『中国のフロンティア』1

<『中国のフロンティア』1>
図書館で『中国のフロンティア』という新書を、手にしたのです。
これまで数々の嫌中本に食いついてきたが、岩波新書なら単なる嫌中本ではないはずである・・・
ということでチョイスしたのです。


【中国のフロンティア】
中国

川島真著、岩波書店、2017年刊

<「BOOK」データベース>より
大国として台頭し、活動をグローバルに拡大させている中国。その存在が浸透しているフロンティアでは何が起き、それがどのように語られているのか。ザンビアやマラウイなどのアフリカ諸国、中国と隣接する東南アジア、台湾と中国の狭間に位置する金門島などを訪ね歩いた研究者が、現地の目線で「ふくらむ中国」を見つめ直す。

<読む前の大使寸評>
これまで数々の嫌中本に食いついてきたが、岩波新書なら単なる嫌中本ではないはずである・・・
ということでチョイスしたのです。

rakuten中国のフロンティア

解放軍人民解放軍

「序章 フロンティアから中国を考える」から習近平政権の対外政策を、見てみましょう。
p7~10
<習近平政権の対外政策> 
 2012年秋、中国で習近平政権が誕生するが、その直前の9月、日本政府が尖閣諸島の幾つかの島を購入して国有地とした。中国側は、日本の一部メディアがこれを「国有化」と表現したことを利用しながら、日本が現状維持を変更したと、きわめて強く抗議した。ナショナリズムが強まった状況の下で、習近平政権は保守派の支持を得ながら成立し、日本に対してもきわめて厳しい姿勢をとることとなった。

 習近平政権は、基本的に胡錦濤政権後半期の対外政策を継承した。特に本書で扱う2013年までの習政権の初期であれば、なおさら過渡期としての正確が強い。だが、この初期にあっても、胡錦濤政権後半期と習近平政権の間の相違は見られた。胡錦濤政権は後半期に入っても依然として「韜光養晦」というスローガンを使用し続けた。だが、習近平政権はもはやこのスローガンを使用していないし、南シナ海の事例に見られるように、その海洋進出はいっそう強硬になり、主権や領土問題で中国が譲歩する可能性はきわめて低くなった。このような変化のほかにも、両政権の間の相違点としては以下のような幾つかの点が挙げられよう。

 第一に、習近平政権は明確に世界第ニ位の経済大国として、アメリカに次ぐ存在としての自己認識をもち、「大国としての責任」を果たすことを目指そうとしたという点がある。 国際社会での発言権を増していこうとする中国の姿は、すでに胡錦濤の時期の平和的な発展、平和的台頭といった姿勢にも見られていた。だが、習近平政権発足以後、中国は大国としての意識をいっそう明確にもつようになり、グローバル・ガバナンスの各領域での制度形成過程に積極的に関与し、主にアジアやユーラシアにおいて国際公共財を提供する方向に転換しようとしていた。

 2013年に習が提唱したAIIB(アジアインフラ投資銀行)はその一例である。胡錦濤・温家宝政権では躊躇されたG2論についても、2013年6月のカルフォルニアでの米中首脳会談に見られるように、習近平政権はそれを受容しようとしていたようにさえ見える。「新型大国間関係」という言葉がその新たな米中関係のあり方を示している。だが、アメリカのオバマ政権は習近平政権に対してG2論を提起していない。オバマ政権も中国の対外政策の変容を見てとったのだと思われる。

 第二に、習近平政権は胡錦濤政権が進めた「周辺外交」を昇華させ、2013年秋に陸上と海上のシルクロード構想を提起した点がある。これは、一帯一路構想として結実していくことになった。

 また、同じく2013年秋には習近平が前述のAIIB構想を掲げるなど、中国の経済力が圧倒的影響力をもつ、中国とその周辺諸国で形成される空間で、国際公共財を提供しようとしている。ASEANや日中韓、そしてSCO(上海協力機構)との協力、協調などを周辺外交のひとつの基軸としていた胡錦濤政権の時代と異なり、中国が主導するアジアを想定するようになった、ということである。

 2014年5月末から6月初旬のシンガポールでのシャングリラ会合(アジア安全保障会議)での中国代表の言動や、アジア新安全保障観という問題提起に見られるように、安全保障の面でも中国は「アジア」について語り、その「アジア」を主導する姿勢を明確に示しつつある。従来、アジアのイメージは、日本やオーストラリア、あるいは韓国が語ってきた。それに対して、中国が「アジア」を語り出したのだ。

 これは中国が主権や安全保障の面で強硬な姿勢を示していることとパラレルに進行している。中国は、グローバルには協調姿勢を見せる面もあるが、主権や安全保障で問題を抱える自らの周辺、すなわち東アジア、西太平洋、東ユーラシアの空間では、主導性をもつ空間を築こうとしているように見える。このような方向付けは、2014年あたりからいっそう顕著になる。

 中国が「大国」として、政策としても、また企業活動や個々人の生活活動としてもグローバルに拡大し、東アジア地域を中心に浸透を深めると、それにともない中国国内でもさまざまな変容が見られる。本書ではそのような国内外での変容の最前線を「フロンティア」と位置付けている。そのフロンティアの現場から、「過渡期」にあったと思われる2008年から13年の中国の対外政策の変容を見ること、それが本書の目的である。


『世界不思議地図』1

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック