『お言葉ですが・・・別巻2』3
<『お言葉ですが・・・別巻2』3>
図書館で『お言葉ですが・・・別巻2』という本を手にしたのです。
パラパラとめくってみると、漢字に関する薀蓄がすばらしいのです♪
中国に対する厳しい眼差しがええでぇ、というあたりを見てみましょう。
ウーム 中国ではこんな本が売れているのか・・・
文化大革命のせいで、大衆の文化的感度が破壊されているのではないだろうか。
『お言葉ですが・・・別巻2』1
『お言葉ですが・・・別巻2』2
図書館で『お言葉ですが・・・別巻2』という本を手にしたのです。
パラパラとめくってみると、漢字に関する薀蓄がすばらしいのです♪
【お言葉ですが・・・別巻2】 ![]() 高島俊男著、連合出版、2015年刊 <「BOOK」データベース>より 【目次】 退屈老人雑録(選ばなかった道/ヨーロッパ最新の『隠居論』/諸藩のえりぬき「貢進生」 ほか)/うまいものあり、重箱のスミ(ミスタータイガース永久缺番10/天もとこしえ地もとこしえ/多藝の天才?器用貧乏? ほか)/戦後国語改革の愚かさ(戦後国語改革の愚かさ/漢字の輸入は日本語にとって不幸であった/なんだこりゃ、中国の漢字 ほか) <読む前の大使寸評> パラパラとめくってみると、漢字に関する薀蓄がすばらしいのです♪ rakutenお言葉ですが・・・別巻2 |
中国に対する厳しい眼差しがええでぇ、というあたりを見てみましょう。
p54~57 <論語ブームに沸く中国の大衆> CCTV10というチャンネルで「百家講壇」という43分間の学術トーク番組をやっている。話のうまい大学教授が、わが国の古典はこんなにすばらしいんですよ、と語りかける。3分に1度はスリルと興奮が味わえ、5分に1度は最高潮に達するんだそうだ。「今やスター教授を排出する超人気番組」とある。 この番組を見るのは、小学校卒業レベルの、本を読まない階層である。それがこの番組を、大学教授にしか語ることのできない高度な内容だと受けとめている。 この番組の講義禄が出版されるとベストセラーになる。 これら教授たちのなかでも一番の人気者は北京師範大学の干丹という女教授である。「影視学博士」だとある。「影視」は映画とテレビだが、影視学という学問があるとは小生ついぞ知らなかった。 その干丹の人気を「干丹紅現象」というのだそうだ。紅は「大繁盛」というほどの意。2007年の印税収入が1060万元(我々日本人の感覚としては10億円くらいかな?)という途方もない額で、講義禄のサイン会では長蛇の列ができ、「10時間で15060冊にサインをするという、前人未到の記録を打ち立てた。」 小生ビックリして計算してみるに、2.4秒に1冊の割で10時間、お茶も飲まずオシッコもせずひたすらサインしつづけたらこの数字になる。よく腕と肩がもったものだ。 それが『干丹《論語》心得』という本である。「心得」は日本語の心得ではなく、「心に会得したこと」の意。つまり『干丹が論語から学んだこと』という題である。本の題に著者の姓名がはいるのはめずらしい。それだけ名前が売れているのだ。 ヤジ馬根性旺盛の小生すぐ東方書店にこの本の購入を申しこんだら、もう売り切れました、の返事。では中国から取寄せてくれ、とたのんだ。 それがこのほど届いた。26刷、発行部数435万冊、とある。著者の写真が2枚もついている。なかなかの美人である。さっそく読んだ。おもしろかった。中国の大衆が、どういうものを喜ぶのかがわかっておもしろかったのである。 むずかしいことは何も書いてない。論語は「しあわせになる法」を書いてある本だ、というのである。 では、しあわせになるにはどうすればよいか。国家にも、社会にも、他人にも、何も求めない。あるがままに承認し、信頼する。不平不満を持たない。要は心の持ちよう一つだ、というのである。 心の持ちようで、この世は明るくなる。住みやすくなる。楽しくなる。 その根拠として、論語のあちこちが援用される。 まず出てくるのはこうだ。 弟子が孔子にきいた。国家の安定のために必要なのは何ですか。孔子の答えはいたって簡単、たったの三条だ。 兵力十分、食料十分、民の信頼。弟子が問う。もしやむなく一つを削るとすればどれですか。孔子「兵をのぞく」。弟子「さらに一つを削るとすれば?」孔子「食をのぞく。民信無くんば立たず」。 そして干丹は言う。「最も恐るべきは国民が国家に対する信頼を失ったあとの崩壊と〇散です。物質的幸福は指標にすぎません。ほんとうの安定と政権に対する承認は信頼から来るのです」。 しあわせになる法の第一は政権に対する信頼(原文信仰)だ、というのである。政権が泣いて喜びそうな主張だ。人気教授は決して、体制と事を荒立てるようなことは言わぬのである。 こういう訓話のあいまあいまに、どんどんおもしろい物語が挿入される。それらの物語はどこからでも引かれる。「鈴木大拙の本でこんな話を読みました」と日本の江戸時代の話が出て来たりする。刀など持ったこともない茶人が、心の持ちよう一つで悪浪人を屈服させる話である。 |
ウーム 中国ではこんな本が売れているのか・・・
文化大革命のせいで、大衆の文化的感度が破壊されているのではないだろうか。
『お言葉ですが・・・別巻2』1
『お言葉ですが・・・別巻2』2
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