満州あれこれR7

<満州あれこれR7>
『張学良の昭和史最後の証言』という本を読んでいるのだが・・・
このところ集中的に満州関連の本を読んでいるので、その本やメディア情報を集めてみました。


・ 映画パンフレット『ラストエンペラー』(1988年刊)
・『韃靼漂流記』(1991年刊)
・『張学良の昭和史最後の証言』(1995年刊)
・『満州の誕生』(1996年刊)
・『馬賊で見る「満州」』(2004年刊)
・『マンチュリアン・リポート』(2010年刊)
・『絶滅寸前の満州語』(2013年9月朝日)
・『「満州国化」する日本』(2014年1月朝日)
・『天子蒙塵(1)』(2016年刊)
・『天子蒙塵(2)』(2016年刊)
・『日中戦争前夜 絡み合う思惑』(2018年12月朝日)

南満州鉄道株式会社 経営施設概要
R7:『天子蒙塵(2)』を追加
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<映画パンフレット『ラストエンペラー』>
新開地の古書店で、このパンフレットを300円で買ったのだが・・・
定価500円だからリーズナブルなんでしょうね。

今時の映画パンフレットは、だいたい700円くらいするので手元不如意の大使は手がでないのです。


【ラストエンペラー】


ベルナルド・ベルトルッチ監督、1987年イタリア・中国制作

<商品の説明>より
映画パンフレット「ラスト・エンペラー」(1988年刊)、出演 ジョン・ローン/坂本龍一/ジョアン・チェン/ピーター・オトゥール/高松英郎/立花ハジメ

<大使寸評>
新開地の古書店で、このパンフレットを300円で買ったのだが・・・
定価500円だからリーズナブルなんでしょうね。

amazonラストエンペラー



映画パンフレット『ラストエンペラー』:関東軍によってつくられた「満州」という国
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【韃靼漂流記】


園田一亀著、平凡社、1991年刊

<カスタマーレビュー>より
 17世紀の半ば、越前国新保村の竹内藤右衛門ら58名は、松前貿易のために三国浦を船出しますが、航海中暴風のため難破の憂き目に遭い、今の沿海州ポシエット湾の辺り、「韃靼」の地に漂着します。仲間の大半は現地民とのトラブルにより非業の最期を遂げますが、生き残った15名は瀋陽を経て北京に送られ、当局の保護の下、暫し北京滞在の日々を送ることとなります。

<読む前の大使寸評>
興味深い史実であるが・・・ぱっと見とにかく、漢字の密度が多い文章である。
歴史的仮名遣いは丸谷才一さんほどではないけど、読みにくいことこの上ないのだ。

amazon韃靼漂流記


『韃靼漂流記』7:北京留置の理由
『韃靼漂流記』6:北京の見聞談、満州語の紹介
『韃靼漂流記』5:奉天官憲の取調べ
『韃靼漂流記』4:韃靼国の都・奉天までの旅
『韃靼漂流記』3:下手人の素性
『韃靼漂流記』2:遭難の状況
『韃靼漂流記』1:著者による序言
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【張学良の昭和史最後の証言】


臼井勝美編、角川書店、1995年刊

<「BOOK」データベース>より
関東軍により爆殺された張作霖の長男、張学良。父を敬愛し、頭脳明晰であった彼はまた、プレイボーイと呼ばれ、西洋人と交流する一面も併せ持っていた。西安事件で蒋介石を監禁し国共合作を迫った張学良は、以来半世紀をこえる幽閉生活を送ってきた。そしてついに沈黙を破り、その数奇な生涯と日中に横たわる謎がときあかされた―。張作霖爆殺事件から西安事件までの日中秘話。

