内田先生かく語りき9 ③

<内田先生かく語りき9>
「内田樹の研究室」の内田先生が日々つづる言葉のなかで、自分にヒットするお言葉をホームページに残しておきます。
内田

最近は池田香代子さんや、関さんや、雨宮さんなどの言葉も取り入れています。
(池田香代子さんは☆で、関さんは△で、雨宮さんは○で、池田信夫さんは▲、高野さんは■で、金子先生は★、田原さんは#、湯浅さんは〇、印鑰さんは@、櫻井さんは*、西加奈子さんは♪で区別します)

・時間意識と知性
・Madness of the King
・吉本隆明1967
・大学教育は生き延びられるのか?
・こちらは「サンデー毎日」没原稿
・奉祝「エイリアン・コヴェナント」封切り
・米朝戦争のあと(2件)
・気まずい共存について

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内田先生かく語りき8目次
・「愛国的リバタリアン」という怪物
・『日本の覚醒のために』まえがき
・「内田樹の大市民講座・直感はわりと正しい」
・対米従属テクノクラートの哀しみ
・天皇制についてのインタビュー
・朝日新聞のロングインタビュー
・神奈川新聞のインタビュー
・役に立つ学問
・Liberationの記事から
・境界線と死者たちと狐のこと
・大統領が就任したときの日本人
・なぜトランプ政権のスタッフは嘘をつくのか?
・2016年の十大ニュース
・「困難な成熟」韓国語版序文
・『赤旗』インタビューロングヴァージョン
・なぜ安倍政権は勝ち続けるのか?
♪アラスカ
・司馬遼太郎への手紙
・山本七平『日本人と中国人』の没解説
・ルモンドの記事から

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内田先生かく語りき7目次
・日弁連での講演の「おまけ」部分
・National Review の記事から「ファシズムに向かう日本」
・電通は日本のメディアを支配しているのか?
・日本はこれからどこへ行くのか
・ルモンドの記事から
・『もう一度村上春樹にご用心』韓国語版序文
・「若者よマルクスを読もう」中国語版序文
・北海道新聞のインタビュー
・東京新聞(7月17日)
・対米従属を通じて「戦争ができる国」へ
・旦那芸について
・日本はアジアの次の独裁国家になるのか?
・『日本の反知性主義』のまえがき
・東京新聞のロングヴァージョン「選挙の総括」
・『街場の戦争論』についてのインタビュー
・資本主義末期の国民国家のかたち
・川内原発再稼働について
・「英語教育論」についての再論
・ネット時代の共生の作法

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内田先生かく語りき6目次
・『憲法の空語を充たすために』まえがき
・立憲デモクラシーの会の緊急記者会見
・GQの人生相談6月号
△佐々木実著『市場と権力』
・半分あきらめて生きる
・NewYork Times 「日本の平和憲法」
・ル・モンドの記事から
・従属と謝罪について
・「街場の憂国論」号外のためのまえがき
・特定秘密保護法への抗議声明
・特定秘密保護法案について(つづき)
・特定秘密保護法について
・日本を喝破しているお二人
・「公募校長」の資質について
・『風立ちぬ』
・関川夏央『昭和三十年代演習』書評
・脱グローバリズム宣言
・日本の政治家の無知
△国民国家を縛るスタンダードからグローバル企業を縛るスタンダードへ

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内田先生かく語りき5目次
・セックスワークについて
・朝日新聞の「オピニオン」欄に寄稿(工事中)
・東北論
・言語を学ぶことについて
・『下流志向』韓国語版序文
△吉田松陰と佐久間象山と松平忠固
・就活についてのインタビュー
・新年のご挨拶がわり
・朴聖煥先生のこと
・最低賃金制の廃止について
・幼児化する政治とフェアプレイ精神
・コンビニ化する大学と知性の危機について
・無謬の政治家の陥穽について
・「En Rich」のロングインタビュー
・中国離れについて
@種子企業の買収
*あまりに強引な中華帝国的侵略手法を櫻井よしこ氏が危惧
・領土問題の背景に政権基盤と米国・新聞は報じたがらない
・集団的自衛権と忠義なわんちゃんの下心について
・京郷新聞のインタビュー記事
★原子力村復活計画
・領土問題は終わらない
@遺伝子組み換え反対のツイッター語録
・内田先生の韓国講演
・『時局』インタビュー
・プレス民主でのインタビュー

