『京都鬼だより』3

<『京都鬼だより』3>
図書館で『京都鬼だより』という本を、手にしたのです。
喧嘩っ早いというか、論争も辞さずという梅原さんの一面が見えるのではないかと期待するのです。


【京都鬼だより】


梅原猛著、淡交社、2010年刊

<「BOOK」データベース>より
古来、鬼となり果ては怨霊と化すのが学者の姿。浮世の万象を伝えるべく、心優しき鬼は語る。

<読む前の大使寸評>
喧嘩っ早いというか、論争も辞さずという梅原さんの一面が見えるのではないかと期待するのです。

rakuten京都鬼だより


京都に対する想いが「あとがき」に語られているので、見てみましょう。
p196~198
<あとがき>
 京都には三人の鬼がいるという。京都の西に瀬戸内寂聴という女鬼が、京都の中央に千玄室という男鬼がいて、そして東に梅原猛という鬼がいるという噂である。

 アイヌ研究者の藤村久和氏によれば、アイヌ語で歳をとった人間のことを「オンニ」という。私は、アイヌ語は縄文語の名残を多分にとどめる言語と考えているが、古代日本人は、人間が歳をとると鬼になると考えたのであろう。鬼には悪鬼と善鬼がいるが、人間が歳をとってなる鬼は悪鬼より善鬼であろう。能に登場する翁やオウナも、どこかにすでに人間ではなくなった鬼の性格をもっている。

 この京都の三鬼はいずれも歳すでに85を過ぎているが、共通なのは歳をとってますます元気であるということである。若き日、特攻隊員として空を飛んだ千玄室氏には戦友たちへの供養の気持ちがあるのであろう。鵬雲斎という斎号の如く、今や世界中を飛びまわり、平和の教えでもある茶道を世界各国に普及させている。

 そして瀬戸内寂聴氏は仏教のいわゆる「煩悩即菩薩」の理の体現者である。寂聴氏ほど愛欲の心が強い女性はあるまい。その寂聴氏が愛欲の悩みの末に出家して、人を救う菩薩になったのである。この女鬼は悩める人の話を聞き、そしてその悩みをどう超えるかを朗らかに教える布施の行をみごとに実践している。

 私はこの二人のすばらしい鬼にはとてもかなわないが、80歳を超えてから能の研究を志し、そして85歳にして自己の旧説を徹底的に批判する『葬られた王朝』(新潮社)なる著書を書くというのは常人のできることではないと人は言う。

 80の半ばを超え、若き日と変わらず、あるいは若き日よりいっそう真理という女神の探求に燃えている私もまたすばらしい鬼の仲間に入ることができるかもしれない。千年の間都があり、東京とは違って政治の風が当たることの少ない京都は鬼の住みやすいところなのであろう。

 本書は、私が京都新聞という京都を代表するメディアの「天眼」欄に連載したエッセーをまとめたものである。「天眼」は年に十回ほどの掲載であるが、私は時に応じて学問や芸術、政治やスポーツなどについての感想を自由に語った。京都新聞紙上の表題は「天眼」であるが、私のエッセーは「天眼」より「鬼眼」と名づけたほうが適当かもしれない。
 淡交社副社長、服部友彦氏の求めに応じて、長年にわたる「天眼」のエッセーを『京都鬼だより』として一冊の書物にした次第である。


『京都鬼だより』2:平和志向の徳川政権
『京都鬼だより』1:出雲神話論争

この記事へのコメント

omachi
2019年03月24日 12:14
お腹がくちくなったら、眠り薬にどうぞ。
歴史探偵の気分になれるウェブ小説を知ってますか。 グーグルやスマホで「北円堂の秘密」とネット検索するとヒットし、小一時間で読めます。北円堂は古都奈良・興福寺の八角円堂です。 その1からラストまで無料です。夢殿と同じ八角形の北円堂を知らない人が多いですね。順に読めば歴史の扉が開き感動に包まれます。重複、 既読ならご免なさい。お仕事のリフレッシュや脳トレにも最適です。物語が観光地に絡むと興味が倍増します。平城京遷都を主導した聖武天皇の外祖父が登場します。古代の政治家の小説です。気が向いたらお読み下さいませ。(奈良のはじまりの歴史は面白いです。日本史の要ですね。)

読み通すには一頑張りが必要かも。
読めば日本史の盲点に気付くでしょう。
ネット小説も面白いです。

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