『南米「棄民」政策の実像』2

<『南米「棄民」政策の実像』2>
図書館に予約していた『南米「棄民」政策の実像』という本を、待つこと6日でゲットしたのです。
垣根涼介の『ワイルド・ソウル』という小説を読んだ後、南米移民がトゲのように気になっていたので、この本を図書館に予約したのです。


【南米「棄民」政策の実像】
南米

遠藤十亜希著、岩波書店、2016年刊

<「BOOK」データベース>より
19世紀末から20世紀半ばにかけて、新天地を求め未知の地である中南米に移住した約三一万人の日本人。その多くは、日本政府が奨励・支援した「国策移民」だった。これまで、人口増加や貧困への対策とされてきた日本の移民政策が、「不要な人々」を国内から排除したうえで、移住先の現地において再び「国民」として統合し、利用するためのものであったことを明らかにする。

<読む前の大使寸評>
垣根涼介の『ワイルド・ソウル』という小説を読んだ後、南米移民がトゲのように気になっていたので、この本を図書館に予約したのです。

<図書館予約:(4/07予約、4/13受取)>

rakuten南米「棄民」政策の実像


各地で見られる南米「デカセギ」労働者を見てみましょう。リーマンショック後は減りつつあったが、最近になって下げ止まりに転じているとのこと。
p209~212
<終章>
 1970年代初頭まで移民「送出国」だった日本が移民「受入国」に転身したのは1980年代後半のことである。ときはバブル経済絶頂期。社会が未曾有の投資・消費ブームに沸くなか、建設・製造・サービス部門などでは、いわゆる「3K(きつい、汚い、危険)」の労働を担う人口が不足していた。そこにペルー人やブラジル人が出稼ぎ労働を目的にやって来たのである。

 これらの南米「デカセギ」労働者のほとんどは日本人を先祖に持つ日系人二、三世で、特別に「在留資格」を有する「定住外国人」として入国し、自動車産業や機械産業の製造部品組立て工場に契約社員として雇用された。その後、日本国内の日系人労働者とその家族は急増し、最盛期の2007年には、日系ブラジル人だけで30万人に達した。これは、戦前・戦後の南米移民合計数にほぼ匹敵する。大泉市(群馬県)や大和市(神奈川県)、浜松市(静岡県)、名古屋市港区など、それまで外国人居住者があまりいなかった中規模都市が、多様な言語・文化をもった「ニューカマー」たちを迎え、国際都市に変貌した。

 当時、強い円や豊かな経済に魅せられて、日本での就労を希望していた外国人は世界中にいただろうに、日本の移民政策はなぜ南米の日系人をあえて「外国人労働者」として最恵待遇したのか。日本語を解し教育レベルも高いゲストワーカーということであれば、バングラデシュ人や中国人などもいた。また、「国際協力・開発援助」という援助目的ならば、南米以外の開発途上国でもよかったはずである。それでも日本政府があえて南米日系人を選んだのは、彼らの祖先が日本人だという血統上あるいは文化的理由からだろう。

 日本社会は1980年代以後、急速に「国際化」していった。ヒトや企業が観光・留学・直接投資の形で海外進出する、外に向けての「国際化」を日本は大いに歓迎した。それに対し、国内の過度の国際化(非欧米人人口や不法就労外国人の急増)には警戒心を強めた。

 外国人がらみの犯罪事件はとりわけ大々的に報道され、移民排斥主義者たちは、日本が世界でも屈指の安全社会であるのは、単一民族性・単一文化性を保っているからだとして、これ以上の「内なる国際化」は社会の安定と調和を脅かすとまことしやかに唱えた。

 「移民性悪説」のような極論ではないにせよ、不特定多数の国から外国人が大量に入ってくることで、風紀・治安が乱れることは政府の懸念でもあった。労働力を外国に求めざるをえない経済の現実と、社会が多民族化され調和が乱れることへの恐怖。このジレンマの解消策として、国籍こそ違え、日本人を直接の祖先とする、生物学的「」が高い南米日系人に白羽の矢が立ったのは想像に難くない。

 たとえ日本語を解さず日本の歴史の知識が乏しくても、日本通のバングラデシュ人や中国人より好まれたのは、血縁的近縁性のゆえだったろう。言語や文化といった後天的特性は、すくなくとも日系人労働者導入が決定した時点では問題視されなかったようだ。

 しかし、日系人ニューカマーの人口が増え、家族やコミュニティが形成されるに従い、言語、生活習慣、社会マナー、価値観などの違いから、仕事場や生活の場で日本人との間に誤解や軋轢を生んだ。見た目は同じなのに行動規範やふるまいがどこか「日本人らしくない」日系人に雇用主や地元の人々は当惑し、幻滅した。

