『小説家のための人生相談』1
<『小説家のための人生相談』1>
図書館で『小説家のための人生相談』という本を、手にしたのです。
暇なので小説でも書いてみるかと目論む大使にとって・・・
この本はなかなかのハウツー本になっているようです♪
作家と編集者のやりとりを、見てみましょう。
いわば出版業界の裏話なのだが・・・なかなか面白いでぇ
図書館で『小説家のための人生相談』という本を、手にしたのです。
暇なので小説でも書いてみるかと目論む大使にとって・・・
この本はなかなかのハウツー本になっているようです♪
【小説家のための人生相談】 ![]() 阿部和重著、朝日新聞出版、2011年刊 <「BOOK」データベース>より 角田光代、江國香織、川上未映子、金原ひとみ、朝吹真理子、綿矢りさ、加藤千恵、島本理生、川上弘美、桐野夏生…小説家にまつわる秘め事を、ぜんぶ明かしてしまいます。 <読む前の大使寸評> 暇なので小説でも書いてみるかと目論む大使にとって・・・ この本はなかなかのハウツー本になっているようです♪ rakuten小説家のための人生相談 |
作家と編集者のやりとりを、見てみましょう。
いわば出版業界の裏話なのだが・・・なかなか面白いでぇ
p219~222 <幻想だったかもしれません:川上弘美> 阿部:川上さんや僕なんかがデビューした90年代前半の時期は、文芸のジャンル全体がいまほど活気づいていなかったし世間での注目度もあまり高くなかったということは、この「和子の部屋」でもなんども話しているわけですが・・・。 川上:たしかにそうですね。私としてはかえってのんびりできてよかったです。 阿部:その最初期に仕事をともにした編集者とは、いまでも付き合いがありますか? 川上:ええ、続いていますね。これは想像ですが、芥川賞の前から仕事をしませんかと声を掛けてくれた編集者は、海のものとも山のものともつかない、ほとんど誰も評価していない怪しいモノであるのに、興味を持って声を掛けてくださった。そしていま阿部さんがおっしゃったような文芸の状況もあって、当時は編集者とじっくり付き合うことができました。以降、だんだん初対面の人と仕事をするようになると、あれ? と戸惑うこともありましたね。 阿部:僕も似たところがあって、デビュー当時に知り合った編集者の何人かとはいまも仕事をさせてもらっています。そのなかには、いわゆる「伝説の編集者」たちの仕事のノウハウらしきものを受け継いでいる人もいて、いまでも若い編集者と違う手応えを感じることはありますね。そこでお訊きしたいのですが、川上さんの抱かれている違和感は、たとえばここ十年くらいの世代交代によるものではないかと。いかがでしょうか? 川上:たぶんそうではないんです。私も自分で相談状を書きながら、いったいなにが言いたいのかなと悩んだけれど、たんに若いからダメということではなく、あるいは編集者ひとりひとりの固有の問題でもない気がします。つまり、自分はこれから人間関係をどうしたいのかという相談なんです。 阿部: ははあ、ここでまた話が広がりましたね。 川上:編集者と小説を書く人間のあいだの距離は近いでしょう。かといっていまは、「伝説の編集者」系のように、「お前は根底からやり直せ」とか乱暴な距離の詰め方をする人はあんまりいない。恋愛感情とは違うのに、恋愛の相手としては絶対に見ないのに、むき出しとむき出しの感情で相対することがあるという、へんな仕事ですよね? 事務的な話をしていても、お互いのざらっとしたところやいいところがそのまま見えてしまい、それは面白いことでもあるけれど、しんどいことでもあって、ほかの作家の方はこの人間関係をどう感じているのかなと、まず素朴な疑問がわいたんです。 阿部:僕自身はそもそも人間関係にあまり悩むタイプではありません。というのも、積極的に他人と関係を築こうとはしないから。しかし編集者とのあいだには、たしかに人間臭い付き合いが構築される場合がありますね。仕事の間柄だけにとどめたいと思わないわけではないが、それでは味気ないことになるし、長時間、一緒に作品について語り合ううちに自然に距離も詰まってきます。逆に言えば、案外と簡単にはこちらに線を引かせてくれない関係性です。性格による相性の問題以上に、作家にとってそれぞれの編集者との関係性は重要なポイントになりますよね。 川上:そう。私たちは小説を書くような人間だから、どこか妄想系でしょう。たとえば自分のほうは、ある編集者のことが大好きで信頼しているとします。でも相手は、私に対しては仕事として一生懸命努めてくれていたのであって、家に帰ったら2、3日ぐったりしているとか、いやな気持でいるとかだったらどうしようって、つい考えてしまう。 阿部: 川上さんがそんな妄想を抱えていらっしゃるとは!(笑)。 川上:こちらからの愛だけが強すぎるという不幸(笑)。 |
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