『アースダイバー 東京の聖地』6

<『アースダイバー 東京の聖地』6>
図書館で『アースダイバー 東京の聖地』という本を、手にしたのです。
「東京の聖地」という視点には、気がすすまないのだが・・・
魚河岸文化という切り口がいいではないか♪ということでチョイスしたのです。



【アースダイバー 東京の聖地】


中沢新一著、講談社、2017年刊

<「BOOK」データベース>より
海民の二千年の知恵=築地市場、太古の無意識の現出=明治神宮。この二つの場所には、日本人の思考が「聖地」に見出してきた空間の構成原理が、ほとんど純粋な状態で実現されている。その二つの生きた聖地が、深刻な危機に直面したのである。金銭にかえられない「愛」と「富」のありか。建築家・伊東豊雄氏との対談2編収録。

<読む前の大使寸評>
「東京の聖地」という視点には、気がすすまないのだが・・・
魚河岸文化という切り口がいいではないか♪ということでチョイスしたのです。

rakutenアースダイバー 東京の聖地




建築家の伊東富雄氏との対談を、見てみましょう。
p146~148
■流通センターか、市場か
中沢:そういう意味でも、築地市場は特異な空間です。先進国の多くで市場は物流センターに作りかえられ、床にマグロがごろごろしているところはなくなっています(笑)。ところが不思議なことに、物流センター化した市場では、総じて味覚文化の水準が低下したと嘆かれています。

伊東:はい、そのとおりです。

中沢:今いろいろなところで市場の物流センター化が進んでいます。日本の地方市場でもそういうことが起きています。物流センターには仲卸という存在がいません。セリもなくされていく傾向にあります。僕はそれをあらゆる種類の「中間機構」を廃止していこうとする、現代の資本主義の全体的傾向に対応した変化と見ています。食文化のようなデリケートな領域では、それがどういう状況をつくりだしていくかは、今からでも予想がつきます。

 その先には当然、電子取引の世界が待っています。「種」という「中間機構」を排除してしまうそういう世界では「個」は直接剥き出しの状態で「普通」に向かい合うことになります。これがグローバリズムの本質ですが、食文化のようなものは「種的」な本質を持つ文化の中でもとりわけデリケートなものです。物流センターの対極にあるのが築地市場です。そういう現代だからこそ、世界中から築地市場が高い評価を受けているのだと思います。

 築地市場なんて古めかしい汚らしいものを潰してしまえと、乱暴なことを言う人たちがいます。それを聞くと、なんて時代遅れな人たちなんだろうと感じます。市場を物流センターにつくりかえるということは、それはある種のモダニズムの極限ではありますが、そういう近代型の資本主義はもう終末に向かっているのではないでしょうか。

伊東:だいぶ前に、僕は東京を指して「サランラップ・シティ」と言いました。

 つまり、コンビニやスーパーに行くと、野菜や魚など生鮮食料品がすべてラップに包まれている。そうすると匂いもないし、全部清潔に見えてしまう。しかしフランスのマルシェに行けば、土のついた野菜が並んでいる。本来はなまものである商品がラップされることによって、われわれは記号としてそれを消費するようになる。

 要するに豊洲移転でやろうとしていることは巨大なサランラップ・シティというか、巨大なコンビニエンス・ストアをつくろうとしていることなのではないでしょうか。いきなり大きなマグロをパックしてしまうようなものですよね。

中沢:農業に関心をもつ若い人たちの中に産地直送型を目指す人たちもいます。彼らが問題にするのはJAです。農業協同組合と名乗っていたころのJAには仲卸のような意味もありましたが、あまりにも巨大化して形骸化してしまいました。そこでJAの流通機構を通さないで、直接消費者に結びつきたいという考えが生まれています。

 ただ、ここにもいろいろな問題が孕まれています。産地から消費者に届くには物流のシステムが必用です。しかしIT化が進んでいくと、昨今の運送業の状況を挙げるまでもなく、仲卸抜きですべてを産直にすることは到底不可能になっていくでしょう。もうひとつの問題は、専門知識の蓄積、いわゆる目利きの問題です。

伊東:なるほど。そうですね。
 
■「目利き」の力
中沢:農業の場合は日頃作物を扱い、よく勉強している普通の生産者が目利きの役割をする余地は大いにあると思います。しかし、魚市場に関しては、これは難しいのではないでしょうか。

 築地市場ではじつに幅広い魚類を扱っています。それこそ、大型スーパー向けの魚から飲食店向けの高級魚、加工用から生食用まであります。

 この幅がそのまま日本食のバラエティを支えていて、クールジャパン文化の源泉でもある。


伊東:部位によっても名前が変わってくる。

中沢:「目利き」は分類し、グラディエーションをつくりだす番人のようなものです。それは身体的な暗黙知を生かしながらおこなわれる、たいへんデリケートな作業です。そういう仲卸を排除する市場というのは、まさに伊東さんのおっしゃるサランラップ・シティと同根です。


ウン、都庁のお役人の場合、箱物優先という議会、議員に忖度して豊洲移転を決めたわけで・・・
味覚とか伝統とかいうデリケートな感性は期待できないし、その能力にも疑問符がつくのでしょうね。

『アースダイバー 東京の聖地』5:築地市場移転問題
『アースダイバー 東京の聖地』4:日本型流通システム
『アースダイバー 東京の聖地』3:江戸の魚河岸
『アースダイバー 東京の聖地』2:魚河岸文化の原型
『アースダイバー 東京の聖地』1:関西の魚河岸文化

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