『伊藤元重が警告する日本の未来』4

<『伊藤元重が警告する日本の未来』4>
米中貿易戦争という荒波のなかで、経済的な没落に瀕しているニッポンであるが・・・
団塊世代が後期高齢化するなか、さあどうする?という思いでこの本を借りたのです。



【伊藤元重が警告する日本の未来】


伊藤元重著、東洋経済新報社、2017年刊

<「BOOK」データベース>より
 AI、IoTが生み出す勝者と敗者、保護主義の拡大、日米FTAの行方、働き方改革、生産性をどう引き上げるか、穏やかなインフレで財政再建できるかー団塊世代が後期高齢化する2025年へ向けた課題を読み解く。

<読む前の大使寸評>
米中貿易戦争という荒波のなかで、経済的な没落に瀕しているニッポンであるが・・・
団塊世代が後期高齢化するなか、さあどうする?という思いでこの本を借りたのです。

rakuten伊藤元重が警告する日本の未来


米中貿易戦争のさなか、えげつないチャイニーズ・スタンダードや“強いドル”を見てみましょう。
p131~133
<経済標的としての中国の浮上>
 ナヴァロ=ロス・レポートの中で次に目を引くのは、「中国がWTOに加盟したことによって、アメリカは非常に大きな損失を被った」と述べている部分です。中国は1986年にGATT(関税及び貿易に関する一般協定)加盟の申請を行なっていますが、それから15年経った2001年になって、ようやく(GATTの後継機関である)WTOに加盟を認められています。それによって中国経済が成長の大きな機会をつかんだことは事実です。現在、世界第2位の巨大経済国となった中国の成長の原点は、この2001年のWTO加盟にあるといっていいでしょう。

 WTO加盟の際は、もちろんアメリカも、条件をつけつつ、中国の加盟を認めたわけです。しかしナヴァロ=ロス・レポートは、それによって中国から安い工業製品がアメリカに流入してきたことで、アメリカは大きな雇用を失ったと主張しています。これは必ずしも彼らの思い込みだけではありません。

 経済学者による実証研究もあり、マサチューセッツ工科大学(MIT)のデイヴィッド・オウター教授らは、中国からの輸入品との競争がアメリカ経済に与えた影響を研究しています。1990~2007年のデータを基に、輸入品との競合がその時期のアメリカ製造業の雇用減少の4分の1を説明していると述べています。

 また、中国製品の輸入増大は、雇用だけでなくアメリカのイノベーションにも悪影響を及ぼしている、という分析も発表しています。ダロン・アセモグル教授とオウター教授らの共同研究では「中国からの輸入拡大によって、1999~2011年に200万~240万人の雇用減少が引き起こされた」という数字も挙げられています。

 ナヴァロは自身の著作の中で、「中国企業はアメリカの技術を不当に盗んだり、パテントや商標で守られているはずの商品のニセ物を作って売っている。あるいは劣悪な労働環境の下で作った安い商品を売っている。アメリカは中国からの輸入に門戸を開いているが、中国はアメリカからの輸出に対して非常に高い関税をかけ、中国に進出しようとするアメリカ企業に対してさまざまな制約を課している。これはアンフェアであり、正されねばならない」というふうに述べています。トランプ政権の通商政策における大きなターゲットが、中国との関係にあることは明らかでしょう。

 日本国内ではそれほど話題になっていませんが、ナヴァロ=ロス・レポートは、アメリカと韓国が自由貿易協定を結んだことについても、「間違いだった」と評価しています。


次にトランプ政権の為替操作批判を、見てみましょう。
p133~134
<各国を戸惑わせる為替操作批判>
 通商問題と関わりの深い為替レートについてもトランプは大統領就任前の早い時期からコメントしています。
 1月の『ウォールストリート・ジャーナル』紙のインタビューでは、「中国は人民元を安値誘導しており、われわれの通貨が強すぎるため、アメリカ企業は競争することができないでいる」と発言したと伝えられます。就任直後にも、製薬会社との会合で「他国が通貨を安く誘導し、アメリカ企業は自国で薬を作れなくなっている」、「中国や日本が市場で何年も通貨安誘導を繰り広げている」として、日本の為替政策も批判しました。

 これは日本にとって重要なポイントといえます。トランプ大統領自身、為替レートをかなり重視していて、為替市場におけるドル高を強く牽制しているのです。
 冷静に考えれば、今の“強いドル”を生み出している原因が日本や中国の為替操作にあるという主張は、かなり論拠が怪しいといえます。

 もちろん各国にもそれぞれ事情があって、たとえば日本では日銀が短期金利をマイナスに、長期金利もゼロ%近傍に抑えるという、大胆な金融緩和を続けています。日銀は経済をデフレから脱却させるためにこの金融緩和を行なっているわけで、為替操作が目的ではないのですが、結果的にそれが円安を導いていることも事実です。

 ですから、「金融緩和のやりすぎで円安になっている。けしからん」とトランプから攻撃されたら、これは政府・日銀にとってプレッシャーになってくるでしょう。
 トランプ政権の為替操作批判に関連して問題だと感じる点はもう一つあります。為替レートと貿易収支の問題が一緒に論じられていることです。国別の対米貿易黒字をみると、中国と日本が2016年の1位、2位を占めています。トランプ大統領は為替レートそのものよりむしろ貿易収支を問題視しているように思われます。

米中の台頭でニッポン一人負けのような状況であるが・・・
そのあたりについて経済同友会の小林さんが敗北日本 生き残れるかで警鐘を鳴らしています。

『伊藤元重が警告する日本の未来』3:ブロックチェーンやスマホの位置情報
『伊藤元重が警告する日本の未来』2:サブスクリプション型ビジネス
『伊藤元重が警告する日本の未来』1:二つのイノベーション

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