(耕論)鏡を見よう、日本

<(耕論)鏡を見よう、日本>
 エマニュエル・トッドさんがオピニオン欄で「行動せず議論、移民は流入」と説いているので、紹介します。


(エマニュエル・トッドさんのオピニオンを7/18デジタル朝日から転記しました)


<行動せず議論、移民は流入>
 1990年代に初めて訪日したとき、将来の少子化など人口動態の問題を語る人は多かった。欧州より意識が高いと思いました。来日はこれまで16、17回になりますが、今はこう考えています。人口動態危機について、日本人には何も行動しないまま議論し続ける能力があると……。

 国力を増したければ人口動態危機に取り組むはず。それをしない姿勢をナショナリズムとはいえません。

 日本の問題は、女性が働くと子どもをつくれなくなるというところにあります。
 家族人類学の視点から見ると、日本は長男が家を継ぐ直系家族の国です。往々にして、男の方に特権がある。消えつつある家族形態ですが、その価値観はゾンビのように今も残り続けています。


 現代日本で、男尊女卑が激しいわけではない。女性は高等教育を受けられるし、職業上のキャリアを積み上げることもできる。けれどキャリアを積もうとすると子どもをつくりにくい。「あれか、これか」の二者択一を迫られる。

 日本の場合、直系家族というシステムが頂点に達したのは明治期で、近代化のスタートと重なりました。テクノロジーを次世代に伝えながら完成するには効果的でした。競争にも強い。同じく直系家族のドイツは近代化へ離陸すると、わずかの期間で英国より強国になった。

 明治日本の離陸も恐るべきものでした。しかし、これまでのやり方を断絶し、システムを大きく転換するときに直系家族の価値観は困難に直面します。方向を変えられないのです。

 日本は移民政策に消極的です。ドイツは今、移民を最も受け入れている国の一つですが、直系家族が移民導入の足かせにはなっていません。

 日本文化には、極端な礼節へのこだわりがあります。他人に決して迷惑をかけない。それは一つの価値ですが、移民問題に当てはめてみるとどうなるか。礼節という文化が脅かされることになる。フランスなら話は簡単だ。もともとお互いに不作法だから失うものなどありません。

 現実問題として、日本が移民を拒むのは不可能です。人口減社会の日本では、労働力不足が深刻化し、技能実習生という名の「移民」がすでに始まっています。
 自分たちだけで暮らしたいという閉鎖的な夢と、外への開放という現実。意識が現実と切り離され、移民の流入はウソの中で始まっているのです。

 人口動態危機の解決策として優先するべきは、まず女性が快適に働き、子どもを産むことができる政策です。未来に向けて豊かになるために、政府は保育園整備や児童手当に巨額の予算を投じるべきです。今すぐ豊かになることしか視野にない政策は、将来、国を貧しくします。(聞き手・大野博人)

     *
 Emmanuel Todd:1951年生まれ。人口動態や家族構造の分析で、ソ連の崩壊などを予見。米国でのトランプ大統領当選の可能性も事前に指摘した。

少子高齢化、貧困な子供たち、移民問題など難問山積のニッポンであるが・・・
直系家族の価値観がジャマをして、動きがとれないようですね。

野田聖子さんが首相になっても、この難問は解決できないかも?

(耕論)鏡を見よう、日本エマニュエル・トッド2018.7.18

この記事も 朝日のインタビュー記事スクラップR6に収めておきます。

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