『妄想炸裂』3

<『妄想炸裂』3>
図書館で三浦しをん著『妄想炸裂』という本を手にしたのです。
就活作家になるまえの新鋭作家と呼ばれている頃の本である。
さて、無頼作家の片鱗は見えるかな?


【妄想炸裂】
三浦

三浦しをん著、新書館、2001年刊

<「BOOK」データベース>より
てらいなく「オタク」であることを語りながら、「オタク」のイメージを打破する溢れるユーモアと才気。毒があっても、なぜか新鮮なさわやかさ!本とマンガを何より愛し、そして三味線と盆栽(サイボン!?)をシュミとする、新鋭作家の爆笑エッセイ。

<読む前の大使寸評>
就活作家になるまえの新鋭作家と呼ばれている頃の本である。
さて、無頼作家の片鱗は見えるかな?

rakuten妄想炸裂


ブレードランナー2

三浦さんが『ブレードランナー』を語っています・・・・さて、どんなかな。
p109~112
<氷点下の青空>
 雨が降っている。『ブレードランナー』(リドリー・スコット監督)の話をしよう。マイ・ダーリン、ルトガー・ハウアーと出会った、私にとっては忘れられない映画だ。

 あ、ルトガーってのは今つきあってる彼氏よ、なわけはなくて、『ブレードランナー』にレプリカント役で出演している俳優です。彼のことを語り出すとどれだけ紙幅があっても足りないのだけど、プラチナブロンドで目は凍えた青空の色(さすがに自分が恥ずかしい)、M字ハゲでとっても格好良いのよ、うふ。ムキムキの筋肉を誇示しつつスパッツ一丁でハリソン・フォードを追いかけ回す、お茶目なあんちくしょうさ。

 B級映画の帝王、「キ〇ガイ・キワモノ・少年好き」と三拍子揃った優れ者。彼のどの出演作を観るにつけても、自分自身の心の広さと「ルトガーへの愛」を試される。まるで宗教的試練みたいに崇高な映画体験。

 そのうえ『ブレードランナー』から20年(!)が経とうとしているのですもの。ルトガーも寄る年波には勝てず、「体重増加・頭髪後退・歯抜け」という三重苦に。さらに激しく愛を試される私。でもちっともへこたれないの。ルトガーへの想いは深く静かに持続するのでした。これが愛し合って一緒になった夫婦ってものなのかしら。年とか外見の変化とか、私にとっては些細なことだ。ただルトガーがスクリーン上で細々と活躍している。それだけでいい。愛の力は偉大だ。

 私は決してミーハーなわけではない。ほろ酔いかげんの大江健三郎を目撃したときも、電車を待つ小沢征爾を発見したときも、「あ」と思うにとどめた。しかし、「ルトガーに町で会ったら?」と思うと、とたんに平静ではいられなくなる。一度など健康診断で血圧を測っているときに、「渋谷の町でルトガーを発見したらどうするか」を考えてしまい、保健婦さんに、「あらあら、緊張しなくていいのよ」となだめられた。すいません、緊張したんじゃなく興奮してしまったんです。

 さて、観ていない人のために、『ブレードランナー』のあらすじを簡単に説明してみよう。酸性雨ばっかり降ってる未来の町が舞台。屋台でうどんを食べてたデッカード(ハリソン・フォード)は、人間そっくりの外見を持つ、脱走した高性能レプリカント(人造人間)を捕まえて殺せと指令を受ける。かくして、デッカードとレプリカントたちとの死闘が始まるのであった・・・・。あらすじ終わり。度肝を抜くストーリー展開はナシ。

 それにしても『ブレードランナー』は変な映画で、ハリソン・フォードは主人公のくせに、結局女のレプリカントしか殺せない。ヒーローが女しか殺さない映画。なんとも締まりがない。しかも、男のレプリカントにガンガン痛めつけられて殺されかけてるところを、ヒロインのレイチェル(ショーン・ヤング)に助けられるというふがいなさ。そんな情けない男のくせにレイチェルの前では偉そうなんだよ、おまえは。「キスしてって言え」だとう? 何様なんだっつうの。でも格好いいシーンだから許す。えへ。
(中略)

 『ブレードランナー』のラストの青空。その小さな心もとない雲の切れ間は一瞬後には閉ざされて、町にはまた酸性雨が降り注ぐだろう。のび太たちが土管のある空き地で昨日と同じように遊ぶとき、そこには常に青ざめたロボットがいる。硬直した日常と、崩壊への種を内包した日常。二つは実は同じものなのだ。それでも私は、その無力感と恐怖を希望と救済でコーティングした物語が好きだ。ルトガー・ハウアーがビルの谷間から力強くハリソン・フォードを引っ張り上げたように。とても細い光が、雨に濡れた空き地の土管に射している。


よし、もう分かった。
放っておくといつまでも、三浦さんのお話が続きそうなので、とりあえずきりあげます。

『妄想炸裂』1
『妄想炸裂』2

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