『潜水艦のメカニズム完全ガイド』

<『潜水艦のメカニズム完全ガイド』>
図書館で『潜水艦のメカニズム完全ガイド』という本を、手にしたのです。
メインテーマの潜水艦メカニズムもさることながら・・・
大使には潜水艦乗りの人間模様とか艦内勤務が興味深いのです。


【潜水艦のメカニズム完全ガイド】
潜水

佐野正著、秀和システム、2016年刊

<「BOOK」データベース>より
なぜ、日本の潜水艦は世界最高水準と言われるのか?秘密は、緻密・精密・静粛。海の忍者を解剖する。日本の潜水艦と潜水艇の仕組みと技術がわかる。潜水艦で働く人々の使命と仕事と生活がわかる。潜水艦の設計・建造・メンテナンスまでわかる。

<読む前の大使寸評>
メインテーマの潜水艦メカニズムもさることながら・・・
大使には潜水艦乗りの人間模様とか艦内勤務が興味深いのです。

rakuten潜水艦のメカニズム完全ガイド

mそうりゅうそうりゅう型配置

人間模様とか艦内勤務を見てみましょう。
p210
<人間模様>
 閉鎖空間で長期間の共同生活、例えば日本からハワイまで(約3500マイル)潜行したままで航行すると約3週間程度かかります。この間は太陽を見ることはなく、昼間と夜間の区別は照明の昼光灯と赤色灯だけですし、曜日の感覚は金曜日の昼食に出るカレーだけです。この間は、携帯電話は使えないし、酒やタバコも禁止です。おまけに男だけで女性と接することもありあせん。こんな生活を想像できますか?

 これが潜水艦の生活であり職場環境です。
 潜水艦の乗員である士官や一般の乗員共に、入隊したときから厳しい訓練を通じて、その適性が検査されます。もちろん閉所恐怖症の人は不適格ですし、やはり忍耐力と協調性が求められます。

 また、行動中にトラブルや故障が起きても、極力自力で修復する知識と器用さも必要です。実にチームワークのとれたすさまじいプロ根性集団と言えます。

 艦長が任務を全うするための重要な仕事に「和の醸造」があります。実施には、「先任海曹」と呼ばれる下士官が、一般乗員の面倒を見て、不満や提案があれば艦長や士官に進言する重要な役割を担っています。

 どうしても個人的に合わない人間同士がいれば、配置転換もやむなしというところでしょうか。一人の異分子も許容されないモノトーンの世界とも言えます。


p140~141
<ベッド>
 潜水艦の乗員にとって唯一のプライベート空間がベッドスペースです。ただし、省スペース化のために「ホットベッド」と言って、直(個人個人の業務パターン)が重ならない複数の乗員が一つのベッドを共有するシステムが、多くの国で採用されています。

 まさに寝ていた人の体温でベッドがまだ温もり(ホット)がある間に次の人が寝るわけです。これは、かなり個人の犠牲が伴うと言わざるを得ません。

 なお、日本ではホットベッドは採用されていません。その理由は、行動中は3直体制が多く、この場合は3人で2台のベッドを使うことになりスペース削減効果が限定的であること、そして日本人としてのアイデンティティが背景にあるようです。

 いずれにしても7~80人分のベッドを狭い潜水艦の中に確保するのは設計上容易ではありません。
 乗員のベッドスペースは、艦尾のエンジンなどの機械スペースを避けて艦中央から艦首に配置します。ただし、ビジネスホテルのように廊下があって部屋のドアがあるわけではなく、機能性を重視して配置された装備品に囲まれた空きスペースに可能な限りベッド(多くは3段ベッド)を配置しただけです。そのため、各ベッドはプライバシー保護のカーテンで仕切られている程度です。各ベッドには、ベッド台をうまく利用した「私物収納棚」やスポット照明、空調の吹き出し口程度です。

 ベッドは多段ベッドが一般的で上下のベッドとベッドの間が数10cmしかないので、目が覚めて飛び起きるのはご法度です。上のベッドに頭をぶつけて怪我をします。


潜水艦の低騒音技術は軍事機密に当たるので、その全てが開示されることはないのだが、許される範囲で、著者は次のように述べています。
p174
<雑音低減設計>
 潜水艦の設計の重要アイテムに雑音低減設計があります。そもそも雑音といっても個体伝播雑音、流体雑音(フローノイズやプロペラ雑音)、空気音(騒音)があり、それぞれについて個別の機器対策、構造対策、擬装対策など多岐に亘っています。これらの解説については、5-1項「潜水艦では何が秘密なのか?」でも触れているように、体系的な記述が秘密に当たるため本書では、その記述を差し控えていますが、ごく大雑把なことだけ示します。

 個体伝播雑音は、機器の振動が構造を伝播して耐圧殻を振動させて海中へ雑音として放射されるもので、フローノイズは船体周囲の流れが乱されて渦ができ、これが雑音になるものです。プロペラ雑音はプロペラが海中で回転することにより発生する雑音で5-5項に記述しています。空気音は艦内の機器騒音が耐圧殻を透過して海中雑音になるもので、人の話し声やドアの開け閉め、シャワーの音などもこれに含まれます。

 考えられるすべての対策を徹底的に実施しようとすると、コスト、重量、スペースがかかり過ぎて潜水艦として成立しません。そこで、様々な運用状況とそこで使われる機器の運転状況を想定して、その状況でトータルの雑音を問題ないレベルに収まるようにこれまでの技術ノウハウを駆使して優先順位をつけて設計します。
(中略)

 このあたりの設計、建造、品質保証に亘る緻密な取り組みが日本における潜水艦の伝統であり、世界のトップクラスの静粛性を誇る潜水艦の源泉といえます。

ウン 著者は元・潜水艦設計部長のエンジニアであるが・・・
この本の文章からも、その職業、人柄が表れているように思います♪

この本も潜水艦の世界R1に収めるものとします。

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