『対談 中国を考える』6

<『対談 中国を考える』6>
図書館で『対談 中国を考える』という文庫本を、手にしたのです。
とにかく…
中国に関する対談としては、近年においてベストのお二人ではないだろうか♪

よくよく調べてみると、この本は去年の6月に借りていました。で、(その6)とします。

【対談 中国を考える】
対談

司馬遼太郎×陳舜臣著、文藝春秋、2013年刊

<「BOOK」データベース>より
古来、日本と中国は密接な関係を保ってきた。だが現実には、中国人は日本にとって極めて判りにくい民族なのではないか。ぶつからないためには理解すること、理解するためには知ることー両国の歴史に造詣の深い二大家が、この隣人をどのように捉えるべきか、長い歴史を踏まえて深く思索する中国論・日本論。

<読む前の大使寸評>
とにかく…
中国に関する対談としては、近年においてベストのお二人ではないだろうか♪

rakuten対談 中国を考える


中国のナショナリズムが語られているので、そのあたりを見てみましょう。
p124~126
<既成のナショナリズム観では見られない新中国> 
司馬:中国にはたして国民国家が成立しうるか・・・ということがあった。中国人というのはいろんな民族で構成されている一種の世界民族であるわけですね。統一された時期はある。それは漢帝国であり、唐帝国であり、清帝国であるのですが、それは王朝でしたからね。人民はそこでは王様と官吏にメシを食わす道具なんだから、これを国民国家というわけにはいかない。

 フランス革命とか、明治維新とかいった意味での国民国家の成立というのが中国にありうるのか、と思っていたらいまの中国でありえたわけだ。
 21カ条のとき、中国の民は4億といわれていた。その4億がみんなまとまって、いっせいに旗を振ったという印象の大衆デモというか、大衆ストライキとかがあったかというと、太平天国などいろいろあったけれども、いまの中国には遠く及ばない。

陳:そうですね。

司馬:21カ条が引き金になっているわね。こういう悪い隣人がいなければ、こんなに早く国民国家ができなかった(笑)。孫文の大正13年の神戸の演説を考え直してみると、それはもう予言ではなくて、現実になっている。すでに新中国はでき上がっているし、ほかのアジア世界を見てもわかるし、日本の現実をみてもわかる。

陳:孫文のあのときのスローガンは「滅満興漢」、つまり満州人の作った朝廷である清朝を滅ぼして、漢民族の国家を興すというわけですけども、あれは中華民国が成立した時点で達成しているわけで、勢いづけで言っているんですね。

司馬:「尊皇攘夷」と同じですね。

陳:それでその漢なんですけど、いまの中国でも一番基本になっているのは、中国は複合民族である、ということですね。これを非常に強調している。国慶節の前夜の祝宴で、周恩来の乾杯の辞の最後は、「全国各族人民団結万歳」なんです。どこへ行っても「各族」という言葉が聞かれる。

 瀋陽で僕らの泊まった宿舎のそばに、朝鮮族第一中学校というのがあった。この朝鮮族というのは、中国にいる朝鮮民主主義人民共和国の人のことではなくて、中国籍を持った朝鮮族のことなんだ。第一とついてるんだから、当然第二、あるいは第三もあるんでしょう。かれらは民族語で教育を受けている。去年行ったウイグルでも学校でウイグル語をやっていた。朝鮮族は瀋陽だけでも三万人ぐらいはいるそうです。で、そういう複合民族国家であるということをしょっちゅう言っている。

司馬:この国は漢民族国家ではないんだ、ということを明快に言わねばならないんだ。そうでなければ自壊する。

陳:それからもう一つ、行ってみてショックを受けたのは、農民が銃を持っている、ということなんです。民兵制度なんだから銃を持っていても不思議はないと言われればそうなんですけれども・・・。それに「造反有理」・・・謀反を起こすのは理由があるからだ、悪政をされたら起ち上がって反抗しろ、というのがいまの中国のスローガンでしょう。政府首脳にしてみれば悪政をすれば自分自身が倒されるということで、そういう基盤の上に政府が成立している。

司馬:それは相当な度胸やね。それに、今度ストライキを認めたっていうのがあるでしょう。

陳:新しい憲法でね。

司馬:あれもかなりのもんだね。われわれの持っている既成のナショナリズム観でみることができない、何か違う世界国家ができつつあるということですね。日本が国家体験で知ったこととか、イギリス仕込み、あるいはアメリカ仕込みで見たりしたらだめだね。

ウーム 1974年行われたこの対談の頃は、まだウイグル人のテロとか尖閣沖事件が起こる前だから共産党王朝もまだそんなに乱れていなかったようですね。


『中国を考える』1:海や島を恐れる漢民族p41~44
『中国を考える』2:宋のナショナリズムや尊皇攘夷p66~69
『対談 中国を考える』3:シルクロード、その歴史と魅力p199~203
『対談 中国を考える』4:海や島を恐れる漢民族(再掲)p41~44
『対談 中国を考える』5:翻訳語では中国より日本がうまいp60~62

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