<読む前の大使寸評>
おお この本の発刊時(1995年)、張学良は生きていたのか・・・
近代史の生き証人の感があるで♪

amazon張学良の昭和史最後の証言

『張学良の昭和史最後の証言』5:エピローグp254~257
『張学良の昭和史最後の証言』4:満州の政治状況p88~90
『張学良の昭和史最後の証言』3:張作霖死亡時の張学良の行動p71~74
『張学良の昭和史最後の証言』2:日本訪問p41~44
『張学良の昭和史最後の証言』1:プロローグp13~16

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【満州の誕生】


久保尚之著、丸善、1996年刊

<「BOOK」データベース>より
19泊20日にもわたる“満鮮支”修学旅行を体験し、卒業後は就職の場を求めて大陸へと渡っていった商業学校の生徒たち。満鉄総裁になった旧友・中村是公の招きで満州を訪れた夏目漱石が、その目でとらえ、書き残したもの。アメリカの鉄道王が日本政府とかわした満鉄共同経営の約束を電報一本で反古にされた「ハリマン事件」の真相など、日本の敗戦とともに消滅した“満州”にまつわる歴史と人の生きざまを掘り起こす。

<読む前の大使寸評>
副題に「日米摩擦のはじまり」とあるように・・・日本だけが悪者だったわけでもないようです(当然だけど)

amazon満州の誕生

『満州の誕生』4:ニッポンの帝国主義メカニズム
『満州の誕生』3:中国の民族主義
『満州の誕生』2:アメリカの陰謀
『満州の誕生』1:児玉・後藤の移民政策

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【馬賊で見る「満州」】


澁谷由里著、講談社、2004年刊

<「BOOK」データベース>より
馬賊が誕生した清末期。あるものは官憲の銃弾に倒れ、あるものは混乱を潜りぬけ略奪者から脱却し、軍閥の長として中原の覇権をうかがう。覇権に最も近づいた男=「東北王」張作霖とその舞台の激動の歴史をたどり、併せて日本にとって「満洲」とは何だったのかを考える。

<読む前の大使寸評>
追って記入

<図書館予約:(10/01予約、10/06受取)>

rakuten馬賊で見る「満州」

『馬賊で見る「満州」』5:間島地域
『馬賊で見る「満州」』4:日清戦争の衝撃
『馬賊で見る「満州」』3:清朝滅亡時の国家組織
『馬賊で見る「満州」』2:中国最後の王朝・清朝
『馬賊で見る「満州」』1:馬賊誕生の背景

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【マンチュリアン・リポート】
浅田

浅田次郎著、講談社、2010年刊

<「BOOK」データベース>より
昭和3年6月4日未明。張作霖を乗せた列車が日本の関東軍によって爆破された。一国の事実上の元首を独断で暗殺する暴挙に昭和天皇は激怒し、誰よりも強く、「真実」を知りたいと願ったー。混沌の中国。張り巡らされた罠。計算と誤算。伏せられた「真実」。

<読む前の大使寸評>
追って記入

rakutenマンチュリアン・リポート

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<絶滅寸前の満州語>
6日の朝日新聞によれば・・・
満州族は中国で暮らす55の少数民族のうち、チワン族、回族に次いで3番目に多い少数民族であるが、漢族との同化が進み、母語の消失がもっとも進んだ民族だそうです。
言語の消失は文化の消失とも言えるわけで、他国のこととはいえ、絶滅寸前の満州語の今後が気になるわけです。


9/06消えゆく満州語守れ 中国・遼寧省で大学設立の動きより
 かつて中国大陸を支配した清朝の公用語だったが、今や絶滅の危機にある満州語を教える大学をつくろうと、遼寧省の大学教授が準備を進めている。満州語の文献を読み解ける人材を育て、まだ見えぬ歴史をひもとくのが目標だ。今月には全国の研究者を集めた会議を催し、建学への協力を訴える。

 ■人材育て歴史解明目指す
 瀋陽師範大学で満州族の歴史や文化を研究する曹萌教授(54)は3年前、遼寧省政府当局に満州語教育や文献保管を兼ねた大学の設立を提案した。満州語が消えゆく現状に強い危機感を抱いたからだ。