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内田先生かく語りき4目次
○「人気取りのために私を殺さないで下さい」の巻
・さよなら民主党
〇頭ん中、整理
・『赤毛同盟』と愚鈍の生成について
・抑止力と付加形容詞について
・日本のメディアの病について
・「格差社会について」
・ツイッターとブログの違いについて
・劇化する政治過程・カオス化する社会
・「辺境ラジオ」で話したこと
・平松さんの支援集会で話したこと
・さよならアメリカ、さよなら中国
#TPP反対と反原発の根っこは政府への不信感
・グローバリストを信じるな
・雇用と競争について
★原子力安全行政の仕組みが壊れています
★21世紀の新しい資本主義へ
・多数派であることのリスクについて

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内田先生かく語りき3目次
・「まったなし」を待っていただけないでしょうか
・再録しますね(1)
・教育基本条例について
・ネット上の発言の劣化について
・若者よマルクスを読もう・韓国語版序文
■"脱原発"に暴走する?菅直人首相
・松本復興相の暴言
・再び、平田オリザ氏の発言に対して
・脱原発の理路
・浜岡原発停止について
・4月11日から5月5日までの日記
・荒ぶる神の鎮め方
・リスクヘッジについて
・ル・モンドの記事を訳してみました
☆見えてきた9条改憲のシナリオ
☆「4島返還論」というアメリカの罠
△農産物関税を撤廃してはいけない理由
・テクノロジーと常識について
・PISAのスコアについて
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<内田先生かく語りき2>目次
・司祭大統領
・「反日」の意味について
☆オスプレイ配備で沖縄の「重要性」は蒸発する
・成功について
・スーパークールな一夕
・縮み行く世界
・アメリカの訴訟社会
・日本の人事システムについて
☆アメリカ人は今なおトルーマンの悪夢を生きている
・ガラパゴスも住めば都
☆花岡は日本のアウシュビッツではない
・アメリカン・グローバリズムより格が上
☆海兵隊はグワムに行けと簡単に言えない理由
・キャラ化する世界
・思考停止と疾病利得
・さよならアメリカ、さよなら日本
・父親のかなしみ
・豊臣秀吉の幻想
■"抑止力論の罠"に絡め取られた鳩山首相
■後ろ向きに終わった「日米安保再確認」
☆外国軍基地問題で首相交代?どこの植民地の話?
・基地問題再論
・男性中心主義の終焉
・大人への道




2018/02/01時間意識と知性より
『ブレードランナー2049』は「人間とレプリカントを識別する指標は何か?」という問いをめぐる物語である。それは「最終的に人間の人間性を担保するものは何か?」という問いに置き換えることができる。
人間性とは突き詰めて言えば何なのか?それ以外のすべての条件が人間と同じである人工物を作り得たとしても、それだけは与えることができないものがあるとしたら、それは何か?

 これは古い問いである。おそらくこの問いが生まれたのは紀元前2000年頃の中東の荒野である。この問いを得たときに一神教が発祥した。「創造主」という概念を人間が手に入れたのである。
 神であっても「それだけは与えることができないもの」があるとしたら、それは何か? 
 古代ユダヤ人はこの問いにこう答えた。「それは神を畏れる心である。」
もし神がその威徳に真にふさわしいものであるなら、神の命じるままに機械的に神を敬う、腹話術師の操る人形のようなものを創造したはずはない。神は必ずや自力で神を見出し、神を敬い、神を畏れることができるほど卓越したものを創造したはずだ。





