『壊れた地球儀の直し方』3

<『壊れた地球儀の直し方』3>
図書館で『壊れた地球儀の直し方』という本を、手にしたのです。
政治家やジャーナリストが公言できないようなことを、青山さんは腑分けして目の前にさらしてくれる感があるでぇ。


【壊れた地球儀の直し方】


青山繁晴著、扶桑社、2016年刊

<「BOOK」データベース>より
アメリカもEUも中国も壊れていく。世界大戦の敗者の出番が来た。それは、ぼくらだ。さぁ、何からやろうか。幻の名著が新書で待望の復刊!

<読む前の大使寸評>
政治家やジャーナリストが公言できないようなことを、青山さんは腑分けして目の前にさらしてくれる感があるでぇ。

rakuten壊れた地球儀の直し方


米朝戦争シミュレーションを、見てみましょう。
p249~260
<生物兵器テロ>
 アメリカ空軍第35戦闘機航空団に属するF16が、列をなして誘導路から滑走路へとゆっくりと動いていく。次から次へと闇から現れる。F16を格納しているシェルターはまだ、すっぽりと夜の中だ。

 テレビ・クルーが懸命に掲げるライトは、機体をうまく捉えられない。熱い透明な排気が、ゆらゆらと立ちこめるのだけがライトに浮かびあがっている。
 F16C/Dファイティング・ファルコン戦闘攻撃機の尾翼のひとつを、ようやくテレビ中継車の明りがとらえ、WWの二文字が浮かびあがった。
 
 このWWの印は、世界中に展開するアメリカ空軍の航空団のなかで、ここ三沢の部隊にしか許されていない。WWとは、Wild Weasel、すなわち野生のイタチの頭文字だ。戦闘機隊のなかでも、もっとも危険の高い、攻撃的な任務に就く「栄誉」が与えられている。その任務は、敵の対空ミサイル基地をはじめ「脅威の源をたつ」という任務であるとアメリカ軍内部で規定されている。

 湾岸戦争のあとには、空中給油を受けながら遠くイラク南部へ飛び、飛行禁止区域の爆撃を日常的に行なっていた。
 数をかぞえていたCNNのカメラマンが「いやに多いぞ。時間といい、数といい、こりゃ大変かも」と呟き、顔見知りになっているNHKのカメラマンが隣で、真剣に頷いた。

 この三沢基地に核ミサイル・ノドン100号が飛んでくるかも知れないから、どこの社も「燃料注入の開始」がアメリカの偵察衛星で確認されれば、すぐに撤収する構えでいたが撤収と言っても、どこへ?

 ノドン100号は、ほんとうに弾頭に原子爆弾があるかどうか未確認ではあっても6基が発射台に載せられている。射程距離は推定1500キロメートル、日本列島がほぼすっぽりと入る。
 
 それに射程1300キロメートルのノドン1号は、実に200基前後が実戦配備されている。そのうち確実に日本まで飛来できるミサイルは60基弱という情報もあるが、重大な問題は、生物・化学兵器の弾頭を搭載しているミサイルが多数ありそうだということだ。

 もしも北朝鮮が、これらミサイルを一斉に撃てば、海上自衛隊がイージス艦に配備した艦上迎撃ミサイル、SM3を連射し、航空自衛隊が地上に配備しているペトリオットPAC3迎撃ミサイルをフルに撃っても、撃ち漏らした核ミサイルがただ一発あれば、日本はふたたび被爆国になる。

 生物・化学兵器を積んだミサイルが迎撃網をかいくぐって着弾する恐れは、より大きい。着弾地点がどこであっても、ウィルス・細菌や毒ガスによって日本が広く汚染される危険は現実のものだ。

 そう考えれば、日本と世界に流れる楽観論は不思議と言えば不思議であった。だが、北朝鮮の独裁者が自らの消滅を必ず招く「日本攻撃」「韓国攻撃」よりも亡命を選ぶだろうという予測が、圧倒的に優勢だった。北朝鮮が国家としてすでに経済的に存続が難しいところへ追い込まれている以上は、自らと家族の安寧だけをせめて図るだろうと誰もが考えたのである。

 だから取材陣はテレビも新聞も雑誌も逃げずに、こうして三沢基地の網に張り付いている。「まさか核戦争にはならないだろう。あるとしても米軍の限定的な攻撃だけだ」と自分たちに言い聞かせるようにして、連日、米軍の動きを撮影しては報道している。

 ファイティング・ファルコン戦闘攻撃機は、腹に叩きつける衝撃音とともに、あっという間に黒い空へ駆け上がっていく。
 滑走路に二機が翼を並べて進出し、そのまま同時に離陸する。その二機の尻に機首を付けるように、滑走路入り口まで追尾していた二機がまた、翼をすれすれに並べて飛翔する。

 それを14度、繰り返して、暗闇の離陸は28機に達した。三沢に常駐するのは40機だから、7割が一気に出撃した。警戒や哨戒の飛行とは、もはや思えない。取材陣は声にならない叫びを上げながら、ちりじりに走り回り始めた。

 三沢から約1300キロメートルの北朝鮮・北東部の山岳地帯で、最初の地中核爆発が起きたのは、それから48分後だった。
 そのあと3分のあいだ、朝鮮半島の北半分には、人類が初めて経験する核の同時多発爆発が炸裂した。すべて地中である。

 ヒロシマ、ナガサキに次いで人間がついに新たな核兵器を使用した瞬間でもあった。
 F16C/Dファイティング・ファルコン戦闘攻撃機から、地中貫通型の小型戦術核ミサイル「マイティ・モール」が、北朝鮮の日本海沿岸を北から南に舐めるようにラナム(羅南)、キルジュ(吉州)、シンポ(新浦)、ハムフン(威興)、ウォンサン(元山)の地下へそれぞれ1基ずつの計5基、撃ち込まれた。
(中略)

 日本各地の地震観測所は、北朝鮮の18ヶ所で大地震が発生したことを一斉に観測し、それが20数分後に、「アメリカ空軍が北朝鮮を地中貫通型の小型核兵器で攻撃した可能性がある」というニュース速報になってテレビ画面を走ったときには、すでに、ホワイトハウスの執務室から大統領がテレビ演説を行なうことが決まっていた。

 最初の核爆発から、きっかり半時間後に演説を始めた合衆国大統領は青一色の太いネクタイを締め、「われわれは神が許したもうことを信じる。半時間前にわれわれが示した勇気こそが、人類を破滅から救ったのであるから」と最初の一言を放った。


ウーム この後、生物・化学兵器の弾頭を搭載したノドン1号の1基が迎撃網を突破して三沢基地に着弾するという迫真のシミュレーションになっています。

『壊れた地球儀の直し方』2:なぜ胡錦濤は国家主席になれたのかp208~212
『壊れた地球儀の直し方』1:日本の警察には担当大臣がいないp45~49

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