『ソウルの風景』3

<『ソウルの風景』3>
図書館で『ソウルの風景』という新書を、手にしたのです。
四方田さんといえば…
韓国、映画など太子がこだわる分野で先駆する作家(学者?)であり、目が離せないないのです。

なお、帰って調べてみたらこの本を借りるのは2度目であることが、判明しました(又か)。・・・で、(その2)としたのです。


【ソウルの風景】


四方田犬彦著、岩波書店、2001年刊

<「BOOK」データベース>より
南北首脳会談の実現、大統領のノーベル賞受賞に沸いた2000年の韓国。激動の一九七九年を過ごしたソウルに再び長期滞在した著者が出会ったものとは何か。高度消費社会と伝統回帰、「北」をめぐるフィルム、光州事件、日本文化開放と元従軍慰安婦の集会…人々の姿、肉声を通して、近くて本当に近い隣国の現在を映し出す。第50回日本エッセイスト・クラブ賞受賞。

<読む前の大使寸評>
四方田さんといえば…
韓国、映画など太子がこだわる分野で先駆する作家(学者?)であり、目が離せないないのです。

amazonソウルの風景


ヴェトナム戦争の傷痕について、見てみましょう。
p199~202
<歴史と他者>
 朴正煕は外貨獲得のため、1965年から73年までに40万人の韓国人兵士をヴェトナム戦争に派遣したが、そのヴェトナム共産党が現在では、国家近代化の見本として彼の研究をすべきだという態度を取るまでになっていた。わたしがもっとも驚かされたのは金大中である。かつてはその支配下によって拉致され死線を潜ったことさえあったのにこの大統領が、朴正煕博物館を建設することにきわめて積極的であると知らされたときには、いくらそこに政治的駆引きや配慮があるとはいえ、わたしはずいぶんと複雑な気持に襲われたものだった。

 朴正煕をめぐる評価の高まりと比較すると、ヴェトナム戦争に参加したことに対する反省的意識は、韓国国内ではまだ少数派であり、日本では想像できないほどに大きな困難のなかで蝸牛のごとき歩みを強いられている。だが、それは確実に存在している。



 1979年にわたしが最初にソウルで観たハリウッド映画は、マイケル・チミノの『ディア・ハンター』であった。わたしはROTC(予備士官訓練学生)に属する二人の学生を誘ったのだが、準軍服ともいえる制服に身を包んだ彼らの感想は、徴兵制のない国から到来したばかりの新米教師を驚愕させるのに充分であった。彼らはひたすら共産軍の拷問の残虐と卑劣を熱心に議論しあい、主人公である東欧系アメリカ人青年たちの孤独や恐怖についてはいささかも関心を向けようとしなかった。

 無理もない、ヴェトナム戦争が共産軍の勝利に終わってわずか4年後のことである。自分たちがいるソウルからわずか60キロ北には、帽子に赤い星を頂いた共産軍が武装しながら待機しているという状況では、アメリカ軍の敗北と撤退はわが身に直接に響いてくる危機であったのだ。わたしは60年の終りごろ、ヴェトナム反戦運動のデモに参加していた高校生であったが、自分とほぼ同年代の彼らが軍隊と戦争に対して、はるかに現実的な危機意識をもっていることに驚き、大きな隔絶感を体験した。

 ヴェトナム戦争は金日成の第二の侵略から自由主義を守るための道義的な戦いでなければならなかった。自由主義国の一員として韓国が盟友の南ヴェトナムの側に加担することは、朝鮮戦争で国連軍が自分たちを救援に駆けつけてきたのに、まさに匹敵することだったのである。

 それから20年以上の間、日本にいるわたしがヴェトナム戦争について韓国人からなにごとかの思索を聞きえたとしたら、わずかに安聖基が主演するフィルム『ホワイトバッジ』と長らく獄中にあった小説家である黄ソンギョンの『塔』『駱駝の眼』からである。前者はヴェトナムでの忌まわしい記憶に苛まれる小説家の苦悩を描き、原作となる小説は最初、韓国語ではなく英語で発表されたと聞く。後者のひとつ『駱駝の眼』はきわめて暗示的かつ自嘲的な構成をもつ短篇で、正面切って戦争において韓国軍が行なった民間人への残虐行為を活写したものではなかった。

 退役軍人会が大きな圧力団体として機能し、ヴェトナム古参兵が政財界から学会までを牛耳っている社会では、いくら民主化が到来したからといって、ヴェトナム戦争に言及することは禁忌なのだろうな、という感想をわたしはもっていた。それは従軍慰安婦問題をめぐってあれほどに日本帝国主義を糾弾してやまない韓国人にしてお、やはり触れられたくないスティグマなのだろうと。

 1999年になって状況が変わった。ホーチミン大学に留学した韓国人研究者が現地での調査資料をもち帰り、ソウルの市民団体と検証を重ねたのち、週刊誌「ハンギョレ21」に韓国軍の南ヴェトナムでの戦争犯罪の報告書を発表したのである。



(追って記入予定)


この本も四方田犬彦の世界に収めるものとします。

『ソウルの風景』2:日本文化の公式的排除と盗用p126~129
『ソウルの風景』1:伝統的なるものの行方p39~52、韓国のハルキ世代p134~136

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