2017/12/06Madness of the Kingより
 12月5日のJapan Times に「王の狂気」と題するトランプ大統領についての記事が載った。
今世界ではそれが最も緊急な懸念である。
痴呆症の大統領に戦争を始められては困るからだ。
もちろん、日本のメディアはそんなことは書かない。
日本は痴呆症かもしれない大統領に煽られて戦争をする気でいる世界唯一の国だからだ。
官邸がいやがりそうなことは書かないというのなら、それはそれで構わない。
でも、あとになって「いや~、はじめからちょっと怪しいなとは思っていたんですけどね」みたいなことは書かないで欲しい。

記事は長いので、終わりの方だけ訳した。ここから↓

トランプが何らかの(場合によっては複数の)精神障害を抱えているように見えることは、精神科医、政治家、ジャーナリストの間に等しくジレンマを産み出している。アメリカ精神科医協会は会員たちに診察したことのない人について診断を下さないというルールを定めている。だが、何人かの精神科医たちはこれを国難的事態と見なして、ルールを破って、トランプの精神状態についての専門的判断を公的に語ったり書いたりし始めている。
最も広く受け入れられている見解は、彼がナルシスト的人格障害に罹患しているというものである。これは単なるナルシストであることよりもはるかに深刻な症状である。
Mayo Clinicによると、これは「自分の重要性についての過大評価、自分に対して過剰な関心や称賛を求める強い欲求、病的な人間関係、他者への共感の欠如」などとして現れる。さらに「過剰な自身の仮面の背後には、わずかな批判によっても傷つく脆弱な自己評価が潜んでいる」ともされている。





2017-11-10吉本隆明1967より 
 1968年は鹿島先生が大学に入ってはじめて吉本隆明と対峙した年である。私の場合はそれが一年前の1967年なので、上のような題になった。私もまた吉本隆明と少年の時に出会って、人生が変わった人間のひとりである。

 私は高校生から大学院生の頃までは吉本隆明の熱心な読者だった。でも、ある時期から読まなくなり、95年の阪神の大震災の時に高校時代からの蔵書をまとめて処分した時に、埴谷雄高や谷川雁や平岡正明の本といっしょに吉本の本も捨ててしまった。けれども、その後またふと読みたくなって、結局吉本隆明についてだけは捨てた本を全部また買い集めた。

 それは父が2001年に亡くなり、その後父のことを回顧するにつれ「戦中派の人たちは、戦前の自分と戦後の自分を縫合するためにずいぶん苦労をしたんだろうな」ということがひしひしと感じられるようになったからである。そして齢耳順を超えて読み返しながら、私もまた鹿島先生と同じように「ああ、おれはこの歳になっても、吉本主義者であったか」と深く感じ入ったのである。




2017-11-03大学教育は生き延びられるのか?より 
 正直に言って、日本の大学は、このままではもう先はないです。教育制度は惰性が強いですから、簡単には潰れはしません。民間企業のようにいきなり倒産するということはない。でも、じりじりと駄目になってゆく。長期停滞傾向が続いて、20年、30年経ったあたりで、もう本当に使い物にならなる。それでもまだ組織としてはもつでしょう。

 医療とか教育というのは「それがなくては共同体が存続しえない」本質的な制度ですから、最終的には現場にいる人たちが身体を張って守ります。ですから、どんなにシステムがおかしくなっても、公的な支援が途絶えても、それでもなんとか持続はします。でも、それはほんとうに現場の人が命を削ってもたせているからもっているのであって、公的制度としてはもう破綻している。ブラック企業と同じでです。フロントラインに立ってる生身の人間が必死になって現場を回しているわけで、その人たちがばたばた過労死しているおかげでかろうじてシステムの体をなしている。大学もそういう状況にいずれなりますし、局所的にはもうそうなっている。

 医療の世界でかつて「立ち去り型サボタージュ」という言葉が使われました。小松秀樹さんの書かれた『医療崩壊』という本がその事実を明らかにしました。小松先生とは一度お会いしたことがありますけれど、その時に教えられたのは、「医療崩壊」というけれど、医療もやはり惰性の強いシステムなので、簡単には崩壊しないということでした。それは現場に立って医療の最前線を守っているドクターやナースは自分の健康や家庭生活を犠牲にしても医療を守ろうとするからです。

