『東インド会社とアジアの海賊』6

<『東インド会社とアジアの海賊』6>
図書館で『東インド会社とアジアの海賊』という本を、手にしたのです。
ぱらぱらとめくると、アジアの海賊、国姓爺、アヘン戦争とか興味深い史実が見られます。要するに、清朝末期の列強の大陸侵食が興味深いのでおます。



【東インド会社とアジアの海賊】
東インド

東洋文庫編、勉誠出版、2015年刊

<「BOOK」データベース>より
誰が海賊だったのか?海賊の多様性を歴史から読み解く。17世紀初頭にヨーロッパで誕生した東インド会社とその海上覇権の確立にあたって大きな障壁となった現地の海賊たち。両者は善と悪という単純な図式では表せない関係にあった。東インド会社もまた海賊であったー。東インド会社と海賊の攻防と、活動の実態を明らかにする。

<読む前の大使寸評>
ぱらぱらとめくると、アジアの海賊、国姓爺、アヘン戦争とか興味深い史実が見られます。要するに、清朝末期の列強の大陸侵食が興味深いのでおます。

rakuten東インド会社とアジアの海賊

アヘン戦争英メネシス号の中国兵船砲撃

清朝水師と海賊の関係を、見てみましょう。
p284~286
<清朝に雇われたイギリス海軍>
■海賊の海上支配
 海上貿易の発展にとって、海賊は必ずしも疎外要因ではなかった。海賊が沿海の統治能力をもち、保護費の徴収による安全確保といったルールに基いた貿易が維持できれば問題はない。例えば16世紀後半の瀬戸内海の村上水軍や、17世紀前半の中国東南沿海の鄭氏などは、特定の海域において一定の統治を行っていたと言えるだろう。

 しかし、当該期の海賊は、広域的な海域支配を行う力はなかった。実際には、遭遇した船舶だけから保護費を徴収していた。これは、恒常的な保護費ではないし、保護費を徴収された船舶は別の海賊に遭遇すれば、また別に保護費を支払う必用が生じていたのである。さらに、中国船よりもはるかに優れた装備をしており、しかも欧米諸国の保護下にある欧米船に対する統制を中国人海賊が行うことは不可能であった。つまり、中国人海賊に沿海統治能力はなかった。

 逆に言えば、海賊は交易の阻害要因でしかなかった。そして16~17世紀と大きく異なっていたのは、海賊取締りの方針をとるようになっていたイギリスなどの欧米諸国が、海賊による統治を認める可能性がなかったことである。そこで清朝の海賊への対応が求められた。

 清朝側の官僚の報告によれば、各省においては、水師による掃討・水師への編入が行われた。さらには、先述したような旧来の漁船管理の手法にならって船舶十隻ごとの編成や、さらには地方武装組織である団錬・郷勇の編成による対応も試みられている。これらは喜慶海寇の時やアヘン貿易対策などに用いられた伝統的な手法であったが、それが実際に行われたどうかも含め、効果は疑わしい。

 そもそもアヘン戦争以前から水師の能力は低下していた。例えば福建水師は放置されたまま完成していない船舶が多数存在しており、規定されている名目上の船舶数は意味をなさなくなっていた。そして水師はその船舶を利用したビジネスに励んで海賊の鎮圧をせず、さらには海賊を水師に編入するということからも分かるように、水師そのものが海賊から構成されていた。

 こうした状況の水師がアヘン戦争によって打撃を受けたのだから、海賊との力関係が完全に逆転する。福建人海賊は福建水師のトップである水師提督に対して数回にわたって挑戦状をたたきつけており、水師提督が乗っている船舶に焼夷弾を投げ込むような状況であった。これでは水師の権威もあったものではない。

 また、広東人海賊張十五は、広東・広西省という二つの省を管轄する両広総督の徐広〇に対して、福建・浙江沿海の略奪・破壊を控える代わりに金銭を要求した。これは地方官僚トップに対する脅迫にほかならない。まさに、清朝の権威は地に落ちていた。そして実際に戦闘になれば、水師が敗北することも多かった。そういった状況では、水師に海賊を編入したとしても、彼らのコントロールは困難であったと言えるだろう。

 このように清朝水師は海賊を抑制できず、海賊横行は貿易に打撃を与えていた。そこで登場するのがイギリス海軍である。



『東インド会社とアジアの海賊』1:東インド会社の特徴や商品
『東インド会社とアジアの海賊』2:徽州海商と後期倭寇
『東インド会社とアジアの海賊』3:ポルトガル人や後期倭寇の海賊行為
『東インド会社とアジアの海賊』4:オランダ東インド会社の登場
『東インド会社とアジアの海賊』5:オランダ東インド会社のダークサイド

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