 曹教授は2003年から東北地方を中心に、満州族の村での資料収集や満州語を話すお年寄りへの聞き取り調査を重ねてきた。清朝前期の公文書や民間史料は満州語だけで書かれている。満州語を操れる人材の育成が不可欠と感じるようになったという。

 中国の満州族は10年の国勢調査で1038万人とされる。中国で暮らす55の少数民族のうち、チワン族、回族に次いで3番目に多い少数民族だ。

 だが、1911年の辛亥革命による清朝崩壊後は排斥を受け、49年の新中国成立後も他の少数民族と異なり自治区や自治州は認められてこなかった。80年代に入ってようやく小規模な自治県や民族学校ができた。満州語を母語にする人々はすでに高齢化が進んでいた。漢族との同化も激しく、母語の消失がもっとも進んだ民族に数えられる。2009年にはユネスコから消滅の危機にある言語に指定された。

 曹教授によると、国内で満州語を理解し、古い文献も読めるレベルの研究者は10人ほどに過ぎない。北京などに満州族文化の研究機関はあるものの、専門性の高い満州語を教える大学はほとんどないという。

 曹教授は「満州語の文献は、多くが解読されぬまま朽ちていったものも多い」とも指摘する。清朝の前身の後金が都を置いた遼寧省撫順市では、山の洞窟に満州族の古い文献や家系図などがトラック5台分ほど保管されているが、軍事的な理由などで警備が厳しい。教授は「普段は閲覧も許されない」と嘆く。

 昨年10月、教授が提案した大学設立のための調査研究費として1万5千元(24万円)の予算措置が認められた。今月20日から満州族に関係する企業家や研究者、政府職員ら120人を招いた初の会議を開き、協力を訴える。 曹教授は「満州語の継承も研究も、時間との勝負。日本の研究機関との連携も探りながら、若い人材を育て、貴重な民族文化の消失を防ぎたい」。

 ■発祥地でも継承難しく
 母語消失の危機は満州語発祥の地にも及んでいた。

 清朝の発祥地をうたう遼寧省撫順市の新賓満族自治県(人口32万人)。現在、満州族の小学校は1校しかない。校長によると、全校児童約1300人の約94%が満州族だが、「愛新覚羅」など満州族固有の姓を使う児童はいない。

 同校は1988年から、児童に満州語を教えてきた。現在も独自の教材をもとに、全学年で1週間に1回の授業を実施しているが、隣接する中学校では満州語を教えていない。校長は「継続性がない」と学習効果に限界を感じている。

 満州族の研究者、李栄発さん(67)は、同校の依頼で子供たちに満州語を教えた。昔、生きた満州語が残る黒竜江省の地方都市で満州語の基礎を1カ月間、学んだ経験を買われた。

 李さん自身、漢族の言葉「漢語」で育った。初めて出会った満州語は、自民族の言葉なのに全く理解できなかった。戦前に日本が作った満州語と日本語の辞典や、中国国内の満漢字典を使い、単語量を増やしていったという。

 90年代には、清朝初代皇帝のヌルハチが後金時代の根拠地にした新賓の城跡「ヘトゥアラ」を観光地にするためのアドバイザーに選ばれた。展示品選びやガイドの育成を任された。

 李さんらによると、満州語の母音は六つ。モンゴル語などと同じ、アルタイ語系の言語で、文字はモンゴル文字を改良し、文法は日本語にも似ている。研究者に必要な満州語能力を身につけるためには、少なくとも3年間の勉強が必要という。中国西部の新疆ウイグル自治区に住む満州族の支族・シボ族は地理的な閉鎖性などから、今も満州語を話している。

 李さんは「満州族の歴史や文化を学ぶには、満州語が不可欠だ。体系的な教育制度を設けるとともに、学習後の就職先を確保するなど、文化を守る態勢を構築する必要がある」と話した。(遼寧省撫順市=石田耕一郎)