 日本人のこうした一方的な期待や幻滅は日系人の心を傷つけもした。ある日系ブラジル人青年は、「日本人と認めてもらうには、日本人らしい顔をしているとか、ハシでものが食べられるといったことだけでは不十分で、日本人のように考え、ふるまい、話さなければいけない」のだと、日本社会に溶け込むことの難しさを吐露している。

 日系人の在留期間が長期化するに従い、社会保障・教育・医療・福祉面でのニーズも出てきた。これは、彼らが単なる「労働力」でなく、「人間」として日本で生活していくのに必要最低限のサービスであり、人道的見地からも生存権の保障として国籍を問わず行使されるべき権利である。

 しかし、政府は定住外国人の生活に関わる行政を自治体や民間団体に任せる放任主義に甘んじてきた。政府が日系人という「定住外国人」に対し、長期的見地に立った法律・行政制度の整備を渋るのは、日系人が日本に帰化しない以上、いずれは帰国すると想定しているためと思われる。一方、財政赤字に苦しむ自治体では、手の行き届いたケアがますます困難になっている。


ネット情報によれば・・・
村田製作所のように世界的に強い企業の城下町では、ブラジル人が急増中とのことです。

2017-04-20何のご縁?出雲でブラジル人急増中 全国的に減少なのにより
 出雲大社で知られる島根県出雲市で、ブラジル人住民が急増している。この3年で倍増し、2千人に達した。全国的にはリーマン・ショックから減り、ようやく下げ止まったところ。人口17万人の山陰の街で何が起きているのか。
村田

 ポルトガル語が響き、煮込んだ豆をご飯にかけたブラジル料理が皿に盛られていく。出雲市東部の工業団地の一角にある出雲村田製作所の食堂はにぎやかだ。電子部品を作る村田製作所(京都府)の子会社で、敷地は甲子園球場6個分。市内に住むブラジル人の大半が、ここで働く従業員と家族だ。

 山内エミリオ・マサハルさん(58)もその一人。両親は熊本出身の日系2世。ブラジルで農業を営んでいたが、稼げる仕事を求めて8年前に来日した。妻子と4人暮らし。「体はまだまだ大丈夫。子どもの教育を考えると、このまま出雲で暮らそうと思う」

 ブラジル人従業員約1500人は、請負契約を結ぶ派遣会社2社の社員。うち1社、愛知県でブラジル人雇用を続けるアバンセコーポレーションが約20年前、村田製作所に営業をかけ、出雲で雇用が始まった。給料は日本人と同水準。出雲村田の人事担当者は「辞めてしまう割合が少なく、出勤日数も多い。近年の労働者不足の中で欠かせない存在だ」と言う。

 村田製作所は、携帯電話などに使われるセラミックコンデンサーのシェア世界一。その生産を担う出雲村田は世界的な需要を受け、昨年から新生産棟を稼働。工場用地も買い、急拡大したブラジル人の雇用をさらに増やす方針だ。

 アバンセ社は通訳ができる社員約20人を出雲に置き、住宅あっせんや、送迎、病院の付き添い、ごみの分別指導までする。それでも、地域住民からごみ出しや騒音の苦情がくることも。林隆春社長(66)は「地域との摩擦をどう防ぐか、常に悩んでます」。

 市のブラジル人の人口は景気の波に翻弄されてきた。2000年のITバブル崩壊、08年のリーマン・ショックの際は半減。林社長によると、「アパートの空き部屋が増えて困る」といった不満の声も地元からあがったという。

 国内全体では07年の31万人から16年には18万人まで減った。

 地元はどう対応しているのか。市立小、中学校で日本語指導が必要な子は昨年末111人(ブラジル78人)で、27人だった13年の4倍。市教委は昨年度、各校派遣の日本語指導員を6人から12人に増やした。外国出身児童が65人(ブラジル49人)いる市中心部の塩冶小(児童829人)には日本語担当の教員が10人いるが、個別指導のためには先生も教室も足りない。

 来日3年の6年生の女児(11)は当初、言葉がわからず誰にも話しかけられなかった。すると、同級生が日本語とポルトガル語を窓に貼って話そうとしてくれた。「今は日本人の友達の方が多いよ」

 市は昨年、全国でも珍しい外国人定住の数値目標を策定。15年3月に市内に住む外国人住民の3割が5年以上住み続けることを目指す。住宅を安くあっせんする計画も検討。地元のNPOは子らの放課後教室を続ける。代表の住職、堀西雅亮さん(46)は「街がコンパクトで行政、企業、市民がうまく連携できている」と話す。

 市役所近くの「MK BAR(バー)」は、ブラジル人の憩いの場だ。店主の北沢幸子さん(23)は、夫が出雲村田で働く日系3世。店ではブラジル料理を出す。「いろんな場所から出雲に来た人のご縁がつながれば」。「縁結び」で知られる出雲大社になぞらえ、そう願う。(玉置太郎)


『南米「棄民」政策の実像』1

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック