『巡洋艦インディアナポリス号の惨劇』1

<『巡洋艦インディアナポリス号の惨劇』1>
図書館で『巡洋艦インディアナポリス号の惨劇』という文庫本を、手にしたのです。
護衛する駆逐艦なしで単独航行したインディアナポリス号であるが・・・
当時、米軍の駆逐艦は輸送艦の護衛で手一杯であり、また6隻にまで数を減らした皇軍の潜水艦をかなりみくびっていたようです。


【巡洋艦インディアナポリス号の惨劇】


ダグ スタントン著、朝日新聞社、2003年刊

<「BOOK」データベース>より
太平洋戦争末期、日本軍潜水艦の魚雷を受けて沈んだ米巡洋艦。原子爆弾の部品を積み、密命を帯びた同艦の乗組員のうち300人は即死。海に投げ出された者にはさらに過酷な運命が待ち受けていた。低体温症、サメの群れ、飢え、乾き…紅蓮の炎と荒れる波間でいったい何が起こったのか。

<読む前の大使寸評>
護衛する駆逐艦なしで単独航行したインディアナポリス号であるが・・・
当時、米軍の駆逐艦は輸送艦の護衛で手一杯であり、また6隻にまで数を減らした皇軍の潜水艦をかなりみくびっていたようです。

amazon巡洋艦インディアナポリス号の惨劇


第3章「連鎖の始まり」で、撃沈前の状況を見てみましょう。
(インディー:インディアナポリス号、マクヴェイ:インディアナポリス号艦長)
p96~98
第3章 連鎖の始まり
 彼はさらに、グアム島からレイテ島へいたる「ペディー」船団航路をたどるように指示された。ペディー航路は全航程一千三百マイル、三年半におよぶ太平洋作戦において使われつづけ、きわめて一般的な航路とみなされていた。

 マクヴェイと「インディー」はこれから、マリアナ海面防衛司令部の担当区域からフィリピン海防衛司令部の担当区域へ移動しようとしていた。それは二つの異世界を往来することに似ていた。艦は東経百三十度の分割線を越えて、もう一方の縄張りに入るからだ。縄張りという表現でも明らかなように、複雑な要因がそこにはあった。

 両海域の意思疎通はそれぞれの区域を統括するニミッツ海軍元帥と、海軍をつねに風下に置こうとするマッカーサー陸軍元帥の政治的抗争によって、しばしば混乱を来すのだ。第七艦隊の責任者であるマッカーサーはこの艦隊を陸軍と一体運用しようとする。一方、太平洋艦隊司令長官のニミッツは、海軍が裁量権を維持することを望んだ。最終的に太平洋の海軍作戦の決定権はニミッツ提督に与えられたが、米陸海軍の二大巨頭の摩擦は依然存在した。

 確執の副産物として艦艇の位置情報とか、その他死活的に重要なデータが時おり失われることがあった。このことは、敵潜水艦から身を護ったり、危険をすり抜けるための護衛艦艇の支援を必要とする「インディー」にとって、トラブルの種になりかねなかった。

「インディー」にはソナーのたぐいがいっさいなかった。潜水艦の探知は彼女の役割ではなかったから、敵潜を狩りたてるのは駆逐艦の仕事であり、敵潜を見つけると、高性能爆薬を詰めた「トーペックス」という五十五ガロン入りのドラム缶を投下した。爆雷、別名「灰入れ」という兵器は通常、潜水艦を吹き飛ばしはしない(それほどの精度はない)が、音響振動の雲で押し包んで、潜水艦が沈むまで船体を揺さぶりつづけることは可能だった。

 マクヴェイの話がレイテ島まで同行してくれる護衛艦艇の要請に及んだとき、航路設定の責任者であるウォルドロン大尉は電話機に手を伸ばした。そして、水上艦作戦担当のオリヴァー・ネイクイン大佐のオフィスに電話をかけてくれた。大尉は当直士官に、レイテ島に向けて出航する護衛艦はないかと尋ねた。あれば「インディー」と同行させることができるからと。ところが、護衛は必要ないと言われてしまった。

 戦闘準備の整った駆逐艦は日本空爆を続行するB-29を支援するためすでに出払っており、墜落機の搭乗員回収に当たっているという。駆逐艦はまた、沖縄の前線地域へ新たな兵員を運ぶ輸送艦の護衛にも必要だと言われた。

 「インディー」はこれまでも単艦で行動したことがあり、戦争もこの時点になると、海軍司令部はこれほど後方海域なら護衛なしでも無事航行できるだろうと見なしていた。
 だから、ウォルドロンが電話を切り、護衛は必要ないそうだと告げたとき、マクヴェイはこの話を何事もなく受け入れた。もうじき始まる「インディー」の新たな航路はきっと順調にすすむはずだと確信していた。

 航路命令と情報報告を回収して、航海長が港務局から戻ってくると、マクヴェイはさっそく士官たちを招集し、「われわれは九州侵攻作戦の準備をするためレイテ島へ向かう」と伝えた。九州島は日本本土を形成する四つの島のうち最も南に位置し、東京からおよそ五百マイル離れていた。「インディー」にとって密度の濃い訓練が必要なのは明らかだった。


それにしても・・・
鴨撃ちやブリッジなどで快適な老後を満喫してるように見えたマクヴェイ元艦長が70歳で拳銃自殺してしまうとは、何だったんでしょうね。
もしかして、PTSDに耐える生活を解消したのでしょうか?

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