『銅像めぐり旅』3

<『銅像めぐり旅』3>
図書館で『銅像めぐり旅』という本を、手にしたのです。
副題が「薀蓄紀行」になっているように・・・
清水義範は知る人ぞ知る、薀蓄溢れる人なんですね。薀蓄の人として、他に知っているのは松岡正剛ぐらいだから、その凄さがわかるだろう。


【銅像めぐり旅】
熊谷直実と平敦盛

清水義範著、祥伝社、2002年刊

<「MARC」データベース>より
西郷、竜馬、正宗…その街に独特のたたずまいはどこからきたのか? 意外や銅像の主がすべて知っていた、ここに建つ人建てる理由。著者が自分で歩いて考えた、銅像ウォッチングの醍醐味。

<読む前の大使寸評>
副題が「薀蓄紀行」になっているように・・・
清水義範は知る人ぞ知る、薀蓄溢れる人なんですね。薀蓄の人として、他に知っているのは松岡正剛ぐらいだから、その凄さがわかるだろう。

amazon銅像めぐり旅

熊谷直実と平敦盛


我が町神戸を、八の旅「平清盛と神戸」で見てみましょう。
p218~224
<4>
 さて、私と妻は三宮あたりにいる。
 いつもながら私は、今の神戸を肌で感じ取りたくて、人の多い繁華街を大いに歩きまわった。土地柄のせいで、若い人がいっぱい歩いている。日曜日の夕刻の賑やかさの中にいるのだ。

 まず感じるのは、密集である。横長都市神戸の中心街は、南北方向からギュッと圧縮されているかのように、何もかもごちゃ混ぜの密集性が感じられる。

 神戸の人はよく間違えずに電車に乗れるものだと感心してしまうのだが、それぐらいにJRや私鉄や地下鉄が多い。たとえば三宮には、JRの駅があり、阪急の駅があり、阪神もあり、それらを神戸高速鉄道がつないでいるらしい。市営地下鉄もあるし、ポートライナーの駅もある。

 というわけで、三宮付近には高架の線路がいくつもある。すると、その高架の下が商店街であり、店がひしめきあっているのだ。大都市の商店街なのに、なんとなく闇市なんて言葉を思い出してしまうような、雑然たる印象である。ここを横に曲がったらどこへ抜けられるんだろう、と思ってしまうような。
(中略)

<5>
 第2日目、私たちはまず、福原京めぐり、というテーマで行動した。と言っても実は、見るべきところは多くないのだが。

 石碑には、雪見御所旧跡、の文字があった。
 実は、福原京の遺跡は、ほんのいっときで消えた都だし、八百年もたっているし、どこに何があったかなどがほとんどわかっていないのである。ただ、町名が雪見御所だし、多少は遺物が出土したこともあって、このあたりに御所があったのではないか、とされているのだ。昔の名残りを伝えるものは何もないが、ここが御所だったのね、と私は納得した。

 さて次は、そこから南へ十分ほどなんでもない住宅街を歩いていく。すると、坂道の曲がり角に、小さな神社がある。荒田八幡神社という、静かな神社だ。
 ところがこの神社の境内に、史跡・安徳天皇行在所址、という文字のある碑が立っている。実はこの土地には清盛の弟の平頼盛の山荘があったのだそうで、福原遷都の時には、ここに安徳天皇の御座所があったと伝えられているのだ。

 また、この神社には、福原遷都八百年記念之碑という石碑もあった。
 見ることができたのは、そんな石碑だけである。福原京というのは、なんだか夢の中にある幻のようなのだ。

 そこで、私の旅のテーマがここから変わる。次に見るのは、平家滅亡の物語だ。
 歩いて高速神戸駅という、どう見たって地下鉄の駅にしか見えないところへ行った。そこから、神戸高速鉄道を経由して、山陽電鉄本線で須磨寺へ行くのだ。神戸高速鉄道とは、いっぱいある私鉄を、便利なように地下鉄でつないでいるものらしい。

 須磨寺を見物した。伽藍の整った立派な寺だが、本堂は修復工事中で見られなかった。 この寺に、熊谷直実と平敦盛の銅像があった。甲冑をつけた馬上の二人の武者が声をかけあう姿である。

 直実と敦盛の一騎打ちというのは、今の若い人は全然知らないだろうけど、かつて、とても有名な話だったのである。源氏方の直実は須磨浦で、平家の武者と出会って一騎打ちをするのだ。ところが、相手があまりに若くて、自分の子と同年配なので、不憫になる。 だが、そこへ源氏の武将たちが寄せてくるので、どうせ誰かに殺されるだろうからと、泣く泣く首を取った。それが、清盛の甥の平敦盛だったのだ。

 敦盛は青葉の笛という笛の名手だったことで知られている。それがきっかけで武士がいやになって直実は出家してしまう。
 という話が有名で、歌舞伎にもなり歌にもなっているのだ。

ウン 神戸在住の者から見ても、清水夫妻はわりと丁寧に散策して神戸をレポートしているのだ。
清水さんが言うように、福原京というのは遺跡も少ないし、まったく「夢の中にある幻」のようなのである。


『銅像めぐり旅』2:ヘボンと横浜
『銅像めぐり旅』1:織田信長と岐阜、安土

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