『消えゆくアジアの水上居住文化』2

<『消えゆくアジアの水上居住文化』2>
図書館で『消えゆくアジアの水上居住文化』という本を、手にしたのです。
災害大国ニッポンであるが・・・
この本の「自然の脅威を回避し、快適で持続可能な環境をつくる知恵」という視点が、気になるのでおます。


【消えゆくアジアの水上居住文化】


畔柳昭雄編著、鹿島出版会、2018年刊

<出版社>より
アジアの水辺に残る、多様性を極めながらも個にして普遍的な水辺の暮らしと、近代化のうねりを受け、その変容する姿を見つめるーー。
アジアの水上住居は原始的のようでいて、環境と一体化する生活空間は今日的な示唆に溢れている。自然の脅威を回避し、快適で持続可能な環境をつくる知恵は伝統文化の賜物である。しかし、急速な都市化の波でこうした空間がいま減少しつつある。10年前は萌芽にすぎなかった現代社会との摩擦に注視しながら、価値あるアジアの環境的な空間づくりをフィールドワークの成果からビジュアルに読み解く。失われつつある貴重な生活文化の記録。

<読む前の大使寸評>
災害大国ニッポンであるが・・・
この本の「自然の脅威を回避し、快適で持続可能な環境をつくる知恵」という視点が、気になるのでおます。

rakuten消えゆくアジアの水上居住文化

遺跡と暮らす アンコールより

水上居住といえば、トンレサップ湖がまず思い浮かぶのです。
p90~97
<カンボジア・トンレサップ湖の湖上集落>
■伸縮する湖、トンレサップ湖 
 カンボジアのシェムリアップは、世界歴史遺産のアンコールワットやアンオールトムをはじめ、アンコール王朝時代に建立された宮殿などの遺跡が数多く残され世界的に知られている。ここにはもうひとつ注目すべきものがある。それは「伸縮する湖」として知られる東南アジア最大の淡水湖トンレサップ湖である。

 このトンレサップ湖をはじめて訪れたのは、2003年のこと。アンコール王朝に関連した遺跡の調査後に立ち寄り、それ以来何度も訪れることになった。当時はこの湖が雨季と乾季で湖面の広がりを大きく変えることや3階建てほどの高さを持つ高床式住居の存在、数多くの水上居住が湖面に集落を形成していることなど、まったくしらなかった。

 しかし、各漁村集落を訪ねるごとに、多様な水上居住があることに目を奪われた。この経験がその後のトンレサップ湖調査へと発展することになった。

 この地域は、おおむね5~11月が雨季、12~翌年4月が乾季である。雨季と乾季で、湖の水面の規模が大きく異なることから「伸縮する湖」と呼ばれてきた。雨季の湖面は乾季の5~6倍ほどに膨れ上がり、水位も5倍以上に上昇する。乾季は、平均水深が1.0~2.0m程度であるのに対し、雨季には8.0~11.0mほどになる。
(中略)

 トンレサップ湖の場合は、湖から流れ出るトンレサップ川が逆流することが要因である。トンレサップ川はメコン川に合流するため、メコン川の上流が増水すると、流路の影響を受けて逆流が起きる。

 環境変動の激しい湖周辺では、標高が10m以上の土地は農地に利用されている。10m以下の土地は浸水林や湿地帯となっており、場所によってはマングローブ林が繁茂する。氾濫湿地帯は雨季に水位が上昇すると奥行き20~40kmの幅で浸水する。樹木も背丈が高くないものは、枝葉の上部を水面に残し完全に水没してしまう。
(中略)

■湖畔湖面の住居と集落
 沿岸部の村々では、氾濫湖特有の水位変動に対応し、多様な居住形態が生まれだされてきた。変動の大きいところで水位は11mも上昇するため、これに耐えうる長い柱の高床式住居を建てたり、舟や筏で住居を水面に浮かべたりしている。

 これらの水上住居は、立地ごとの水位変動を反映したり、生産活動としての漁業形態を反映したりしている。大別すると、1.定位置に固定された高床形式の住居、2.移動可能な小型の高床形式の住居、3.簡易な仮設的小屋掛けにより湖面に立地する高床形式の住居、4.場所移動の可能な舟住居、5.定位置付近で移動する筏形式や浮函形式の住居がある。
(中略)

 また、トンレサップ湖の水上居住の特徴のひとつに、ベトナム系の住民の存在があげられる。彼らの定住地は、すべて水上に限られているのである。調査した4ヶ所の村のうち3ヶ所でベトナム系住民が見受けられた。その存在については、数百年前にトンレサップ川を遡りこの地で漁業を営み、今日まで継承されてきているという説がある。その他、難民としてこの地に逃れてきた、あるいは、カンボジア内戦時に進駐しそのまま居着いたなど、それぞれの村で事情は異なる。

 いずれにせよ、ベトナム系住民とクメール系住民の同化はないようで、同じ村のなかでもベトナム系住民は水上に限った居住であるのに対し、クメール系住民は陸上と水上の両方に居住できるなど違いを見せる。ただし、クメール系住民でも仏教徒は船上生活はしない。


『消えゆくアジアの水上居住文化』1

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