『アースダイバー 東京の聖地』5

<『アースダイバー 東京の聖地』5>
図書館で『アースダイバー 東京の聖地』という本を、手にしたのです。
「東京の聖地」という視点には、気がすすまないのだが・・・
魚河岸文化という切り口がいいではないか♪ということでチョイスしたのです。



【アースダイバー 東京の聖地】


中沢新一著、講談社、2017年刊

<「BOOK」データベース>より
海民の二千年の知恵=築地市場、太古の無意識の現出=明治神宮。この二つの場所には、日本人の思考が「聖地」に見出してきた空間の構成原理が、ほとんど純粋な状態で実現されている。その二つの生きた聖地が、深刻な危機に直面したのである。金銭にかえられない「愛」と「富」のありか。建築家・伊東豊雄氏との対談2編収録。

<読む前の大使寸評>
「東京の聖地」という視点には、気がすすまないのだが・・・
魚河岸文化という切り口がいいではないか♪ということでチョイスしたのです。

rakutenアースダイバー 東京の聖地




築地市場移転問題を、見てみましょう。
p123~125
■ふたたび移転問題が
 築地市場は銀座に近い絶好のロケーションにあって、大きすぎず小さすぎもしない最適な規模を持ち、外国人旅行者からも熱いエールを送られている。まさに世界一の魚市場である。
 それがいつの頃からか、修理や改修のための予算を計上されないままの状態が続いて、すっかり老朽化が進んでしまった。竣工当時はあんなに若々しく美しかった築地本場の建物も、いまではすっかり老人だ。

 こういう場合、最近の世界的傾向としては、リノベーッションの改修工事をおこなって、近代建築のすぐれた遺産として、現代に蘇らせるという方法がとられる。じっさいい東京駅などはそのやり方で、立派によみがえった。ところが築地市場に関しては、現地において再整備するという意見が退けられ、東京湾に浮かぶ人口島の豊洲へ移転することが、決定されてしまった。しかもそこは、ガス会社が最近まで操業を続けていた土地である。
 私たちは、築地市場がいかにすぐれた魚市場であるかを、アースダイバーの視点で詳しく見てきた。そこでは巨大な「中間機構」が働き続けている。産地から卸売によって市場に運び込まれた魚貝類を荷分けしたり、セリにかけて適正な価格をつけ、魚体をさばき、下ごしらえしたうえで、買出し人に売り渡す。入力と出力の間に差し挟まれたこの中間機構が、築地市場では他に類例がないほど、発達している。

 物流は中間機構に委ねられている間ストップするが、そのあいだに品物には豊かな価値づけが付け加えられる。「魚河岸の伝統」と言われているものは、じつはこの中間機構のことをさしている。その伝統は日本橋魚河岸で生まれ、成長をとげて、築地市場にまで持ち込まれた。
(中略)

■たれこめる暗雲
 ではいま目論まれている移転の場合はどうだろう。残念ながら、うまくいきそうな見込みはほとんどない。いちばん大きな理由は、豊洲新市場が沖卸の仕事場にふさわしくつくられていないからである。
 新市場の予定地になっているガス工場の跡地には、環状二号線と315号線が直交している。このため市場となるべき敷地は四分割されることになり、築地市場にあるような卸売と沖卸のそれぞれの空間を、スムーズな動線で結ぶ通路をつくることができない。
(中略)

 豊洲新市場を設計した現代の技術者たちは、どうやら中間機構の意味や機能を理解できていなかったらしく、むしろ積極的に、中間機構の働きを壊す方向に、図面を引いてしまっている。そこに高い施設使用料金の問題が重なる。さまざまな意味で、豊洲新市場の建物は、市場を殺すというよりも、沖卸の世界を滅ぼす効果を発揮するにちがいない。

ウーム 豊洲新市場の設計には立地の安全性などに、どこかしら政治の介入が感じられたのであるが・・・
伝統への無理解まであったのか。要するに箱物優先の政治と行政の無作為があったのでしょうね。

『アースダイバー 東京の聖地』4:日本型流通システム
『アースダイバー 東京の聖地』3:江戸の魚河岸
『アースダイバー 東京の聖地』2:魚河岸文化の原型
『アースダイバー 東京の聖地』1:関西の魚河岸文化

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