◆キーワード
<満州族> 中国東北地方の先住民族の一つで、かつては女真人とも呼ばれた。清朝をたて、17世紀から3世紀にわたり中国大陸を支配。映画「ラストエンペラー」で知られる最後の皇帝、溥儀は日本による満州国建国に協力した。遼寧省に人口の約半数が集中し、戯曲「茶館」などの作品で知られる作家の老舎も同民族の出身。


新疆ウイグル自治区に住む満州族の支族は今も満州語を話しているそうで、状況はまだ日本のアイヌ語よりは恵まれているわけですね。
でも、満州語の継承も研究も時間との勝負とのことで・・・・待ったなしのようです。

満州は漢字文化圏に埋没しようとしているけど、漢字文化圏の外縁には文字を持っていた突厥帝国などがあったわけで、興味はつきないのです。

絶滅寸前の満州語byドングリ

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<「満州国化」する日本>
 京大人文科学研究所長・山室信一さんががインタビューで「一元的な政権が米国の傀儡の性格を強めている」と説いているので、紹介します。(2014.01.10デジタル朝日から転記)
山室


 かつて中国の東北部に、13年間だけ存在した「国」があった。満州国と呼ばれたその国は、高い理想を掲げながら、矛盾と偽りに満ちていた。安倍政権の誕生から1年を経た今、山室信一さんは「いま進んでいることは、日本の満州国化だと思っています」という。2014年の日本は、あの国とどこが似てきているのだろうか

Q:いまの日本が「満州国化」しているというのは、どういうことでしょうか
A:安倍さんは『自立する国家』を掲げてきました。でも現実には、特定秘密保護法やTPPなどで、アメリカのかいらい国家という性格が強くなってきているのではないか。理想国家の建設を掲げながら、日本のかいらい国家への道を歩んだ満州国に似てきています。

Q:安倍首相は『新しい国へ』という著書があるように、国をつくり直す意識が強いようにも思えます
A:強いでしょうね。『戦後レジームからの脱却』と言いますが、日本国憲法のもとで国家意識が薄れていったのが戦後だという意識があるのでしょう。だから、もう一度、国家主導体制をつくることが戦後民主主義から『日本を取り戻す』ことに直結すると意識されているようです。

Q:安倍首相の祖父の岸信介・元首相は、満州国の高級官僚として統制経済を進めた人でした
A:岸と安倍さんは発想がよく似ています。2人とも多元的な勢力の存在が嫌いのようですね。権力が一元化されていないと、物事がうまく進まないと考える。満州国では関東軍と革新官僚だけで全部を決めた。今の安倍政権のように1強多弱になってしまうと、自民・公明という一元的な権力で全て決められる。満州国と同じシステムが今、小選挙区制の下で偶然にでき上がっています。

Q:決められない政治への国民の失望が、1強多弱を生んだのでは
A:これも戦前と同じで、1920年代の対外的危機に際し、民政党と政友会が党争に明け暮れて何も決められなかった。政党政治に対する幻滅が国民に広まり、軍の統率力や官僚の統制に期待したところがあった。もちろん今とは状況が大きく違いますが、出てきている情景は重なって見えます。

Q:情景が再現されてきたと
A:満州国にいた官僚たちは、戦後の経済政策を担った経済安定本部にもたくさん入っています。『秩序と統制』が国家のあるべき姿だと考えた岸は、満州国で試みたことを戦後に実施し、高度成長の基盤をつくった。岸だけではなく、椎名悦三郎などの満州派は自民党内で力を持ちました。統制国家の実験室であった満州国はある意味で、海を越えて戦後の日本と地続きでもあるのです。

 それが一番よく表れているのは軍隊です。もともと満州国は関東軍による占領下に置かれて、独自の軍隊を持たず警察組織だけあればいいとして出発した。それがやがて満州国軍として肥大化していき、関東軍に牛耳られるようになった。これはまさに戦後の自衛隊と米軍の関係です。警察予備隊から自衛隊に肥大し、米軍に依存することなしには存続できない体制となっている。

