吉岡桂子記者の渾身記事24

<吉岡桂子記者の渾身記事24>
朝日のコラム「ザ・コラム」にチャイナウォッチャーとも言える吉岡桂子記者の記事を見かけたので紹介します。
吉岡
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2018年10月4日中国・イスラエル接近 技術覇権、米中対立の先はより
 エルサレムに近い小高い丘にある農場のカフェで、マタン・ビルナイさんに会った。2012年から4年あまり、イスラエルの駐中国大使を務めた。1944年生まれ。軍歴が長く、副国防相、民間防衛相を務めた大物大使として注目された人物だ。 ネタニヤフ首相が13年春、首相として6年ぶりに訪中し、習近平国家主席と会談してから、両国は急接近した。それを北京で支えたのが、中国で「馬騰(マートン)将軍」と呼ばれる彼である。中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)の加盟で、締め切り間際に首相へ電話して決断を迫った話も、中国の人々の心をくすぐる。

 乾いた白っぽい土に強い日差しが照りかえす。「将軍」は、鋭い目を少し細めながら話し始めた。「外交の基礎は、人々の交流です」。10年間にわたって何度でも出入りできるマルチビザを解禁し、中国人旅行客は過去5年で5倍に急増した。テルアビブと北京、上海、広州、成都、香港の5都市の間を直行便が飛ぶ。ネット通販大手アリババの電子決済「支付宝(アリペイ)」も中東初となるサービスを始めた。

 「中国は技術やイノベーション力を、イスラエルは巨大な市場を相手に求める。補完性を両首脳は理解している」。イスラエルにとって中国は、米国につぐ2番目の貿易相手だ。両国は「イノベーション協力委員会」を14年に立ち上げ、毎年交互に往来する。今年は近く、習外交の大番頭である王岐山国家副主席らがやってくる。

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 イスラエルの人口は870万人ほど。上海の半分にも満たない。だが、中国にとっての重要性は高まるばかりだ。

 「中東のシリコンバレー」とも呼ばれる同国は、人工知能(AI)など革新的な技術の開発力で知られる。軍事技術の民間移転と起業支援が産業政策の肝である。技術の種や人材を求めて、米国のマイクロソフトやアップルに交じって、アリババ、百度、レノボ、ハイアールなどが投資する。

 米国が政府機関や、その取引先に利用を禁じた中国の通信機器大手、華為(ファーウェイ)技術も研究所を持つ。中興通訊(ZTE)が米国の制裁で半導体を入手できなくなり、経営危機に陥ったこともあって、今年は半導体関連の企業への接触が増えている。中国系インキュベーター(起業支援)が進出し、AIや太陽光などにかかわる約20社を後押しする。ベンチャーキャピタルへの出資を含めて先物買いも勢いを増す。

 ナノテクチップの開発でも知られる名門テクニオン・イスラエル工科大学は昨秋、広東省のスワトー大学と共同で「広東イスラエル理工大学」を開いた。スポンサーは、香港の大富豪李嘉誠氏だ。

 中国と米国が繰り広げる通商摩擦は、未来の技術覇権をめぐるぶつかりあいである。中国発の技術や使い方が、市場の巨大さとあいまって世界標準になりかねない恐れが、米国を強硬にさせている。トランプ大統領の気質だけの問題ではない。

 イスラエルは48年の建国以来、米国から軍事的な支援を受けてきた。後見人ともみなされる米国が激しくぶつかる中国と、「技術蜜月」……。

 だが、「将軍」は意に介さない。「わが国の存亡の礎は、米国にある。中国とは注意深く取引している」。イスラエルは中国軍との取引がらみで米国を激怒させた経験があり、軍事・防衛、あるいは軍民両用の技術にかかわる取引には応じないという。

 「中国だって国連の場で常に(イスラエルと対立する)アラブの側に立つ。それはそれ、これはこれだ」

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 中国は、技術の種と売り手を血眼で探している。

 中国ビジネスが長いイラン・マオール氏が、気になることを言った。「小国イスラエルは国家と個人の存亡をかけてイノベーションに取り組んでいる。ほかに道がないからだ。米国による制裁で独自技術の重要性が骨身にしみた中国は、開発に力をより注ぐはず。制裁は技術向上を速める」。確かに習氏は「自力更生」めいたセリフを口にし始めた。長期戦を意識した発言だ。

 米国と中国。巨大な二つの経済のぶつかりあいで、世界の市場に大きな水紋が広がっている。その行き着く先は、見えない。


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朝日新聞の吉岡記者といえば、チャイナウォッチャーとして個人的に注目しているわけで・・・・
その論調は骨太で、かつ生産的である。
中国経済がらみで好き勝手に吹きまくる経済評論家連中より、よっぽどしっかりしていると思うわけです。

ザ・コラム一覧に吉岡記者の中国論が載っています。

<吉岡桂子記者の渾身記事23>

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