『タンタンの冒険 その夢と現実』1

<『タンタンの冒険 その夢と現実』1>
図書館で『タンタンの冒険 その夢と現実』という大型本を手にしたのです。
ぱらぱらとめくると、漫画の画面とそのシーンの元になった写真が載っているし・・・
なにより丁寧な解説に好感を持つわけでおます♪


【タンタンの冒険 その夢と現実】

マイクル・ファー著、ムーランサール ジャパン、2002年刊

<商品の説明>より
本書では「タンタン、ソビエトへ」から未完成の最後の物語「タンタンとアルファアート」までの物語を 順に解説しています。 現実世界を想像の世界に取り込んだエルジェのクリエイティビティ、 完璧なものへの彼の追求など、エルジェの創作のすべてを語っています。 慎重なリサーチが もたらす各ストーリーの詳細の正確さは、エルジェの作品の大きな特長です。 実際にエルジェが参考にした資料写真とその反映されたシーンを対比させながら 解説されているので、より深く「タンタンの冒険」の世界を知る事が出来ます。

<読む前の大使寸評>
ぱらぱらとめくると、漫画の画面とそのシーンの元になった写真が載っているし・・・
なにより丁寧な解説に好感を持つわけでおます♪

amazonタンタンの冒険 その夢と現実

「青い蓮」

まず、大使一押しの「青い蓮」を、見てみましょう。

<青い蓮>p50~52
混乱の中国でタンタンは親友を作り、エルジェは日本軍の侵攻を予見する。
 同じくオリエントを舞台に描いたその2作目は、傑作だ。シリーズ最初の傑作だと一般にいわれており、最良の作だと評する声もある。これがシリーズの転換点をなす作品であることには、異論がないだろう。

 初期の一連の作品では、まだつぼみだったさまざまな資質が、ここに一気に花ひらいている。「青い蓮」によって、初めて物語は注意深くしっかりと構成されることになった。プロットはつぎ目なく進展し、結末までゆるみがない。エルジェはもはや、毎週その場の思いつきでストーリーを作ることをしなくなった。

 「ファラオの葉巻」では、エルジェは自分の手に負えなくなる方向に、物語が進みだしたとはっきり感じた。その反省から、「青い蓮」は、前もってもっとよく話が練られ、行き当たりばったりではなく、しっかり現実に根ざして着実に進んでいく。自分がどこへどのようにして向かっているのか、エルジェにはわかっていた。

■中国人学生と知りあう
 「ファラオの葉巻」の物語展開に、エルジェはいらだったからではなく、ブリュッセルでエルジェが中国人の美術学生と幸福な出会いをしたことから、その後の変化は起こった。

 それまでは、タンタンが旅する外国とその国の人びとは、1920-30年代にかけてしばしば戯画化されていたように、ありきたりのイメージや写真などにそって描かれていた。ボルシェビキは嘲笑されるべき悪であり、アフリカ人は遅れていて迷信深く、アメリカ人は資本家かギャングであり、エルジェが敬愛するインディアンたちも、どこかだまされやすく単純な姿に描き出されていた。だが、今度はちがった。

 コンゴで意欲的に活躍していたベルギーの宣教師たちは、はるか中国にもキリスト教をひろめようとしていた。宣教師の教えに刺激されて、若い中国人たちも、さらに勉強しようと、かなりの数がベルギーにやってきていた。ルーヴァン大学の中国人学生指導官だった司祭のゴセ神父は、エルジェに手紙を出し、紋切り型の描写をやめて、中国人を身近で見て、よく調べて描くようにと書いてきた。

 常に学んで完全をめざすことに熱心だったエルジェは、その忠告に意欲的に反応した。1934年、ゴセ神父はエルジェに、ブリュッセル美術アカデミーの有望な彫刻科の学生で、エルジェと同じ27歳のチャン・チョンジン(張充仁)を紹介した。ふたりはたちまち仲よしになった。

 ふたりは長く話しこみ、エルジェは新聞の切り抜き資料がもたらすよりずっとはるかに真実な中国のイメージを得た。チャンによって彼は、それから生涯にわたる中国の魅惑に目ざめたのである。その複雑な歴史、広大な土地、ことば、文学、哲学に宗教・・・そのすべてが吸収力の高いエルジェのまえに見えてきた。
(中略)

■中国文字を正確に
 エルジェ自身、最初の2冊のタンタン物語で、ステレオタイプを描くというワナにはまったものだ。「タンタンのソビエト旅行」では弁髪の中国人が拷問をするし、「タンタン アメリカへ」の白黒版では、ふたりの中国人に食われてしまうんじゃないかとスノーウィはおびえる。
(中略)

 エルジェによると、これが彼の「ドキュメンタリスト」としての時期の始まりだという。彼は、自分が描きたい真実の中国を撮った写真を集めたが、単に入手した写真からそのまま描くのではなかった。画家と同じように、彼は中国人の姿勢や動きや中国の服や建築物を鉛筆でスケッチして研究した。
(中略)

 タンタンはレストランを意味する漢字の下でお茶を飲み、アヘンを吸う場面の上にも「吉慶如意」(縁が良く順調でありますように)という文字がある。彼は上海の通りを「日本軍にさからった罪で死刑」と記した首枷をはめられて、ひきまわされる。通りの名や看板類は正確に描かれていて、中国語を学ぶ学生たちに楽しみを与え、物語の背景に圧倒的な真実味を加えている。



LUTOさんの『タンタンの冒険』より

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