 そういう「業」を抱えた人が医療の現場に立っている。だから、制度的に破綻していても、簡単には崩壊しないんだ、と。でも、生身の人間ですから、彼らのオーバーアチーブメントに頼って支援の手当をせずに放置しておけば、いずれ一人倒れ二人倒れ、前線の維持が難しくなる。そういうお話でした。



2017-10-03こちらは「サンデー毎日」没原稿より
 国際社会からは「首相はほんとうに朝鮮半島情勢の鎮静化を望んでいるのか」について懸念が語られている。その懸念について誰も責任ある回答をしないようなので、私が海外の皆さんの懸念について、日本人を代表してお答えしたいと思う。

 安倍首相は本気で「戦争をする気でいる」。だから、そのための環境づくりにたいへん熱心なのである。彼が続く内政面での失敗にもかかわらず、いまだに高い支持率を誇っているのは、彼の好戦的な構えを好感する有権者がそれだけ多いからである。

 仮に起きた場合に、米朝戦争がどれほどの規模のものになるのか、首相もその周辺もたぶん何も考えていない。そういう実務的なことを考えて、コントロールするのは米軍であって、自衛隊は米軍の指示に従って動けばいい。そう考えている。



2017-10-01奉祝「エイリアン・コヴェナント」封切りより 
 リドリー・スコットの『エイリアン・コヴェナント』がいよいよ公開される。
20年くらい前に、『エイリアン』をネタにした映画論とフェミニズム論をいくつか書いた。昔のHPに公開されていたが、今はもうリンクが切れてしまっているので、ネットでは読めなくなった。筐底から引き出して埃をはらってネット上で公開する。
(中略)

 しかし母性の評価にかかわる映像記号はそれほど単純ではない。いま論じたのとは違うレヴェルにおいて、つまりリプリーと「女王エイリアン」の対立においては別様の「母子の物語」が語られているからである。

 巨大な「女王エイリアン」は植民地星の地下深くに営巣し、ひたすら卵を排出し続けるだけの生殖機械である。「女王」と遭遇したリプリーは火炎放射器で卵を残らず焼き払う。しかし「女王」は産卵管に繋縛されているために身動きならず、卵が破壊されるのを傍観するばかりで、それを阻止することができない。
 生殖に専念したために結果的に種族に壊滅的な被害が及ぶのを阻止できなかった「女王」。「家」に閉じこもって「育児」に専念していたために社会的能力を失ってしまった「母」。これは「過大評価された母子関係の否定的側面」を意味するだろう。

 産卵という任務から子供たちの死によって解放された「女王」は、ただ一人で侵略者リプリーと闘う。映画の最終場面で二人の「母」は一対一で激突することになるのだが、結果的には肉体労働の経験によって宇宙船内の機材の運用に習熟したリプリーが「女王」を船外に叩き出して勝負を決する。社会的スキルに習熟していない母性はここでも「働く女性」の前に一敗地にまみれる。
 表層における「母性賛歌」とはかなり矛盾する映像的なメッセージがここには盛り込まれていることが分かる。

 映画の中の母子関係とその記号的意味をもう一度図表化してみよう。
(1)「外で働いていたために、娘の死に目に会えなかった母親」であるリプリーは「母が外に働きに出て死んだために、ひとり放置された娘」であるニュートと擬似的な母子関係をもつ。(この説話群のメッセージは「母親が子どもを置いて外へ働きにでると、母子はともに孤独になる」である。)
(2)ニュートの墜落によって、リプリーたちは無用な危険を冒すことを強いられる。卵はエイリアンたちの集団の《弱い環》であり、産卵のために母親は身動きできず、そのため女王は焼死の危険にさらされる」。(この説話群のメッセージは「母子関係が緊密であると、母親は無用の危険に身をさらすことになる」である。)
(3)「娘の救出のためにリプリーは例外的に高度の戦闘力を発揮する」。「死んだ卵の報復のために女王は例外的に高度の戦闘力を発揮する」。(この説話群のメッセージは「母子関係が切り離されると、母親の戦闘能力は向上する」である。)
(4)「社会的スキルの運用に習熟したリプリー」が「情緒的に暴れ回る女王エイリアン」に勝利する。(この説話のメッセージは「外で働く母親は子供を幸福にする」である。)
 映像の記号はごらんの通り、さまざまな矛盾するメッセージを発信している。とはいえそれらのメッセージは均等に配分されているわけではない。



