『世界史の大転換』1

<『世界史の大転換』1>
図書館で『世界史の大転換』という新書を、手にしたのです。
ぱらぱらとめくってみると、IS、サイクス・ピコ協定、中国の軍拡など気になる項目が満載されています。
『サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』という本を読んだ後なので、尻取りのように、この本を借りた次第でおます。


【世界史の大転換】
世界史

佐藤優, 宮家邦彦著、PHP研究所、2016年刊

<「BOOK」データベース>より
跋扈するIS、誰も予期できなかったトランプ現象、止まらない中国の軍拡…「歴史の終わり」どころか想定外の出来事が次々に起こる世界。その本質を理解するにはニュースの表層を追いかけるだけでなく、背後の因果・相関関係を見抜く本物の歴史的大局観が必要だ。本書では国際社会の表裏を知り尽くした二人のプロフェッショナルが、中東、中央アジア、欧州、アメリカ、中国とまさに地球を一周しながら、なぜいま世界史的な大転換期が到来しているのか、そこでとるべき日本の生き残り策は何かを鮮やかに解き明かす。世界情勢の核心が丸ごと理解できる、圧倒的な密度の一冊。

<読む前の大使寸評>
ぱらぱらとめくってみると、IS、サイクス・ピコ協定、中国の軍拡など気になる項目が満載されています。
『サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』という本を読んだ後なので、尻取りのように、この本を借りた次第でおます。

rakuten世界史の大転換

協定協定区域

サイクス・ピコ協定辺りを、見てみましょう。
p66~70
<第2章 ISを排除しても中東情勢は安定しない> 
■「部族」という価値観を無視したサイクス・ピコ協定
宮家:そうした歴史的な事象を踏まえれば、専門家を含む多くの人がいう、中東からISが排除されれば中東情勢が安定し、国際社会の秩序が回復するという考え方の因果関係が間違っていることがわかります。

 その見方こそが、欧米的な視点でアラブを分析すると根本的に間違えるという典型ですが、ISの台頭を招いた原因の一つは、端的にいえば、中東の実態と合致しない欧米の政策です。その最たるものがサイクス・ピコ協定でしょう。

 周知のように、フランスとイギリス、ロシアがオスマン帝国のアラブ領に定規で人工の線を引き、第一次世界大戦でオスマン帝国が敗れると、民族、宗派、資源配分を無視した国境を規定しました。中東という世界にイスラム教以外の共通の価値観があるとすれば、それは「部族」です。中東の人々は部族を基礎単位として暮らし、部族の目で世界をみている。したがって政治的だけでなく文化的、宗教的にも国境=境界線という発想は乏しい。

佐藤:国境を線で規定すること自体、近代欧州で生まれたここ150年程度の思想です。事実、日露通好条約(1855年)では千島列島の択捉島と得撫島のあいだ、つまり海上に国境線が引かれる一方、陸地の樺太ではこれまでどおり、両国民が自由に行き来可能な雑居地として、明確な国境線は定められなかった。緩衝地帯(バッファー)として機能する「面」の国境です。

宮家:英仏は第一次世界大戦後、シリア、イラク、ヨルダンに王国を建て、事実上の植民地として支配しました。部族単位の生活だったから、「国民」はいない。「国王」とのつながりは希薄です。

佐藤:そしてアラブ諸国のほとんどが、国民国家の形成に失敗した。たしかに現在のシリア、イラク、レバノン、リビアという国家の器はできました。しかし、とくに民族を形成するうえで決定的に重要になる「民族教育」が、アラブ諸国では不十分だった。

 イラクのサダム・フセイン政権や、シリアのハーフィズ・アル=アサド政権は、トップダウンでイラク人、シリア人という民族を形成する努力はしたと思います。それでも「民族」というアイデンティティは、イラク人、シリア人の複合アイデンティティにおいて、大きな位置を占めなかった。部族や、スンニ派、シーア派、アラウィ派、キリスト教徒などの「宗教的帰属意識」のほうが「民族」より優位的なアイデンティティとなったのです。

 もちろん、中東にも国家意識はあります。ただし、統治の基本が独裁制であることに変わりはありません。あくまで独裁者が10人程度の側近に諮問しながら政策意思を決定する。これは近代以降の欧米人がもつ政治観、統治機構とは著しく異なるものです。したがって、ヨーロッパの近代的な民族概念でこれらの諸国の人々の行動を分析しようとしても、うまくいくはずがない。

 アラブ諸国では前近代的な伝統社会が保全され、依然として家族や部族の掟が重要な行動規範なのですから。

宮家:部族社会では、物事の判断基準や揉め事の解決には、「部族」単位のローカルルールが適用される。「部族」間で紛争が生じた際は、この「部族」単位のローカルルールは機能しないので、その場合はイスラムに共通するコーランの教えが適用されます。この制度の欠陥は、同じ宗派内では機能する反面、シーア派vsスンニ派のような宗派間の対立を解決できないこと。国際法など関係なく、武力で勝ち負けの決着をつけるしかない。これがシリアの内乱、イラクでのIS台頭の背景に存在しています。


先日読んだ『サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』3では、サイクス=ピコ協定は分かった気にさせるマジックワードであると述べています。



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