     ■     ■
Q:安倍政権は特定秘密保護法をかなり強引に成立させました
A:それもアメリカへの従属とともに、権力の一元化とつながっています。情報の偏在は権力を生む。満州国で岸がやろうとした統制経済も、基本的に政府に情報が全部集まらなければできない。

 特定秘密保護法と、岸の日米安保条約改定も重なって見えます。安保反対のデモが国会を取り巻いていたとき、『国会周辺は騒がしいが、銀座や後楽園球場はいつも通りである。私には声なき声が聞こえる』と岸は言いました。おそらく安倍さんはそれを思い浮かべていたのではないか。今度も騒いでいるのは国会の周りの少数派だけで、背後には声なき多数派が自分を支持している、だから一部の反対を押し切ってでも法案を通すことが自分の政治家としての歴史的使命だ、と。

Q:安倍政権のアジアへの姿勢はやはり岸政権に近いのでしょうか
A:岸は戦後初めて東南アジアを訪問した首相でした。『日本がアジアの盟主にならなければならないという私の意識は、実は私が満州国に行ったときの意識と同じで戦前も戦後も一貫している』と語っています。日本がアジアの先頭に立っているという意識を持ち、東南アジア諸国との関係を深めることでアメリカに対抗しようとした。アジアを盾に『対米対等』を目指す二重性があった。

 一方、安倍さんのアジア観はわかりにくい。もともとは対米対等をめざして集団的自衛権をと思っていたのでしょう。でも、中国の台頭や靖国参拝による反発などもあって、アジアの旗頭としてアメリカに対抗するという手段はとれない。それどころか、東アジアでの孤立化を招いたことで対米従属化を強めるしかなく、特定秘密保護法をつくるなど、政策選択の幅を自ら狭めています。

Q:安倍首相と岸元首相は、似ているようでも違うと
A:岸の本質は経済官僚です。経済力強化が国家の強盛に不可欠だと一貫して考えた。総力戦体制のもとでは経済力イコール軍事力ですから、富国と強兵は一致していました。

 安倍さんは、自分の領分を持っていない。官房長官以外には閣僚を経験せず、若くして首相になった。自分の核がないから、官僚やブレーンが持ち込んでくるものをバキューム効果のように取り込んでいく。それが安倍政権に対する野党の攻めにくさになっていると思われます。

     ■     ■
Q:「理想国家をつくる」という発想では共通しているのでは
A:もともと日本人は、国家というのは与えられたものだという意識が強いんです。欧米では国家は人々が契約でつくるという意識があるのですが、日本では国体が連綿と続いてきたとされて、人がつくる余地がない。明治憲法も新しくつくったのではなく、あくまでも『皇祖皇宗ノ遺訓』を明文化したにすぎないと説かれました。しかし、これは明治以後に『創られた伝統』といえます。

 岸の場合は例外的に、国家をつくるという発想があったと思われます。彼が若いときに愛読した北一輝の『日本改造法案大綱』は、憲法を停止して、華族制度廃止や私有財産制度の制限など、国家の根幹を変えてしまおうというものです。ただ、日本で国家をつくりかえようとすると、必ず天皇制の問題とぶつかる。満州だったから、ゼロから新しい国家をつくる夢を見ることができた。

Q:安倍さんも「美しい国」をつくろうとしているのでは
A:安倍さんの国家観は、自然主義的とでも言いましょうか、国はあくまで自然にあったもので、しかも国家主導は正しいという発想です。戦後レジームだけが否定すべきもので、それ以前の体制は『美しい国』だったと。国家は美しい国土という伝統の中にあって、人がつくるものではない。

 もともと存在した国が、戦後の自由主義や個人主義などの思想によって汚されてきた。汚れを除けば、美しい国を取り戻すことができるはずだと。その汚れの元凶が今の憲法なのでしょう。

