(終わりと始まり)AI時代の警告

<(終わりと始まり)AI時代の警告>
大使の新聞スクラップの一つに朝日新聞(終わりと始まり)シリーズがあるのだが・・・
そこに載っていた「AI時代の警告」がええでぇ♪ということで、紹介します。


(2019-2-07デジタル朝日からコピペしました)


2019-2-07(終わりと始まり)AI時代の警告より
 テクノロジーが社会を変えることに現代人は慣れている。たいていの場合、それをよきこととして受け入れている。しかし社会の動きには勢いがあるから、失敗とわかっても撤退は容易ではない。原子力発電が好例。

     *
 人工知能(AI)はどうか?
 コンピューターの演算速度が指数関数的に上がり、記憶装置のコストが指数関数的に下がって、インターネットが普及、人間の知的労働の相当部分を任せられるようになった。産業革命で筋肉労働の多くを動力に譲ったのと同じことが起きようとしている。


 楽観的な者は、暇になる分だけ人間は遊んで暮らせるようになると言う。

 あるいはシンギュラリティの到来。こんな広告コピーめいた言葉を誰が作ったかと思うが、内容は「(真の意味での)AIが人間の能力を超える地点」ぐらいのこと。人間もずいぶん舐められたものである。

 こういう言葉で世間を煽って産業を活性化するのは資本主義においては正しい手法なのかもしれないが、しかし科学はそれを疑わなければならない。

 数学者・新井紀子の『AI VS.教科書が読めない子どもたち』はこれについての必読の書だ(ぼくは去年の暮れ、養老孟司さんに教えられてこれを読み、深く納得した)。

 新井は2011年に「ロボットは東大に入れるか」(通称「東ロボくん」)というプロジェクトを起こして以来、AIの実力を検証してきた。チェスや囲碁などで人間に勝って威力を示してきたけれど、しかしこれは億単位の数の「過去問」ないし「教師データ」を参照するという、コンピューターが最も得意な分野でのこと。

 コンピューター、英語の語源は「計算機」である。四則演算をするだけ。中国人が作った「電脳」という言葉が期待過剰だったのだ。コンピューターからは入れたものしか出てこない。

 東ロボくんはなかなかの実力を持っている。2016年のセンター模試で偏差値57・1。東大に固執しなければ入れる大学はいくつもある。つまり今は人間がやっている仕事の多くはAIに置き換わられ得る。しかもこの変化は産業革命の時よりはずっと速く、対応が間に合わないほどの速度で進む。

 年間五十万人の大学受験生の八割が東ロボくんに負ける! その実態を新井は、半沢直樹が失職すると表現する。融資の審査などAIまかせで済む。全雇用者の半数が仕事を失う。これは1929年の大恐慌を超える社会崩壊だ。

     *
 では人間にできてAIにできないことは何か?

 数学の文章題――「平面上に四角形がある。各頂点からの距離の和が一番小さくなる点を求めよ」。これがスパコンを使っても、宇宙開闢(かいびゃく)から現在に至る時間を費やしても、解けない。対角線の交点という解が出てこない。

 新井は、東ロボくんプロジェクトは偏差値65あたりが限界だと言う。いくらコンピューターとメモリーの性能が向上しようが、人間の頭脳との間には越えられない一線がある。

 センター入試、英語の「語句整序」問題を解かせるのに10億単語からなる3300万の例文を覚え込ませても、正答率は三分の一。

 なぜか? 簡潔に述べれば、人間の問いに対して「AIは意味を理解しているわけでは」ないのだ。それらしい結果を求めて厖大な計算をしているだけなのだ。コンピューターにとって「意味」という言葉は何の意味もない。

 ぼくなりに解釈すれば、「意味」の実体は欲望である。生存欲、物欲、性欲。要するに個体として他に抜きん出たいという欲望。進化の推進力、生物の基本原理。それが無生物であるAIにあるわけがない。だから「何のために?」が分からない。

 新井紀子は数学的=科学的思考と社会性を結ぶプロデューサーとして優れている。東ロボくんだけでなく、中高生の基礎的読解力を調べる大プロジェクトの結果も説得力に満ちている。多くの学校や企業の協力を得ての累計二万五千人(執筆当時)を相手の調査(RST リーディング・スキル・テスト)は統計として十分に有意だ。

 RSTの問題文は文学ではない。「義経は平氏を追いつめ、ついに壇ノ浦でほろぼした」と「平氏は義経に追いつめられ、ついに壇ノ浦でほろぼされた」が同義であるか否か、というレベル。そして、「中学生の半数は、中学校の教科書が読めていない」という結果に至る。同義文判定はAIが苦手とすることだから、そこで負けてしまっては人間の職場はなくなる。

 小学生から英語とかプログラミングとか、官僚の思いつきで教育をいじるのは止めた方がいい。教科書文が読めなければ運転免許の取得もむずかしい。人口の半分がAIに負けて失職する。これは深刻な警告である。


紙のスクラップとWebデータとで、重複保管になるのだが、ま~いいか。

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