『カラスの早起き、スズメの寝坊』5
<『カラスの早起き、スズメの寝坊』5>
図書館で『カラスの早起き、スズメの寝坊』という新書を、手にしたのです。
ぱらぱらとめくってみると…なるほど、「文化鳥類学」のおもしろさが散見されるのでおます♪
オシドリ
鳥のオスの「衣替え」が語られているので、見てみましょう。
ところで、著者の柴田さんの文章は、学識にあふれ語彙が多いのである。
だけど、難しい漢字が多すぎてパソコンで書き写すのがたいへんである…どうでもいいことかも知れないが(汗)。
『カラスの早起き、スズメの寝坊』1:冬のツバメ
『カラスの早起き、スズメの寝坊』2:鬼子母神のシステム
『カラスの早起き、スズメの寝坊』3:弱きは滅ぶ
『カラスの早起き、スズメの寝坊』4:鳥が運ぶもの
図書館で『カラスの早起き、スズメの寝坊』という新書を、手にしたのです。
ぱらぱらとめくってみると…なるほど、「文化鳥類学」のおもしろさが散見されるのでおます♪
【カラスの早起き、スズメの寝坊】 ![]() 柴田敏隆著、新潮社、2002年刊 <「BOOK」データベース>より モズ、カラス、スズメ、フクロウ、ウ、オオタカ、ヤマシギ、オオミズナギドリ…さまざまな環境に適応して高度に進化した鳥たちは、苛酷な状況を生き抜くためにみごとな知恵を発揮する。感情表現豊かなその生態は、知れば知るほど、人の姿を連想させる。文化人類学ならぬ、「文化鳥類学」の視点から、鳥たちの社会を、いきいきと描くネイチャー・エッセイ。 <読む前の大使寸評> ぱらぱらとめくってみると…なるほど、「文化鳥類学」のおもしろさが散見されるのでおます♪ rakutenカラスの早起き、スズメの寝坊 |

鳥のオスの「衣替え」が語られているので、見てみましょう。
p80~83 <エクリプス> カナディアン・ロッキーでは、国道に車が止まっているときは、大型のけものが出ていることが多い。とりわけアメリカクロクマは人気がある。本当は、路傍で観光客に媚を売って、食物をせしめようとするいささか野生から堕落しかけた怠け熊なのである。国立公園の管理者は「食物を与えないように…」と戒告するのだが、以前はあまり守られていなかった。 (中略) 都市文明のせいばかりではないかも知れないが、近年は、服装や髪の形などによる男女の性差が著しく乏しくなった。 子どもは本来、あまり性差のないものであるが、社会の慣習や、親の「お仕着せ」でかなり幼い頃から、衣服で男女を区別できるものである。それが、最近では、小学生の女児が、男児と同じジーンズのパンツを穿き、男児は頭髪を長く伸ばすので、外見で区別し難いときがある。 (中略) 鳥の世界にも、羽毛や体色などで、性差のはっきりしているものと、とてもわかりにくいものと、一見全然区別できないものとがある。『詩経』にいう「誰か鳥の雌雄を知らん」などは、その良い例であろう。 猛禽(フクロウ類も含む)、カラス、スズメ、ハト、ウグイス、ヒバリ、カワセミ、ツル、シラサギ、ハクチョウ、ウ、カモメ、アジサシ、ミズナギドリ、アホウドリなどではふつう一見しただけではまず雌雄の区別はつかない。繁殖期にオスが囀ったり、特異なコートシップ・ディスプレイをするのを手がかりに、専門家は区別するが、それでも、1羽だけ、単独に提示されたら、解剖でもしない限り、専門家でも、その判別に迷うことが少なくない。 オスが美しく装うのは、雌雄淘汰の結果とされている。繁殖期に、オスがメスを獲得する手段のひとつとしてこうなったものである。 だから、その役割を終えれば、自然の中で、やたら目立つ必用はないし、時には危険でさえあるので、オスもメスと同じような地味な羽色や模様に衣替えするものである。 その典型を、オシドリに見ることができる。オシドリのオスは、秋から春にかけて美しく装うので、昔の中国の後宮に権勢をほしいままにした宦官になぞらえて、mandarin duckと呼ばれている。そのオスのオシドリも、夏は、メスと全く区別がつかない羽毛にかわり、僅かに赤い嘴にオスの片鱗をとどめる程度である。 秋になると、オシドリのオスは、再び美しい装いをとりもどすべく、羽毛を少しずつ変え始める。 そのような状態のオスのオシドリは、何ともえたいの知れない模様を呈するので、相当に目の効くようになった野鳥愛好家でも、甚だしいとまどいを覚えるものである。バード・ウォッチャーたちは、これをエクリプス(eclipse)と呼んでいる。 エクリプスは、オシドリのオスに限らず、秋から冬にかけて美しく装う多くのカモ類のオスに共通する「衣替え」の過渡期に見られる現象である。ベテランのバード・ウォッチャーは、ここで大いに力量を発揮してこれを弁別し、初心者から賞賛と羨望の視線を集めるわけであるが、エクリプスとは実は、日蝕や月蝕のような天体の蝕現象の指す言葉である。 これはまた、光を失うとか、おおいかくすという意味もあるので、転じて、人を惑わすこの時期のカモ類のオスの特異な羽毛の状態を指すようになった。 人類の方のエクリプスは、時と所を問わないようである。 |
ところで、著者の柴田さんの文章は、学識にあふれ語彙が多いのである。
だけど、難しい漢字が多すぎてパソコンで書き写すのがたいへんである…どうでもいいことかも知れないが(汗)。
『カラスの早起き、スズメの寝坊』1:冬のツバメ
『カラスの早起き、スズメの寝坊』2:鬼子母神のシステム
『カラスの早起き、スズメの寝坊』3:弱きは滅ぶ
『カラスの早起き、スズメの寝坊』4:鳥が運ぶもの
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