『倒れるときは前のめり』7

<『倒れるときは前のめり』7>
図書館で『倒れるときは前のめり』という本を手にしたのです。
地元の言葉で(有川さんなら土佐弁で)正義やら勇気を語るスタンスが、何やら田辺聖子さんを彷彿とするのです。


【倒れるときは前のめり】


有川浩著、KADOKAWA、2016年刊

<出版社>より
『図書館戦争』『レインツリーの国』『植物図鑑』ほか映像化続々の人気作家・初のエッセイ集! 
日々の生きるつれづれ、創作の裏側、大好きな本や映画、敬愛する人びと、ふるさと高知のことなど、デビュー書籍刊行前から現在までに綴った90本超に、それぞれ振り返りのコメントを書き下ろし。
現在入手困難な「ほっと文庫」に収録された短編「ゆず、香る」と、片想いがテーマの恋愛掌編「彼の本棚」の、小説2編も特別収録。
当代一の人気作家のエッセンスがここに!

<読む前の大使寸評>
地元の言葉で(有川さんなら土佐弁で)正義やら勇気を語るスタンスが、何やら田辺聖子さんを彷彿とするのです。

rakuten倒れるときは前のめり




有川さんの偏愛する映画を、見てみましょう。かなり戦争映画が出てきます。

<愛する映画作品たち>p182~184
 好きな映画を思いついた順に挙げていくと…トップバッターに出てくるのはやはり『ガメラ 大怪獣空中決戦』『ガメラ2 レギオン襲来』ですね。私が小説を書くうえで、ものすごく影響を受けた作品だと思います。

 怪獣映画なのに、嘘くさくない。ガメラという嘘、怪獣出現という嘘に対して、「どうやって対応する?」というリアクションの部分がリアルだから、物語全体として嘘じゃなくなってるんですよ。例えば、レギオンが襲来した時に、「ガメラの援護射撃を!」と言った人間に対して、幕僚長が「我等の火力は無限ではない!」と言う。ガメラが敵か味方かまだ分からない以上、ここで火力を使うことはできないわけです。あのあたりの判断とかせめぎ合いが、すっごくリアル。

 ひとつの大きな嘘の周りに、アクチャルな要素を積み重ねていくという方法論を、私はこの二作に教えられました。だから自分でも、横須賀にザリガニが押し寄せて来たという話(第三作『海の底』)を、嘘じゃないように書くトライができたんですよ。それと、『2』はとにかく永島敏行がかっこいい(笑)。一人の女を巡る、二人の対極な男の恋愛劇も、しっかり堪能させてもらいました。

 もう1本、絶対に欠かせないのは『大脱走』ですね。捕虜収容所から脱走する話なんですけど、脱走計画を楽しそうに練っている男たちが熱くて、かっこよくって、それから、細かなエピソードの積み立て方が素晴らしい。象徴的なのは、エンディングです。何度目かの脱走をしたスティーブ・マックィーンがナチに捕まって、収容所に帰って来る。その後、いつものように独房の壁でキャッチボールを始めるんですね。実はこれ、オープニングとラストで、画自体はまったく一緒なんです。でも、ラストではほんのちょっと変化が生じている。その変化が、物語に素晴らしい余韻をもたらしているんですよ。物語の見せ方を、この映画でたくさん勉強させてもらいました。

 父が映画好きだったので、子供の頃は無差別にいろいろ観せられていました。映画館やテレビの日曜洋画劇場でも観ましたし、当時レンタルビデオがやっと普及し始めた頃で、父がずっぽりハマってガンガン借りてきて。昔は有難迷惑なところもあったんですけれど、父のおかげで出会えた映画は多いです。

 そのうちの1本が、『ファイナル・カウントダウン』です。お話的には定番のタイムパラドックスもので、あっさりしているんですが(笑)、中盤のゼロ戦vsトムキャット戦!カメラワークがちゃんと考えられていって、機体の位置関係がはっきり分かるんですよ。あのシーンのためだけにでも観る価値がある。空戦シーンは『トップガン』のF-14(トムキャット)より好きですね。

 『眼下の敵』も、父に付き合わされて、子供の頃に観てハマりました。軍艦と潜水艦の心理戦がひたすら続くんですが、燃えますねぇ。艦長の二人は敵同士なんだけれども、戦っていくうちに相手のことを認め合うようになる。二人とも引けない事情をちゃんと背負っていて、どっちが悪いってわけじゃなくて、ただ生れた国が違っただけだっていう切なさやるせなさを出しつつも、とにかくドイツ軍の艦長がかっこいい(笑)。

 宮崎アニメで1本選ぶなら、『風の谷のナウシカ』。小学6年の時、初めて観たジブリだったと思うんですが、ナウシカに憧れましたね。初めて「ヒーローみたいなヒロイン」を観たんですよ。それまでの冒険活劇の主人公って、だいたい男の子だった。男の子に守られるだけのヒロインじゃない、自分だって活躍したかったんだという願望を、世の女の子たちは『ナウシカ』を観ることによって気付かされたんじゃないかな。

 『ライフ・イズ・ビューティフル』は、ひたすら泣きました。映画を観て声を上げて号泣するって、これが初めてです。ナチスのユダヤ人収容所に入れられ最悪の切羽詰った状況でも、お父さんは息子の前ではおどけててくてく歩く。本気の嘘をつく。人間はここまで美しくあることができるんだ。人生はこんなに美しいんだっていうことを、てらいなく、堂々と描いてる凄み。大好きな映画です。


『倒れるときは前のめり』6:土佐弁のエッセイ
『倒れるときは前のめり』5:「有川浩的植物図鑑」
『倒れるときは前のめり』4:半分青い
『倒れるときは前のめり』3:出版業界の裏話し
『倒れるときは前のめり』2:戦争小説
『倒れるときは前のめり』1:被災地に印税を寄付

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