『ぐるぐる博物館』2

<『ぐるぐる博物館』2>
図書館で『ぐるぐる博物館』という本を、手にしたのです。
巻末を見ると、「月刊ジェイ・ノベル掲載分」を主に編集した本のようだが…編集者の企画が良かったのかも♪

ところで、帰って調べてみると、この本を借りるのは二回目であることが解りました。で、(その2)としています。2年半前に借りていたのだが、(当然)記憶の彼方でおました。


【ぐるぐる博物館】


三浦しをん著、実業之日本社、2017年刊

<「BOOK」データベース>より
人類史の最前線から、秘宝館まで、個性あふれる博物館を探検!書き下ろし「ぐるぐる寄り道編」も収録!好奇心とユーモア全開、胸躍るルポエッセイ。
【目次】
第1館 茅野市尖石縄文考古館ー私たちはつながっている/第2館 国立科学博物館ー親玉は静かに熱い!/第3館 龍谷ミュージアムー興奮!の仏教世界/第4館 奇石博物館ーおそるべし!石に魅せられた人々の情熱/第5館 大牟田市石炭産業科学館ー町ぜんぶが三池炭鉱のテーマパーク/第6館 雲仙岳災害記念館ー災害に備えつつ穏やかに暮らすということ/第7館 石ノ森萬画館ー冒険と希望の館で失神するの巻/第8館 風俗資料館ー求めよ、さらば与えられん/第9館 めがねミュージアムーハイテク&職人技の総本山/第10館 ボタンの博物館ー美と遊びを追求せずにはいられない

<読む前の大使寸評>
巻末を見ると、「月刊ジェイ・ノベル掲載分」を主に編集した本のようだが…編集者の企画が良かったのかも♪

rakutenぐるぐる博物館

仮面の女神

この本の冒頭が縄文考古館となっていて、縄文人がミニブームとなっている大使にとって、ツボが疼くわけでおます。
p8~13
<第1館 茅野市尖石縄文考古館>
 2013年7月下旬、いよいよ博物館探訪のはじまりだ。初回はどんな博物館がいいかなと考え、長野県茅野市の「尖石縄文考古館」へ行くことにした。いまから約五千年前、日本列島ではどんなひとたちが、どういう生活を送っていたのだろうか・・・。

 と言いつつ内心では、「まあ、土器だよな」と予想する。いまとなっては縄文時代ぐらい昔のことに思えるが、学生のころ、日本史の教科書に「縄文式土器」の写真が載っていた。弥生式土器に比べて装飾的で、ダイナミックなデザインが特徴、とかなんとか書いてあった気がする。

 いくらダイナミックといえどおも、所詮は土器。まさに「土色」の、地味な展示内容なのではと危惧していたのだが、ぜんっぜんちがいました!

 いや、たしかに展示物の中心は土器だった。しかし、質量ともにすごい! どこを見ても土器土器土器! たまに石棒! 土器がまた、60センチ以上もある大型のものや、デザインが凝りに凝っているものなど多種多様で、見ていて飽きない。「ほえー」と感嘆し、じっくりと館内をまわった。

 尖石縄文考古館に入って最初の部屋は、尖石遺跡のあらましと、この遺跡を発掘した宮坂英カズ氏の紹介コーナーだ。

 付近では以前から、開墾の際などに地面を掘ると、土器やらなんやらが出てきた。だが、明治になるまで、日本には「考古学」という学問がなかった。そのため、地中から土器のかけらが出てきても、「なんじゃこりゃ。古い時代のものっぽいが・・・」という程度で、本格的な調査はもちろん行なわれていなかった。

 出土品に興味を持ち、精力的に発掘しまくったのが宮坂氏だ。小学校の先生だった宮坂氏は、独学で考古学を勉強し、昭和のはじめから戦後にかけて、すべてをなげうって発掘と詳細な調査にあたった。「すべてをなげうって」というのは誇張ではない。小学校の授業が終わると、発掘せんとすっ飛んでいった。夏休みは朝から晩まで掘った。冬休みは雪が降り地面が凍ってしまうので、出土した土器の整理と記録に没頭した。

 宮坂氏の自宅の濡れ縁を撮った写真を見ると、大量の土器に埋めつくされ、障子は破れている。お給料の大半を発掘費用にまわしたため、一家は赤貧生活だった。
(中略)
 つまりは土器に魅せられた「変人」なのだが、偉人であるのもたしかだ。大切な家族を失い、宮坂氏の悲しみと落胆は深かったけれど、それでも黙々と発掘を続けた。そのおかげで尖石遺跡は「発見」された。約五千年前、八ヶ岳の麓に集落があり、豊穣な「縄文文化」が花開いたことが、宮坂氏の発掘調査によってはじめてわかったのだ。
(中略)

 いよいよ、大量の土器が展示された広い部屋へ入る。「土器攻撃」とでも言おうか、大変な質と量に圧倒される。手作りだから当然だが、ひとつとして同じものはない。花かリボンみたいな飾りが縁についていて、メルヘンチックなもの。胴はすっきりした形で、口の部分が大きく開いた、繊細な模様が施された薄手のもの。取っ手がかわいい顔になっているもの。大きさも形もデザインも、本当に多様だ。「あれは花瓶として、こっちは傘立てとして使えそう」と、欲しくなって困る。

 土器だけではなく、土偶もたくさん展示されている。超豊満体形の「縄文のビーナス」(国宝!)、逆三角形の仮面をつけた「仮面の女神」など、それこそ教科書に載ってる級のお宝を見ることができる。なめらかでふくよかなフォルムを眺めていると、「」とうっかり思われてくる。

 「下手な土器や土偶」コーナーもあるのがおもしろい。「これは子どもが作ったのか?」と思うほど、掛け値なしに下手だ。大昔から、美的センスに欠け、手先が無器用なひとはいたんだなと、親近感を覚える。もしかしたら、土器を作る大人のかたわらで、子どもたちも見よう見まねで土をこねて遊んでいたのかもしれない。


『ぐるぐる博物館』1:風俗資料館

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