『知性は死なない』1

<『知性は死なない』1>
図書館に予約していた『知性は死なない』という本を、待つこと5ヶ月ほどでゲットしたのです。
自身の「うつ」からカミングアップした著者の近作であるが・・・
副題が「平成の欝をこえて」となっているのがええでぇ♪


【知性は死なない】


與那覇潤著、文藝春秋、2018年刊

<「BOOK」データベース>より
平成とはなんだったのか!?崩れていった大学、知識人、リベラル…。次の時代に、再生するためのヒントを探してーいま「知」に関心をもつ人へ、必読の一冊!
【目次】
はじめに 黄昏がおわるとき/平成史関連年表 日本編/第1章 わたしが病気になるまで/第2章 「うつ」に関する10の誤解/第3章 躁うつ病とはどんな病気か/平成史関連年表 海外編/第4章 反知性主義とのつきあいかた/第5章 知性が崩れゆく世界で/第6章 病気からみつけた生きかた/おわりに 知性とは旅のしかた

<読む前の大使寸評>
自身の「うつ」からカミングアップした著者の近作であるが・・・
副題が「平成の欝をこえて」となっているのがええでぇ♪

<図書館予約:(7/25予約、12/09受取)>

rakuten知性は死なない


冒頭で「平成の欝」が語られているので、見てみましょう。
p10~13
 ほとんどの学者のとなえてきたことは、たんに実現しないか、実現した結果まちがいがわかってしまった。そうしたさびしい状況で、「活動する知識人」の時代でもあった平成は、終焉をむかえようといています。

「日本がわるい」では解決しない
 わが国の知識人には戦後以来、こうしたときにお決まりの論法がありました。
 いわく、「日本がおくれた社会なのがわるい」
 敗戦後の焼け野原では、この説明にも説得力があったでしょう。しかし、GDPが世界で2位ないし3位の経済大国となり、当該年齢の半数が大学にかよう時代にもなって「おくれているから知性が社会に根づかない」というのでは、責任転嫁のそしりをまぬがれません。

 そしてなにより、平成の最末期には「すすんだ社会」であったはずの欧米諸国でも、反知性主義と呼ばれる知識人の退潮があきらかになりました。

 移民排斥をうったえる政党が各国で勢力をのばし、存続の危機に立つとされるヨーロッパ連合。排外主義と差別発言を連発しながら、大統領に当選したアメリカのトランプ政権。国際協調や人権の尊重といった、戦後日本の知識人が模範としてきた理想は、諸外国でも同様の危機にさらされています。

 なかでも日本への影響が甚大なのは、同盟国である米国の変容です。トランプ大統領は選挙戦中に、コスト高を理由とする在日米軍の撤退をほのめかして、日米同盟を基軸とする保守派の安倍政権をもあわてさせました。

 米政府内での最強硬派の失脚もあり、いまのところ日米同盟じたいがにわかに縮小される懸念は、ひと段落しています。しかしアメリカという国がもはや。多大なコストをみずから負ってでも「人権を守る自由世界の守護者」といった、かつて知識人がかかげた理想をまもるために努力してくれるとは、期待できなくなったのはたしかです。

 平成の日本でも、ある種の排外主義や人種差別思想の台頭がみられましたが、欧米にくらべて影響は限定的でした。しかしこれは、たんに戦後日本が、ほとんど移民を受け入れてこなかったという事実の反映にすぎません。

 かわりに代理戦争としておこなわれたのが、日本がもっと移民を出し入れしていた時代・・・戦前の大日本帝国に由来する、植民地支配や在日外国人にたいする位置づけをめぐる「歴史認識論争」です。哲学者や歴史学者の一部が参加して、人文学としてはめずらしく、現実の政治にコミットする光景もみられました。

 とはいえはっきりしたのは、ここでも知識人にできることはたいしてない、という事実です。従軍慰安婦をめぐる論争は、強制連行説をとなえてきた朝日新聞が報道を撤回するなどして収拾が不可能になり、けっきょくは史実をあいまいにした「政治的妥協」以外に、とれる方策はないことを再確認しただけでした。

 近代的な理想の擁護者としてのアメリカの衰退により、ともに親米国家とされてきた日本と韓国とが歴史認識をめぐって、抜きさしならない関係に入り、いっぽうでは中国の覇権の東アジアにおける拡大を、どの線でとめるかも不透明になっています。

 そんな状態でも、非核化をめぐって妥協できずに北朝鮮と米国が開戦すれば、集団的自衛権を行使可能とした日本も当然、第二の朝鮮戦争への参戦が不可避となります。

 平成の30年間に知識人がこころみたのは、戦後という「パンドラの箱」の封印を解くことでもありました。たとえば憲法や軍事に関しては、かつてよりもタブーが少なく議論できるようになり、一般国民を先の大戦における軍国主義の「犠牲者・被害者」と位置づけてきた昭和の自画像にも、するどいメスが入れられました。

 しかし、その開けてしまった箱の中に、いまもまだ希望は残っているでしょうか。もういちど日本が「戦争」にまきこまれるという形で、「戦後」が完全におわりを告げるのなら、平成という長い黄昏のはてに待っていたのは、夜であり闇だったということになるのでしょうか。


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