2017-09-04米朝戦争のあとより
 北朝鮮の空母がハドソン川を遡航してきてマンハッタンにミサイルを撃ち込んだというならともかく、アメリカの空母が朝鮮半島沖で攻撃されたというのでは開戦の条件としてはあまりにも分が悪い。

 そうなると、あとは戦争をすると言っても、ピンポイントで核施設だけ空爆で破壊し、国民生活には被害が出ないようにするという手立てしかない。でも、仮にそれがうまく行って、ライフラインや行政機構や病院・学校などが無傷で残ったとしても、その国をアメリカがどうやって統治するつもりなのか。

 アフガニスタンでもリビアでもイラクでも、アメリカは独裁政権を倒して民主的な政権をつくるというプランを戦後は一度も成功させたことがありません。成功したのは72年前の日本だけです。

 でも、それが可能だったのはルース・ベネディクトの『菊と刀』に代表されるような精密な日本文化・日本人の心性研究の蓄積が占領に先立って存在していたからです。同じように、もし北朝鮮の「金王朝」を倒して、民主的な政権を立てようと思うなら、それを支えるだけの「北朝鮮研究」の蓄積が必要です。



2017-09-04米朝戦争のあとより
 もう一つのリスクは、ソ連崩壊後のロシア・マフィアのように、北朝鮮の「ダーティ・ビジネス」を担当していたテクノクラートたちがそのノウハウを携えて、海外で商売を始めることです。北朝鮮の「ダーディ・ビジネス」担当者はこれまでも世界各国の諜報機関や「裏社会」とつながりを持ってきました。今までは「国営」ビジネスでしたけれど、王朝が滅びてしまうと、これが私企業になる。兵器や麻薬や偽札作りやスナイパーや拷問の専門家などが職を求めて半島を出て、世界各地で新たな「反社会勢力」を形成することになる。

 北朝鮮が瓦解した場合の最初の問題は難民です。でも、難民は寝る所を提供し、飯が食えれば、とりあえずは落ち着かせることができる。怖いのは軍人です。
北朝鮮は保有する兵力は想定ですが、陸軍102万人、海軍6万人、空軍11万。他に予備役が470万人、労農赤衛隊350万人、保安部隊が19万人。2400万人の国民のうち約1000万人が兵器が使える人間、人殺しの訓練をしてきた人間です。



2017-08-16気まずい共存についてより
 僕はこのところ『フォーリン・アフェアーズ・レポート』というアメリカの外交専門誌を購読しているんですけれど、それを読んでいると、アメリカの政治学者の論調がずいぶん変わったことに気がつきました。

 このところのアメリカの政治学者が言い始めているのは、アメリカはもう国際社会に対する指導力は失ってしまった、ということです。アメリカはもう世界に対して指南力のあるメッセージを打ち出せなくなった。これからは、中国とかロシアとかドイツとか、国情も違うし、国益も違うし、目指している世界のありようも違う国々と、角突き合わせながら、なんとか共生してゆくしかない、そういう諦めに似たことを語り出すようになってきた。その中に「気まずい共存」という言葉がありました。

 これからアメリカは世界の国々と「気まずい共存」の時代に入ってゆく覚悟が要る、と。これまでは「価値観の一致」とか「政治文化の共有」とかそういう相互理解を基盤にして外交関係を構築してきました。でも、これからは違う。われわれがこれから同盟したり、連携したりする国々は、われわれとは価値観が違う、統治形態も、統治理念も違う。でも、そういう理解も共感もできない国々と気まずいながら共存してゆく以外にアメリカが生きる道はない。だから、その居心地の悪さに早く慣れるべきだ、と。そういうことを、何人かの政治学者が書いていて、僕は深く納得したのです。

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