Q:最近は改憲論をトーンダウンさせている印象もありますが
A:おそらく安倍さんは、憲法を変えればみんな変わると思っていたのでしょう。戦後レジームの頂点にある憲法を壊せば、すべて正常に戻ると。しかし96条改正への反対が強かったので、解釈や立法で変えてしまおうという方向に行っている。

 これは逆説的な状況で、憲法の条文を守ればいいという護憲の虚をつかれてしまった。頂点が不変でも解釈や法令で基盤を壊されれば、憲法秩序の全体が崩れてしまいます。

     ■     ■
Q:満州国の歴史から教訓として生かせるものがあるとすれば、どのようなことでしょうか
A:権力の一元化は、特定の局面突破には効果的かもしれません。しかし一点突破だけを考えていると、全体のバランスが崩れる。満州国は、軍事的な統制だけすればいいと考えたのが崩壊のもとになった。安倍政権も、アメリカとの関係さえうまくいけばいいという一点だけを考えていると、対アジア関係や国内の産業構造が崩壊していきかねません。

 満州国は、当初の理想とは全く逆の方向に動いていきました。最初は王道楽土や五族協和を掲げていたのが、対外戦争に危機感をあおって統制を強めるなかで、お互いが監視し排斥し合う『兵営国家』になっていった。安倍さんが掲げるような美しい国の理想というのが本当は一番危ない。ベクトルが反転して動き出す可能性をつねに考えておく必要があると思います。(聞き手・尾沢智史)

     *
山室信一:京都大学人文科学研究所長 51年生まれ。専門は法政思想連鎖史。京都大学人文科学研究所教授。著書に「キメラ―満洲国の肖像」「憲法9条の思想水脈」

◆キーワード
 <満州国> 1931年9月の満州事変の後、32年3月に中国東北部につくられた国家。清朝最後の皇帝・溥儀が執政(のち皇帝)となった。「王道楽土」の建設、「五族(日・満・漢・モンゴル・朝鮮)協和」を掲げたが、実質は日本のかいらい国家。国際連盟は満州国を認めなかった。45年8月、日本の敗戦とともに消滅。


「満州国化」する日本山室信一2014.01.10
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【天子蒙塵(1)】


浅田次郎著、講談社、2016年刊

<商品の説明>より
1924年、クーデターにより紫禁城を追われた溥儀とその家族。生家に逃げ込むもさらなる危険が迫り、皇帝は極秘に脱出する。
「宣統陛下におかせられましては、喫緊のご事情により東巷民交の日本大使館に避難あそばされました」
ラストエンペラーの立場を利用しようとさまざまな思惑が渦巻くなか、日本の庇護下におかれ北京から天津へ。梁文秀と春児はそれぞれに溥儀らを助けるが──。
王朝再興を夢見る溥儀。

<読む前の大使寸評>
浅田次郎さんの『天子蒙塵(もうじん)』(講談社)の最新作が刊行され、全4巻が完結したそうだが、2016年刊の第1巻にやっとお目にかかったわけでおます。

<図書館予約:(1/24予約、2/02受取)>

amazon天子蒙塵(1)


『天子蒙塵(1)』1
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【天子蒙塵(2)】


浅田次郎著、講談社、2016年刊

<「BOOK」データベース>より
父・張作霖を爆殺された張学良に代わって、関東軍にひとり抗い続けた馬占山。1931年、彼は同じく張作霖側近だった張景恵からの説得を受け、一度は日本にまつろうがー。一方、満洲国建国を急ぐ日本と、大陸の動静を注視する国際連盟の狭間で、溥儀は深い孤独に沈み込んでいた。

<読む前の大使寸評>
この『天子蒙塵』の4巻シリーズは副本が多いわりに予約がすくないので・・・
予約すると即、入手できるのが、ええでぇ♪、『蒼穹の昴』と比べて地味な印象を受けるのかなあ。

