『砂の海』5

<『砂の海』5>
図書館で『砂の海』という本を、手にしたのです。
ちょっと古い本ではあるが、砂漠、西域は大使のツボでもあるし、シーナの紀行とあれば期待できそうやでぇ♪


【砂の海】
砂

椎名誠著、新潮社、2000年刊

<「BOOK」データベース>より
目的地は、探検家ヘディンが「さまよえる湖」と名づけたロプノールと2000年前の幻の王国・楼蘭。太陽のコノヤロ光線、岩山も刻む砂嵐の中、“あやしい探検隊”隊長は、“正しい探検隊”である日中共同探検隊と、ずんがずんがと砂漠を突き進む。金属味の缶詰料理に辟易し、激しく車に揺られながら、著者が最終地点で目撃したものは?ハードな旅をユーモアで描く、シルクロード紀行。

<読む前の大使寸評>
ちょっと古い本ではあるが、砂漠、西域は大使のツボでもあるし、シーナの紀行とあれば期待できそうやでぇ♪
借りたのは、1998年刊のハードカバーです。

amazon砂の海

砂漠

タクラマカン砂漠に入るあたりを、見てみましょう。
p86~88
<オアシス>
 タマリスクの木はさらに数を増やしていった。地図にある「紅柳溝」にさしかかっているのだろう。日本語でいえばタマリスク川である。

 さらに1時間あまりそこを進んでいくと、川もタマリスクも消えていきなり前方の大地と空が「どおーん!」とひろがった。まさに「どおーん!」であった。
 空と大地がいちどにむきだしになったようにも思えた。両者のひろがりがあまりにも遠すぎて、はじめのうちはわが視界からいきなりすべてのものが消滅してしまったようにも思えた。

 タクラマカン・・・であった。
 楊志強隊長から、いま我々はタクラマカン砂漠に入った、ということが無線で告げられる。
 それにしても、まったくじつに砂漠である。
 空と地平は薄紫色の霞のようなものに茫々と溶けてまじりあい、強い陽光の下にじっと息をひそめ、ある種の威武をもってひたすら広がっている巨大な海のように見えた。

 そうなのだ。そこに広がっているのはまさしく海であった。いちめんの砂の海であった。
 わが自動車隊は再び盛大な砂埃をまきあげて「正面の茫漠」に突進していった。車はまた激しい上下左右動と砂埃に翻弄されはじめた。

 間もなく隊列は急停止。通信機を積むトラックの天井からクーラーがそっくりはじけて落ち、使いものにならなくなったという連絡が入った。通信機械は熱をもつのでクーラーが必用であったらしいが、今はこの激しい揺れで通信機本体に影響がないか・・・ということのほうがむしろ心配のようだ。

 太陽は頂点に昇りつめていて、風はいつの間にか熱風になっていた。今朝出発のときは羽毛服を着ていたのに、今はTシャツ1枚でも暑い。
(中略)

 やがて道が見えてきた。砂の海から大地に上がっていくように自動車隊はそこにどんどん「上陸」していく。道の両側に立ち並ぶ背の高いポプラの木が梢のあたりをわらわらと揺さぶり、吹いていく風がポプラの葉裏を白く光らせる。走っていく我々の車列の前で羊の群が面倒くさそうに道ばたに身を寄せ、大きなニワトリがくわくわくわとえらそうにトサカをふりたてながら横切っていく。犬が吠え、風がまたその上を走った。オアシスはまさしくいたるところに命があった、


黄砂や赤砂の薀蓄を見てみましょう。
p126~127
<赤いメサ>
 飛砂走石 天昏地暗 伸手不見五指
 というのは中国の砂漠の黄塵万丈の様子を述べたものだ。ひろげた自分の手の指が見えないというのだから話はおだやかではない。
 
 ゴビやタクラマカンは黄砂の発生源で、砂嵐によって捲きあげられた砂塵は偏西風にのって日本の方向に移動する。

 黄砂の日本の降下量は季節の単位でみるとたいしたことはないが、この砂塵の移動は地球がはじまってからずっと続いているわけであり、そういう歴史単位でみると油断のならない量になる。もっともしかし油断できないといっても用心のしようがないからどうも困る。どのくらい降り積もっているかというこの十万年間で1平方メートルあたり2~3トンにもなるというのである。土の厚さにすると130~214センチにもなるという。

 どうもそうなると日本というのは、中身は日本のものであっても、その表面は中国の砂でできているような気がしてくる。

 黄砂は日本だけめがけてどさどさ降りてくるわけじゃないだろうから、それをはるかに上回る量が日本海に落ち、さらに日本を通りこしてその先の太平洋にも落ちていることになるわけだろう。

 中国の砂漠からやってくるくるのは黄砂だが、北西貿易風が捲きあげるサハラ砂漠の砂は「ハルマッタン」と呼ばれる赤砂で、これは西アフリカ方向へ流れ、大西洋を越えて西インド諸島やアメリカあたりまで飛んでいく。赤砂が雨にまじると赤い血のような雨になり、むかしの人々は悪いことがおきるとひどく怖れたらしい。


『砂の海』1
『砂の海』2
『砂の海』3
『砂の海』4

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