(ニッポンの宿題)個人データ どこまで

<(ニッポンの宿題)個人データ どこまで>
 中央大学准教授の岡嶋裕史さんが朝日のオピニオン欄で「監視社会 ゆりかごかオリか」と説いているので、紹介します。
創立当初には「邪悪になるな」と自戒していたグーグルであるが・・・今ではGAFAの1社と成り果て、失望することしきりの昨今である。

GAFA:グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップルの(邪悪な)IT大手4社のこと。

岡嶋
(岡嶋さんのオピニオンを2/15デジタル朝日から転記しました)


個人データを取り巻く環境が変わってきました。情報技術(IT)の発達で膨大なデータの収集・分析が可能になり、ビジネスに活用する企業が増えました。一方、プライバシーが侵害されるリスクは高まっています。この情報化社会とどう向き合えばよいのでしょうか。

■《解く》監視社会、ゆりかごかオリか 岡嶋裕史さん
(中央大学総合政策学部准教授)
 顔や指紋認証、ネットでの検索履歴や行動履歴……。多くの人が考える個人情報の範囲は、ネット社会になり拡大しています。

 個人データを収集・蓄積・分析するコストが下がり、企業や行政は膨大なデータを使って、生活の利便性の向上や治安の維持などに役立てられるようになりました。

 すぐに役に立つかはわからない無数のデータを集めておいて手当たり次第に解析すれば、新たな仕組みや法則を発見できるようになりました。直接本人に会わなくても行動を予測する手法も身近になりました。デジタル社会の「新しい石油」と呼ばれる個人データを収集したいという企業の欲求は拡大し続けています。

 そこで、日本政府は2015年、個人データの活用とプライバシーの保護が両輪の個人情報保護法を改正し、データの活用をより重視する方向に政策を転換しました。匿名化したデータなら本人の同意を得ずに活用できるようにするなど、個人データの活用を「社会の公共財」として共有する方針を決めたといえます。

 ただ、国民の意識はすぐには変わりません。日本人は個人データをIT企業に提供することへの不安感が諸外国に比べて強い。有料でなければ受けられないサービスを無料で享受するための対価と割り切る若者も増えていますが、データを差し出すことに抵抗感を覚える中高年は少なくありません。

     *
 いま個人データを収集してビジネスに活用して成功しているのは、米国のGAFAです。日本のコンビニ各社なども個人データを集めて利用してきましたが、様々な業種で横断的に集めたデータを結びつける発想に欠けたため、海外に遅れました。日本政府が個人データの活用に力を入れるのは「このままでは日本企業が国際競争で負けてしまう」との危機感からです。

 日本政府は、個人が自分の情報を預託し、本人の同意する範囲内で第三者に渡せるようにする「情報銀行」の導入を計画しています。GAFAが収集してきた個人情報を、自分のところにいったん取り戻したいという狙いがあるようです。ただ、GAFAにはすでに膨大な個人データが蓄積され、利用者は効率的な検索や広告表示、商品のおすすめといったサービスの恩恵を受けています。情報銀行が有力な対抗軸になれるのかは疑問があります。

     *
 ところで、個人情報の価値はどれぐらいなのでしょうか。個人情報の大量流出などで企業が個人に見舞金などを支払うケースが増えましたが、1件500円程度といういまの相場は価値を低く見積もり過ぎです。将来的に個人情報は「仮想通貨」のように社会に流通するようになると思います。お金の運用と同じように個人情報を使って、うまく稼げる人とそうでない人が出てくるかもしれません。

 いま、街頭に多くの監視カメラが設置されています。多くの企業は社員の職場でのネット利用状況を監視しており、個人のネット検索履歴は簡単に追跡できます。これからも、政府や企業は「保護」や「見守り」といった前向きな言葉で巧みに個人情報を集めていくでしょう。個人にとっても何らかのメリットがあるため、監視を受け入れる人も多くなるでしょう。

 現実でも、ネットでも、個人のプライバシーがどんどんなくなる方向へ向かうのは間違いありません。その結果、我々の近未来は、ジョージ・オーウェルがSF小説「1984年」で描いたような恐怖だけの社会とは違い、紳士的な監視社会になるでしょう。それは、中にいる人の意識によってゆりかごとも、オリとも思える社会なのだろうと思います。(聞き手はいずれも日浦統)

     ◇
岡嶋裕史:1972年生まれ。富士総合研究所などを経て現職。専門は情報ネットワーク論。著書に「ビッグデータの罠」


(ニッポンの宿題)個人データ どこまで岡嶋裕史2018.2.15


この記事も 朝日のインタビュー記事スクラップR6に収めておきます。

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