『タンタンの冒険 その夢と現実』2

<『タンタンの冒険 その夢と現実』2>
図書館で『タンタンの冒険 その夢と現実』という大型本を手にしたのです。
ぱらぱらとめくると、漫画の画面とそのシーンの元になった写真が載っているし・・・
なにより丁寧な解説に好感を持つわけでおます♪


【タンタンの冒険 その夢と現実】

マイクル・ファー著、ムーランサール ジャパン、2002年刊

<商品の説明>より
本書では「タンタン、ソビエトへ」から未完成の最後の物語「タンタンとアルファアート」までの物語を 順に解説しています。 現実世界を想像の世界に取り込んだエルジェのクリエイティビティ、 完璧なものへの彼の追求など、エルジェの創作のすべてを語っています。 慎重なリサーチが もたらす各ストーリーの詳細の正確さは、エルジェの作品の大きな特長です。 実際にエルジェが参考にした資料写真とその反映されたシーンを対比させながら 解説されているので、より深く「タンタンの冒険」の世界を知る事が出来ます。

<読む前の大使寸評>
ぱらぱらとめくると、漫画の画面とそのシーンの元になった写真が載っているし・・・
なにより丁寧な解説に好感を持つわけでおます♪

amazonタンタンの冒険 その夢と現実

「金のはさみのカニ」


砂漠は大使の好きな背景であるということで、「金のはさみのカニ」を、見てみましょう。

<金のはさみのカニ>p90~92
すててあったカニの缶詰めがきっかけで、海を渡ったタンタンはウィスキーびたりのハドック船長に会い、サハラ砂漠に落下する
 ドイツ人の悪役と国際的な陰謀と破壊行為の物語である「黒い島のひみつ」のあと、暗い情勢のなかに未来はなかった。「プチ20世紀」はナチの侵略により閉鎖となり、発表の場をなくしたエルジェは、将来また再開できるときもくるだろうと、賢明にも原稿をとっておいた。
 しかし、もしタンタン自身が冒険を中断していないのだったら、エルジェは彼が活躍し続けられる新聞を見つける必用があった。

■戦争のさなかで
 タンタンは「プチ20世紀」より立ち直りが早かった。発行部数のはるかに多い「ル・ソワール」が、人気者のタンタンを欲しがってきたのである。だが、そこには大きな落し穴があったから、エルジェはだれかの忠告を聞いて、もっと真剣に考えるべきだったろう。
 ブリュッセルの代表的なフランス語新聞「ル・ソワール」は、ただちに占領軍に接収された。言い換えると、「ル・ソワール」は、全員とはいかないまでも、敵への協力者たちをスタッフとする占領軍への協力新聞となってしまったのだ。エルジェはどんな立場をとったのか?

 タンタンの資格保証は申し分なかった。さきの冒険「黒い島のひみつ」では、ファシズムと戦ったことは明白だったし、そもそも最初から彼は、弱い側、抑圧された人たち、悪に対して善のために戦ってきた。いかにもボーイスカウト活動から育った者への期待どおりのキャラクターだった。同じことはエルジェ自身にもあてはまる。

 戦後の悪い情勢から生じた疑惑や糾弾は彼の痛いところを突いたが、それにもかかわらず、エルジェやその作品を知る者はだれもが、彼がナチに共感したなどとはとても信じることができなかった。しかし、あとでわかるように、彼はタンタンの名と名声を、間違った側に落ちてしまった新聞と結びつけるというたいへんな誤りを犯してしまったのである。
(中略)

■ナチによる検閲
 「黒い島のひみつ」でイギリスでも親しまれていたタンタンは、ロンドンに離れていてファシズムと悪との戦いを続け、イギリスの爆撃機が落とすプロパガンダ(宣伝新聞など)を通じて、ベルギーとフランスの人たちに彼の冒険を読んでもらうようにしたほうが、きっと良かっただろう。

 実際にはタンタンは、ナチのもとから脱出しなかったから、当時の他の文学作品と同じく、ナチの検閲の対象となった。イギリスが舞台だった「黒い島のひみつ」は、そのためあっさりと禁書となり、後に「タンタン アメリカへ」もそのタイトルのために禁じられた。だが最も反ナチ的な「オトカル王の杖」は見逃され、印刷を許されていたのだから、検閲はこの恐るべき少年記者のことを、そんなに深くは調べなかったようだ。

 かくして、もはやなくなった「プチ20世紀」を手本に創刊された週刊付録「若者ソワール」の1940年10月17日号から、タンタンの冒険はあらたな設定で再開された。「プチ20世紀」と同じく木曜の発行だ。

 その第1号の表紙で、タンタンはいなか道のブリュッセルへの道標の前を、元気に歩いていた。いつになく大きな微笑を浮かべ、肩にかけたサックに「ル・ソワール」を入れ、靴の底には穴があいている。もちろんスノーウィがあとを追い、絵の下には「タンタンとスノーウィが帰ってきた!」と記されていた。

 今度は政治状況を避けて進もうとエルジュは決心し、すでに「ファラオの葉巻」で試みたもっと安全で現代的な麻薬密輸のテーマに戻ることにした。この前はハバナ葉巻に麻薬が隠してあったが、今回もやはり、なにげないカニの缶詰めにした。

 物語の初めで、いうまでもなくあのおっちょこちょいのデュポン&デュポンの刑事によるニセ硬貨調査の場面をちょっとつけ加えているが、物語が進むにつれて、いつのまにか忘れられてしまう。

■永遠の友、ついに登場
 描かれた状況は別として、この新しい冒険のすばらしさは、「タンタン一家」に最も輝かしいキャラクターを加えたことである。あの感動的なアル中の船長ハドックがそれで、エルジェは良い子ちゃんすぎるタンタンへの申し分ない引き立て役を生みだすことに成功した。その代わり、以後ハドック船長の役割が増すにつれ、スノーウィの役まわりは小さくなっていく。


『タンタンの冒険 その夢と現実』1

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