『日本人はどう住まうべきか?』1

<『日本人はどう住まうべきか?』1>
図書館で『日本人はどう住まうべきか?』という本を手にしたのです。
おお 養老さんと隈さんが、ニッポンの住宅を語り合った本ではないか♪
住宅政策や住宅広告の裏まで突き通してばらしてしまうような内容ではないかと、期待するのです。


【日本人はどう住まうべきか?】


養老孟司, 隈研吾著、日経BP社、2012年刊

<「BOOK」データベース>より
都市集中。過疎。自然喪失。高齢化。そして、震災、津波。21世紀、どこに住み、どう生きるのが幸せだろう。
【目次】
第1章 「だましだまし」の知恵/第2章 原理主義に行かない勇気/第3章 「ともだおれ」の思想/第4章 適応力と笑いのワザ/第5章 経済観念という合理性/第6章 参勤交代のスヽメ

<読む前の大使寸評>
おお 養老さんと隈さんが、ニッポンの住宅を語り合った本ではないか♪
住宅政策や住宅広告の裏まで突き通してばらしてしまうような内容ではないかと、期待するのです。

rakuten日本人はどう住まうべきか?



第4章「適応力と笑いのワザ」の冒頭を見てみましょう。
p98~101
<家の「私有」から病いが始まる>
隈:都市にしても、住居にしても、家がプライベートな空間だと思ったときから、いろいろな間違いが始まったのではないかと僕は思っています。プライベートという思いがさらに進むと、「私有」になる。自分の一生の財産であり、人生の目標だと思い込むと、ペンキのヒビ1本も許さなくなるでしょう。そうして、ヒビの入らないビニールクロス張りのマンションができあがり、サブプライム・ローンの破綻に行き着く。

養老:日本では分譲マンションが圧倒的に主流ですね。ビルそのものは公共的なものなのに、その公共的な場所の一部分を私有するというヘンな感覚が普通になってしまっている。

隈:年月が経つとそのあたりの矛盾が大きな問題になります。マンションは建て替えがしにくい。建て替えられない場合は最終的にはスクラップにするか、スラム化してしまうか、しかありません。それなのに、分譲されるときは、あたかも一生の安心を買ったような気になってしまう。

 20世紀の最初に、住宅ローンで家さえ手に入れば幸せな一生を約束する、という上手なウソをアメリカが発明したのですが、そのアメリカ製の幻想が日本で一番うまく効いちゃったわけですね。

養老:買うときは、コンクリートだからいいだろう、と思うんだろうけどね。

隈:むしろコンクリートだからこそ、実は建て替えも簡単にできない。頑丈だということが逆にマイナスになってしまうわけですが、買うときはそれに気付かないんです。

養老:杉の植林と同じだよね。植えるときは5年で大きくなるのはいいんじゃないかと思う。でも、50年後に花粉でみんなが苦しむというのは、まったく分からなかったわけだよね。

隈:都市というのは基本的に、賃貸という形を採用することで、家族形態の変化やライフスタイルの変化などに応じて、フラフラと移動しながら住むようにできているんです。経済状態だってしょっちゅう変わるし、それにつられていろいろなことが変わっていく。都市という生き物は、住宅を分譲して「資産だよ」と言った途端に、大きな病を抱え込むことになります。

養老:流動性がなくなるということだからね。都市という生命体の代謝が悪くなる。

隈:日本人は景観としてもディティールとしても、豊かな住文化を持っていたのに、どうしてそれをぶち壊しにするようなマンションを乱造しっちゃったのか、と外国人は言います。日本ファンの人ほど失望していて、オフィスビルなんかはまだいいけれども、日本のマンションはとても見られないと彼らは言うわけです。資産として売るためにどうしたらいいかという、分譲のマーケティングを徹底した末の肌寒い光景です。

養老:だいいいち、アレをみんな求めているんですかね。

隈:いわゆるマンションの景観に満足している人はいませんが、実際に買う人はたくさんいるわけです。ですから売る技術だけは、ものすごく進歩しちゃったということですよね。似たマンションが立ち並ぶ場所では、他よりもこういうふうによく見せるとか、駅から遠い立地だったら、別の便利さを付加するとか。そうやってできるだけ高く売る技術だけが異常に進化して、いまだに買う人がいるんです。日本人は、いったん固定された課題の中でやる競争となると、異常に頑張っちゃう。

養老:分譲という手法は、高度成長期に大型のニュータウンを作るときに、金融のシステムと一緒に作ったシステムだよね。

隈:そうです。確かにそのシステムが経済成長期には内需拡大のドライブになりました。高度成長というのはインフレ容認型の経済ですから。消費者化する日本人に向けて純粋な金融資産だけではお金は増やせないよ、土地を持っていないとお金は目減りするよ、という幻想を与えたんですね。

養老:金本位制ではなく、土地本位制だね。

隈:おまけに現実には賃貸でろくな住宅が見つからない。それなら賃貸より買った方が資産志向も満たされるし、好きな環境にも住める。そのような幻想がどんどん補強されていったんです。

 企業にとってみれば思うツボで、賃貸よりも分譲の方がすぐにお金を回収できる。分譲で投資が処理できたらこんな楽なことはない。

養老:なんとも手離れのいいビジネスだねえ。

隈:僕は、都市にすむなら賃貸が合理的だと考えますが、もし家を「買う」と言う人がいたら、今お話したような、企業にとっておいしい分譲の背景は知っておくべきです。


この本も主体的な住居とはに収めるものとします。

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