<図書館予約:(2/07予約、2/10受取)>

rakuten天子蒙塵(2)


『天子蒙塵(2)』1
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<日中戦争前夜 絡み合う思惑>
 『浅田次郎さんの「蒼穹の昴」第5部が完結』という朝日の記事を、紹介します。


(浅田次郎さんの記事を12/02デジタル朝日から転記しました)


日中戦争突入を前にした中国を描く浅田次郎さんの『天子蒙塵(もうじん)』(講談社)の最新作が刊行され、全4巻が完結した。1996年から続く「蒼穹の昴」シリーズの第5部。満州国皇帝の座に就こうとする溥儀と、欧州から上海に帰った張学良。2人が歴史の表舞台に出ようとする激動の中、絡み合う日中の思惑があぶりだされる。

 「第5部まできましたが、シリーズは続きます」。あと2部で5巻ほど、という見通しを立てている。「どこからでもいい。おもしろければ、最初から読んでいただけたら」

 「蒼穹の昴」シリーズは、西太后が権力を握る清朝末期を舞台にスタート。『珍妃の井戸』『中原の虹』と続き、第4部『マンチュリアン・リポート』は1928年の張作霖爆殺事件を扱った。第5部では、欧州に向かった張学良が上海に帰還し、刺客たちを返り討ちに。清朝最後の皇帝溥儀は、満州国で再び皇帝の座に就こうとする。関東軍では東亜連盟を構想する石原莞爾が勢いを増していく。それを持つものは世を統率する力を持つ、とされる「龍玉」の伝説も、随所に織りこまれる。

 シリーズ累計530万部超。第4部まで文庫本で10冊。第5部は単行本4冊、という破格の規模で、近代の中国と日本の分かちがたい関係を浮かび上がらせてゆく。中国には40回ほど渡った、という浅田さん。最初に取材目的で渡った20年ほど前は、いまほどの経済大国になるとは考えていなかった。「中国そのものが変わっていっている。いろんな意味で、このシリーズは早く書けません」

「人も街も画一的ではなく、なぞが多く、奥が深い」と中国を評する。中学の頃から漢文の美しい言葉にあこがれるようになり、10代の頃からこつこつと通史などを学んできた。中国出身の担当編集者は「偏らない見方で、日本と中国が描かれている。知らなかったことも多く、読みながら歴史を知る思いです」と言い添える。

■96年から刊行「シリーズ続く」「早くは書けない」
 シリーズで一貫して描かれているのは不屈の人々。波乱の人生を送った張学良は、100歳まで生きた。最新刊では「嘆く間があるのなら、どうにかするのですよ」と、溥儀を幼い頃から支えてきた人物が語る最終盤の場面が印象深い。

 そんな精神の強さは「負けず嫌い、ということで生きてきたようなもの」という自身の歩みとも重なる。
 例えば、出版不況ということも安易に信じない。「時代のせいにしたら、終わりです。本が売れなくなった背景に、刊行点数が多すぎ、内容もよくない本が目立つようになったことがある。もっと、いい本をつくっていかなくては」。そのうえで「子供が最初に出合う本がつまらなければ、もう読まなくなります」と将来を見据える。

 「いい小説というものは、分かりやすく、美しく、おもしろく」と3ヵ条を示す。根っこにあるのは、小説の神様の存在を信じる思い。小説とは考えて書けるものではなく、素材そのものが落ちてくるものという。それも若いからいただけるのか、と考えていたが、「意外とジジイになっても降ってくることが分かりました」と明かす。

 もうすぐ67歳。「贈りものを受け止められるよう、一定のテンションに張り詰めていく努力はしております」(聞き手・木元健二)


日中戦争前夜 絡み合う思惑2018.12.02

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対中抑止力か、TPPか、とゴリ押しするアメリカはかつて満州を収奪した日本を彷彿とするわけですが・・・・
TPP推進の経済評論家やへたれ官僚がいたりして、従米勢力も少なからずいるようです。

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