『蜜の流れる博士』2

<『蜜の流れる博士』2>
図書館で『蜜の流れる博士』という本を、手にしたのです。
目次を見てみると、南方熊楠をメインテーマに据えた随筆のようである。
ぱらぱらとめくると「ブレードランナー」を絡めて博物学、民俗学を語ったりして・・・ええやんけ♪



【蜜の流れる博士】
中沢

中沢新一著、せりか書房、1989年刊

<「BOOK」データベース>より
古書につきデータなし

<読む前の大使寸評>
目次を見てみると、南方熊楠をメインテーマに据えた随筆のようである。
ぱらぱらとめくると「ブレードランナー」を絡めて博物学、民俗学を語ったりして・・・ええやんけ♪

amazon蜜の流れる博士


大使をインスパイアしてやまない龍について、見てみましょう。
p243~246
<南方熊楠への手紙>
 さて、例の「十二支考」。虎、兎とつづいて、今年(大正5年)は龍の順番とあいなりました。あなたもお書きになっているとおり、龍は「性は粗猛にして、美玉空青を愛す」いきものです。いや、ほんとうのことをいえば龍は現実の動物ではなく、ひとの想像力のなかに結晶してきたいきものなのですから、たぶんそこには人間のなかにある「性は粗猛にして、美玉空青を愛す」るような性格が投影されているのでしょう。でも私の見るところ、そういう龍のイメージは、まさにあなたそのものです。龍の性格の結晶体であるあなたの書く、龍をめぐる論文。これは面白いにきまっています。

 この「大龍のように長々しい」論文を、あなたは、龍王にその豪腕をみこまれた豪傑田原藤太のおこなったという、百足の怪物退治の武勇伝の物語から説きおこしてみせるという、じつにスマートな手口で書きだしています。この物語が星雲発生のきっかけとなって、そのまわりにたくさんの星雲宇宙がつくりだされ、「十二支考」のなかでも、これはきわめつけの名品となっています。

 その功績の一半は、しかし龍そのもののもっている、ほかの十二支の動物にはない、特別な性格にも起因しているでしょう。龍は十二支の動物のなかでも、とくに風変わりないきものです。ほかの動物たちが、そこらへんにも生きているなじみの深い連中なのにたいして、龍だけはこのところとんとその姿をみかけたものがいない、ひょっとしたら昔だってその姿をみかけたなんて話は全部でたらめだったかもしれない、いわゆる幻想動物に属しているからです。

 そのために、ほかの十二支の動物をめぐるフォークロアや神話には、現実の生物学的事実をもとにした想像力の飛躍をあとづけることができるのにたいして、龍の場合に問題になっているのが、想像力そのものの組織や力だという大きな違いがあらわれてくるのです。龍は人間の幻想の能力の秘密をにぎっています。
(中略)

 龍のイメージには、その想像力のイメージ合成のしくみが、よくあらわれています。たとえば、中国人は龍をつぎのような姿に描いています。
龍の形に九似あり。頭は蛇に似る、角は鹿に似る、眼は兎に似る、耳は牛に似る、うなじは蛇に似る、腹は蜃に似る、鱗は鯉に似る、爪は鷹に似る、掌は虎に似る、これなり。(『本草綱目』)

 部分部分は現実にいるなにかのいきものに似ているのですが、それが合成されて一匹の動物ができあがるプロセスには、生物進化というひきかえしのきかない非可逆的プロセスが、ついに実現しえなかった「夢」が映しだされているように思えます。つまり幻想動物は本質的にアナクロニズムなのです。

 アナクロニズムには、時間をのがれたもの、時間がおたがいを遠くひきななしたものどうしの非時間的な出会い、などといった意味があります。それに時間のなかでいやおうなく実現されてしまったものから自由でいられる、絶対的な可能性という意味もあります。それはアナクロニズムとして、過去でもあり同時に未来でもあるような不思議な存在のしかたをしめしています。


不思議な存在といえば、村山由佳著『ダンス・ウィズ・ドラゴン』には、ドラゴン、巽、長岡、等々龍が満載となっています♪


【ダンス・ウィズ・ドラゴン】
ドラゴン

村山由佳著、幻冬舎、2012年刊

<「BOOK」データベース>より
井の頭公園の奥深くひそむ、夜にしか開かない図書館。“龍”を祀る旧家に育った血のつながらない兄妹が、時を経て再会した。消し去れない想いを抱き合うふたりは、記憶と今を結ぶため故郷を訪れる。

<読む前の大使寸評>
この本の装丁と『ダンス・ウィズ・ウルブズ』に似たタイトルに惹かれて、借りたわけです♪

amazonダンス・ウィズ・ドラゴン


『蜜の流れる博士』1

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