BOOK」データベース>より
大阪の旧陸軍工廠の広大な敷地にころがっている大砲、戦車、起重機、鉄骨などの残骸。この莫大な鉄材に目をつけた泥棒集団“アパッチ族”はさっそく緻密な作戦計画をたて、一糸乱れぬ組織力を動員、警察陣を尻目に、目ざす獲物に突進する。一見徒労なエネルギーの発散のなかに宿命的な人間存在の悲しい性を発見し、ギラギラと脂ぎった描写のなかに哀愁をただよわせた快作。

<読む前の大使寸評>
泥棒集団“アパッチ族”については、小松左京が先に出版し、当時かなり売れたことを記憶しているのです。
また、山本太郎主演で『夜を賭けて』として映画化されたアパッチ族である。

…ということで、かなり遅れてしまったが、開高健の描くアパッチ族が興味深いのである。

<図書館予約:(4/30予約、5/18受取)>

amazon日本三文オペラ

『日本三文オペラ』3:川太郎(がたろ)の実態
『日本三文オペラ』2:アパッチ部落への侵入
『日本三文オペラ』1:冒頭の語り口
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【さよなら小松左京】
小松

小松左京著、徳間書店、2011年刊

<「BOOK」データベースより>
新発見の短篇小説やラジオ台本や創作ノートに鼎談・インタビュー、多種多様な友人・関係者の証言などで構成する永久保存版パーフェクトガイド。手塚治虫との貴重な対談CD付。
<大使寸評>
小松左京といえば、処女長編作品の「日本アパッチ族」の面白さが衝撃的であった。
「日本沈没」などの大作もあるが、大使にとってのベストは「日本アパッチ族」になるのです。大阪在住の小松さんだから書けたSFだったかも知れないですね。
漫才の原稿や漫画も書いた小松さんであるが・・・・多芸、多彩な関西人だったと思うのです。
大阪万博のプランナーとして、梅棹忠夫や岡本太郎と親交があったようだが・・・SF作家の枠に収まりきらなかった人である。さよなら小松左京♪
amazonさよなら小松左京

この本から「日本アパッチ族」の個所を紹介します。

<「日本アパッチ族」>p52~54
 「日本アパッチ族」は1964年に光文社より刊行された、書き下ろしの処女長編作品。
 物語誕生の経緯は『小松左京自伝』(日本経済新聞出版社)に詳しい。
 小松さんは1958年に下山克美さんと結婚する。が、当時は貧乏暮らしなのに超多忙で帰りは午前様という日々。克美さんは毎晩、ラジオを聴きながら独り寂しく小松さんの帰りを待っていた。ある日、部屋から大切なラジオが消えていた。「とうとう質屋に行ったか」と思った小松さんは(実は修理に出していた)、不憫な奥さんを喜ばそうと「ラジオドラマのような面白い物語を妻のために書こう」と決意する。そして「大阪新聞」に掲載された「大阪にアパッチ族現る」という記事をヒントに、200字詰め原稿用紙に毎日15枚ずつ書いて克美さんに見せるようになった。
 半分くらいまで書いたところで、そのまま放ったらかしにしていた。やがて友人のつてで光文社に持ち込んだところ、面白いから完成させろということになった。
 舞台は大阪。大阪城のふもとの陸軍砲兵工廠跡地に「追放地」があった。そこには鉄を食べるアパッチと呼ばれる集団がいた。というストーリー。
 幾枚かにわたる構想ノートは1960年頃に書かれたものと思われる。
(中略)
 ノートを見ると小松さんは鉄を食べることのメカニズムを重要視していたことがわかる。『小松左京自伝』では「鉄の代謝プロセスもだいぶ考えられましたか」の質問に対し、「いろいろね。うちは男兄弟5人、女1人なんだけど、兄弟のうち3人が京大工学部の冶金なんだ。過酸化鉄がどうの、鉄分がどうのという知識は弟たちから聞いた」と語っている。


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【地中の廃墟から】
地中

河村直哉著、作品社、1999年刊

<「BOOK」データベースより>
大阪城公園の地下には、アジア最大の兵器工場の廃墟がいまも眠っている。45人の記憶の中の歴史―どのような意識で膨大な死者を生み出し、そして忘却したのか。

<読む前の大使寸評>
大阪城公園から何を連想するかといえば、大使の場合は「日本アパッチ族」を通じて知った大阪砲兵工廠になるわけです。
今では、広大な公園の中に工廠を示す構造物はほぼ消滅していて・・・・この本などでよすがを偲ぶしかないようです。
Amazon地中の廃墟から


この本の一部を紹介します。

<工廠跡の闇―アパッチ族>p208~210
 「戦後」は加速する。
 1955年、自由民主党が結成され55年体制が成立した。神武景気といわれる大型景気の時代に入り、56年の経済白書には有名な「もはや戦後ではない」という言葉が登場する。日本は高度成長の明るい坂道をかけのぼっていく。

 ぼくは今日も、大阪城公園、大阪ビジネスパーク、森之宮、そして京橋を歩いている。それは、ぼくの一部になっている。忘れられた地、ごまかされた地、欲望の発熱するような地。この日本で、前々からそれはぼくの一部だった。
 東京タワーが完成し、長嶋茂雄がデビューした58年。この明るい日本の夜な夜な、公園整備が本格化していた大阪砲兵工廠の跡地の闇に、男たちがあらわれるようになる。男たちは組を作り、立ち入り禁止の一帯から金属類を掘り出した。新聞は、当時人気のあった西部劇にちなんで、彼らを「アパッチ族」と名づけた。
 ほとんどは在日韓国・朝鮮の人たちだった。日本の復興から繁栄の正史の裏で、在日の人たちの戦いが工廠の跡地に刻まれていくことになる。在日二世の作家、梁石日さんもアパッチとして跡地に忍び込んだ。

