『愛国者の条件』1
<『愛国者の条件』1>
図書館で『愛国者の条件』という新書を、手にしたのです。
この本の副題が「昭和の失策とナショナリズムの本質を問う」となっているように・・・
安倍さんの危うさを問う意味でも、時宜を得た本ではないかと思うわけです。
大和ミュージアム
戸高一成さんは「大和ミュージアム」の館長とのこと、戦艦大和を語るにはうってつけの人である。
戦艦大和のあたりを、見てみましょう。
図書館で『愛国者の条件』という新書を、手にしたのです。
この本の副題が「昭和の失策とナショナリズムの本質を問う」となっているように・・・
安倍さんの危うさを問う意味でも、時宜を得た本ではないかと思うわけです。
【愛国者の条件】 ![]() 半藤一利×戸高一成著、ダイヤモンド社、2006年刊 <「BOOK」データベース>より 教育が変われば、国も変わる。その覚悟はできているのか。日本人よ、気分に流されるな。「国のため」より立身出世、能力主義より官僚主義、国際感覚より「栄光ある孤立」、国民との約束よりも外圧…純粋な愛国心を歪め、国家を危うくするものの正体。 【目次】 巻頭対談 愛国心を教えることは可能なのか/第1章 愛国を論じる前に/第2章 「美しい国」づくりに必要なこと/第3章 日本海軍の人づくりに学ぶ/第4章 国家の命運を握る先見性/第5章 国家と軍が誤る時/第6章 なぜ昭和の海軍は破綻したのか/第7章 再軍備を語る前に知っておくべきこと/第8章 日本は歴史から何を学ぶか <読む前の大使寸評> この本の副題が「昭和の失策とナショナリズムの本質を問う」となっているように・・・ 安倍さんの危うさを問う意味でも、時宜を得た本ではないかと思うわけです。 rakuten愛国者の条件 |

戸高一成さんは「大和ミュージアム」の館長とのこと、戦艦大和を語るにはうってつけの人である。
戦艦大和のあたりを、見てみましょう。
p149~153 <硬直した思考で計画された戦艦大和> 私が館長を務める呉市海事歴史科学館は、公募した愛称「大和ミュージアム」という名前で知られています。 この大和という戦艦ほど、昭和海軍を象徴する艦はないでしょう。 最初に、どうして大和のような超大戦艦が造られることになったか、簡単に説明しておきます。 まず、大和建造の理由を一言にまとめるなら、「貧乏だったから」という以外に理由はありません。 海軍の仮想敵国はアメリカです。そして大和の建造計画がスタートするのは昭和9年です。ちょうど日本が国際連盟から脱退して「栄光ある孤立」を選んだ年、また艦隊派と条約派の権力闘争の末に、海軍から条約派の優れた軍人たちが追放されていったころのことになります。 ただ、いくら艦隊派の人たちが暴走を始めていたとはいえ、さすがにアメリカとの全面戦争となったら勝ち目がないことくらいは理解ができています。そして、これからどれだけ急ピッチで軍艦を造っても、その差は埋まるどころかどんどん開いていくであろうこともわかっていました。第一、経済力が段違いです。 しかし、仮に総合力では及ばないとしても、ひとつひとつの海戦で負けなければいい。それぞれの海戦で絶対に負けないような超大戦艦、いわゆる「不沈戦艦」を数隻造っておけば、いくらアメリカが何十隻の戦艦を持っていても最終的には負けることがない。 また、アメリカ海軍の造船所は大西洋側に集中しているため、太平洋艦隊の戦艦はどうしてもパナマ運河を通れる大きさでなければならない。つまり、こちらはパナマ運河を通れないくらいの大きな戦艦にすればいい。 大ざっぱに言うと、こういった大艦巨砲主義に基ずく理屈の上に造られたのが大和であり、武蔵です。 この理屈は、それなりに説得力を持っているようにも思えますが、重大な欠陥があります。というのも、ここで想定している海戦とは、あくまでも日本海海戦型の、大鑑巨砲の洋上決戦です。ところが、いざフタを開けてみると、太平洋戦争では航空機を中心とする海空戦になっていたのです。 それを一部見越していたのか、山本五十六などは計画段階から設計関係者を、「こんなものを造っていると、失業するぜ」とからかっています。後に機動部隊の航空参謀となる源田実も、大和のことをピラミッドや万里の長城に並ぶ「世界三大無用の長物」だとこき下ろしていました。 実際、全長が263メートルというのですから、東京池袋のサンシャイン60ビルを横にしたよりも大きい。全幅39メートルというのもパナマ運河を通れない大きさ。そして乗組員が定員で約2500人、最終的には約3300人も乗り込んでいたというのですから、まさに空前絶後の戦艦です。 そして大和を象徴するものが、最大射程4万2000メートルを誇る46センチ主砲です。 これは世界最大の艦砲でした。ちなみに、アメリカの戦艦は最大射程が約4万メートル弱、理論上は、相手の弾が届かないところから撃沈することが可能なわけです。 しかし、艦砲というのは最大射程で撃ってもまず命中するものではないんですね。それに実際の海戦は3万メートル前後の範囲でおこなわれる。 さらに言うなら、大和の艦砲は構造上の関係から40秒に1発しか発射できません。そしてアメリカ艦の艦砲は30秒に1発発射できる。ということは、初弾発射後2分間に、大和は4斉射36発、アメリカの戦艦は、主砲が同じ9門として、初弾発射後2分で5斉射45発を発射できるわけです。無論大和の主砲弾は1発でも直撃すればアメリカ戦艦を撃沈できると予想しますが、大口径砲は公算射撃ですから、発射弾数の多い方が当然有利なのです。 |
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