『グリフォンの頭』1

<『グリフォンの頭』1>
大学図書館がときどき不要となった本を放出しているのだが、そこで『グリフォンの頭』という本を入手したのです。
副題が「工学者の愛しているコンピュータ」となっていて、全篇にわたって「不思議の国のアリス」が引用されているという・・・興味深い構成になっています。



【グリフォンの頭】


Th.K. オトスキー著、アジソンウェスレイパブリッシャーズジャパン、1996年刊

<「MARC」データベース>より
こよなくコンピュータを愛する工学者9人が、32の設問と解答を通じてコンピュータに対するイメージを組み立てる。コンピュータによる社会現象のシミュレーションは可能か、ネットワーク戦争について、等。

<読む前の大使寸評>
副題が「工学者の愛しているコンピュータ」となっていて、全篇にわたって「不思議の国のアリス」が引用されているという・・・興味深い構成になっています。

amazonグリフォンの頭



この本をめくると「不思議の国のアリス」の挿絵があちこちに出てくるのだが・・・
その訳が「はじめに」に述べられているので、見てみましょう。
piv~v
<はじめに>
 この本のタイトル「グリフォンの頭―工学者の愛しているコンピュータ」について少しばかりの蛇足を加えておこう。「不思議の国のアリス」の中ではグリフォンと呼ばれる動物がいる。これは、胴から上は鷲で羽があり、胴から下がライオンの想像上の動物である。一般にはこの動物は、神的なものと人的なものの一体化した象徴と考えられている。日本古来の対応する動物では「ぬえ」に相当するといえよう。

 日本の「ぬえ」は、化け物の一種で人に害を与え、人間に敵対する動物のようである。これに対しグリフォンは、少なくとも「不思議の国のアリス」における性格づけでは、アリスに優しい、陽気な動物となっている。見た目は恐ろしいが人間に優しいというパターンは、コンピュータに似ている。

 コンピュータは見る人によって、見る立場によってさまざまに理解される。いまや、コンピュータとは何かという設問に包括的に答えられる人はいないのではないか。現に、この原稿を作成しているワードプロセッサもコンピュータの一つの応用であるが、この本ではワードプロセッサとしてのコンピュータの応用はほとんど念頭にない。

 この意味で、グリフォンという得体の知れないコンピュータの中から、この本で著者たちが理解した部分を「グリフォンの頭」という言葉で表したのである。

この本は、短い設問あるいは命題と、これに対する解答ないし解釈、さらにこれらに対するコメントにより構成されている。設問の選び方、解答やコメントは、大学や企業の立場を離れて自由奔放に思いきって書かれている。結果として、生半可な知識を振り回して、物事の本質を見失っている議論もあるかもしれない。(中略)

 しかし、ここでの文章はいずれもコンピュータをこよなく愛する工学者や実際の問題解決に携わっている企業の工学者の心情を吐露したものである。この本で考えた32個の設問と解答を通じて、コンピュータに対する一つのイメージを読者に汲み取っていただければ、著者たちは幸せである。


設問と解答の一例を見てみましょう。
p5~8
<2 巨大データベース>
【設問】
 歴史上のあらゆる文献を入力したデータベースが可能になったとき、これから推論される未来は天国か地獄か。

 ごく最近まで人間が蓄積した知恵は、文章によってか、広い意味の絵画によって表現され紙の上に記録されてきた。これらの情報は、有限のビットパターンに変換可能であろうから、データベース化も可能である。このようなデータベースから未来を推論するプログラムを作成することも可能であろう。こうして推論される未来はどのような様相を示すだろうか。現在の私たちにとっては、天国と感じられる世界なのだろうか。それとも地獄となるのだろうか。

***********************************************************
【解答】
 天国である。
 数多くの人々が、毎日毎日、知恵と汗をしぼって多くのデータを作り出している。それらは真なること、善なること、美しいこと、愛についてのことを小説、エッセイ、音楽、絵画や学術文献、報告書の形で表現してある。

 それらは文章、画像、音響であり、紙、CD、LD、フィルム、CGなどの媒体を通して手に入れられる。また、特別な知恵を絞らなくても社会活動の巨視的、微視的な側面を写した新聞、雑誌からデータが手に入る。それを集積した統計が手元に来る。

 このデータあるいは情報は、数値的な、画像的な、音響的なものである。実に膨大なデータである。これをある視点で整理して、コンピュータの利用を前提として収集したものがデータ集やデータベースと呼ばれる。こうすると今日の活動や成果としての情報は将来のデータベースの素材料である。

 経済についてのデータベースが異なった観点で数種類も用意されていると、自分で仮定したモデルを用いて経済予測も可能かもしれないし、あるいは物事のメカニズムを新しく解釈できるかもしれない。物理的で工学的なデータベースがあるとき、それからインプリケーション(含意)を抽出して新しい工学的装置が開発可能になろうと考える。

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