 こわいですよ、夜の工廠の跡は。あっこはね、ふつうの人は入らないからね、あんなとこ。あれはもうほんとに、昼、あの横通っていくでしょ、環状線かなんかで。昼見ても気持ち悪い。広大だしね。もう瓦礫の山ですからね。夜なんかは、もう。
 戦後13年ですか。(市内には)もう焼け跡とかなかったです。廃墟っていうのはあそこぐらいのもんじゃないかな。当時ね、第二寝屋川をはさんだ工廠の対岸にアパッチ部落があってね。朝鮮人集落ですけどね。バラックですよ。貧しい。朝鮮料理の香辛料のにおいとか、それから共同便所だから、そんなにおいとかね。夜、そこに集まって、弁天橋のあたりから忍び込むんです。


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【SF魂】
SF

小松左京著、新潮社、2006年刊

<「BOOK」データベースより>
『復活の日』『果てしなき流れの果に』『継ぐのは誰か?』―三十一歳でデビューするや、矢継ぎ早に大作を発表し、『日本沈没』でベストセラー作家となった日本SF界の草分け的存在。高橋和巳と酒を酌み交わした文学青年が、SFに見た「大いなる可能性」とは何か。今なお輝きを失わない作品群は、どのような着想で生まれたのか。そして、意外に知られていない放送作家やルポライター、批評家としての顔―。日本にSFを根付かせた“巨匠”が語る、波瀾万丈のSF半生記。

<大使寸評>
「アパッチ族」アンソロジーとして、小松左京を再発見したのであるが・・・・その余勢を借りて、この本を手にしたわけです。
学生時代から高橋和巳と友人だったそうだが・・・・奇遇というか、多彩な小松が見えます。

amazonSF魂


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「日本アパッチ族」を読んだ後で、そのアパッチ族として生きてきた作家の梁石日さんを知ったわけですが・・・・
梁石日さんの自伝をもとにした映画が2本、作られていています。
「夜を賭けて」のほうはまだ観ていないが、大阪砲兵工廠跡地の攻防が描かれているようです。


【血と骨】
血と骨
崔洋一監督、 2004年制作、H24.4.24観賞

<goo映画解説より>
1923年。成功を夢見て祖国から大阪へ渡った少年・金俊平。朝鮮人集落での裸一貫の船出から、持ち前の腕力と上昇志向で自分の蒲鉾工場を構えるまでにのし上がった俊平だが、並外れた凶暴さと強欲さで悪名も高く、家族までがその存在を怖れていた。俊平の息子・正雄は、父を「頭のおかしいオッサン」と軽蔑しつつ、その巨大さに憧憬とも畏怖ともつかない感情を抱く。そんな折、俊平の息子を名乗る武という青年が現れ、金家に転がり込んで好き勝手に暮らし始める。俊平の存在にびくともしない武の姿に、正雄は羨望の眼差しを注ぐが…。

<大使寸評>
タケシならではの凶暴な父親役が圧巻であり、これほど欲望のおもむくままの人生もあったのかという感じですね。
怒りにまかせて家を壊すような、破壊力がすごーい♪
また、チョイ役ではあったが、若き日の(今でも若いが)オダギリジョーが息子役を好演しています。

goo映画血と骨
CinemaTopics血と骨


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【夜を賭けて】
夜を賭けて

金守珍監督、 2002年制作、日韓合作映画

<goo映画解説より>
1958年、大阪。かつて兵器工場だった広大な敷地は、戦時中に空襲に遭い、今は廃墟と化していた。そこは立ち入り禁止になっていたが、そんなのおかまいなしに鉄を掘り出し売る連中がいた。義夫をはじめとする“アパッチ”と呼ばれる彼らは川沿いに集落を構えて貧しい生活をしており、大金に換わる鉄は彼らにとっては重要な生活資金だったのだ。だが残骸とはいえ兵器の鉄は国有財産であるため、彼らは警察の目を盗み、夜の闇に紛れて作業していた。ますます強固になる警察の警備の間を縫い、今日も義夫たちは体を張って生きてゆく。

<観る前の大使寸評>
日韓合作映画のなかで、山本太郎が主演した異色の映画であるが、大学図書館でDVDを探してみよう。
助演の樹木希林、李麗仙、唐十郎、風吹ジュン、奥田英二もすごいメンバーである。

goo映画夜を賭けて


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「日本アパッチ族」の復刻版が出ているようですね。

【日本アパッチ族(復刻版)】
アパッチ
小松左京著、角川春樹事務所 、2012年刊

<「BOOK」データベースより>
終戦直後の大阪で、鉄を食べる人間が出現した。名は「アパッチ」。一日に平均六キロの鉄と〇・二~〇・六リットルのガソリンを摂取し、その肉体の強靭さとスピードは、人類をはるかに凌駕する。彼らはやがて全国へと拡がり、日本の政治、生産機構までも揺さぶるようになっていった…。小松左京の処女長篇にして、SFの枠を超えた永遠の名作が、ここに復活。

<大使寸評>
48年ぶりの復刻というのも凄いではないか♪表紙の絵もそれなりにいいのだが・・・・
1964年に読んだときのイメージと何だか違うのだ。ま いいけどね。

rakuten日本アパッチ族(復刻版)


どんなSFも“科学的嘘っぱち”という側面があるのだが…
小松さんのSFには、それに加えて大阪という地域性(奔放さというか、ごっついというか)が見えていて、たまらないのでおます。

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