『「地球のからくり」に挑む』1

<『「地球のからくり」に挑む』>
図書館で『「地球のからくり」に挑む』という新書を、手にしたのです。
地球科学者が語る科学と文明史ってか、ちょっと地味めであるが・・・興味深いのでおます♪



【「地球のからくり」に挑む】
地球

大河内直彦著、新潮社、2012年刊

<「BOOK」データベース>より
地球は謎の塊である。その塊からエネルギーを次々に獲得し、万物の長となった人間は、今やエネルギー中毒に罹っている。なぜこんなことになったのか?そもそも地球の定員は何人か?宇宙から飛来した石油の源、毒ガス開発学者が生み出した新肥料、未来の新エネルギー…第一線の地球科学者が工学、文化人類学、文学などの広範な最新知見を縦横に駆使し、壮大な物語を綴る。科学と文明史が見事に融合した快作。

<読む前の大使寸評>
地球科学者が語る科学と文明史ってか、ちょっと地味めであるが・・・興味深いのでおます♪

rakuten「地球のからくり」に挑む


肥料、爆薬の素となったアンモニア合成を、見てみましょう。
p40~43
<「ハーバー・ボッシュ法」の登場>
 アンモニア合成という「料理」の問題は、窒素ガスと水素ガスのいずれもが化学的に安定で、反応がなかなか進まないことだ。研究者が知恵を競い合ったのは、反応条件の調整と、触媒の最適な組み合わせだった。

 ハーバーは理論的な考察を進めるとともに、実験助手とともにさまざまな触媒を試し、その反応の最適条件をつぶさに調べあげた。結局ハーバーらがたどり着いた結論は、500℃、100気圧以上という高温高圧の下で、オスミウムという特殊な金属触媒とともに反応させるというものだった。

 1909年、ついに完成した小型のアンモニア合成装置は、1時間につき80グラムのアンモニアを生み出すものだった。ハーバーはこの発明を自らBASF社に売り込んだ。しかし当時としては極めて高い圧力を必用としたため、当初BASF社は難色を示した。ところが、BASF社のまだ駆け出しのエンジニアだったカール・ボッシュがその可能性を見抜き、経営陣を口説き落としたのだった。

 ボッシュが率いる開発チームは、手分けしてしらみつぶしに試行錯誤を繰り返した。反応の効率を上げて生産コストを下げるためには、反応条件と触媒のさらなる最適化にくわえ、とてつもなく高い圧力に耐えうる反応釜の材質とデザインなど、数多くの問題をクリアしなければならなかった。ボッシュと部下達は、こういった問題をひとつひとつ丹念に、かつ驚異的なスピードで解決し、わずか3年後に工業化にこぎ着けるのである。

 人工的な窒素固定法が開発されたおかげで、ドイツはもはやチリ硝石に頼る必用はなくなった。さらに合成したアンモニアからは、火薬を合成することもできた。肥料と同時に爆薬をも手にしたドイツは、脆弱な国家基盤から解放されることになる。噂によると、ハーバーの発明を知った当時のドイツ皇帝ウィルヘルム二世は、「これで戦争ができる」と胸を張ったそうである。

 噂はあながち嘘ではなかったのかもしれない。BASF社がアンモニアの大量合成を開始したわずか2年後、ドイツ帝国は戦争に突入する。

<第一次世界大戦とアンモニア合成>
 1913年、BASF社はマンハイム郊外のオッパウに、敷地面積50万平方メートルに及ぶ巨大なアンモニア製造プラントを完成させた。オッパウのプラントでは1日に10トンを超えるアンモニアが合成され、最終的には窒素肥料である硫安として出荷された。翌年には1日20トンのペースにまで上がり、ビジネスは順調に成長しつつあった。

 ところが、そこで件の事態が発生する。
 その年の6月、セルビアの首都サラエボで、オーストリアの皇太子が暗殺された事件をきっかけに、国際社会に緊張が走る。翌月オーストリアはセルビアに攻め込み、第一次世界大戦の火蓋は切られた。ドイツはオーストリアの黒幕として暗躍するだけでなく、間もなくフランスやイギリスに宣戦布告するのである。

 大量の火薬を必要とする戦争の行く末を案じたボッシュは、アンモノア合成プラントを火薬の原料となる硝酸の合成プラントに切り替えることを決断する。硝酸はアンモニアが酸化した物質なので、少し手を加えれば硝酸合成プラントに切り替えることができる。オッパウのプラントでは、翌1915年には早くも、日々150トンもの硝酸が生み出されていた。

ウーム、農業と戦争を革新した・・・ハーバーは1918年に、ボッシュも1931年にノーベル化学賞を受賞したのでした。

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