『世界「最終」戦争論』3

<『世界「最終」戦争論』3>
図書館で『世界「最終」戦争論編』という本を予約して、待つこと5日でゲットしたのです。・・・本屋の店頭から消えた頃の新書が狙い目なのかも♪


【世界「最終」戦争論】
戦争

内田樹, 姜尚中著、集英社、2016年刊

<「BOOK」データベース>より
アメリカの国力の低下と共に勃興する諸大国の新たな覇権主義。拡大する中東の戦乱、国境を越える大量の難民、欧州のテロ事件。行き過ぎたグローバル経済と格差社会。国内に目を転じれば大規模な災害が起こる中、平和主義の戦後レジームからの脱却を主張する動きが勢いを増している。いよいよ混迷を深める世界と社会の情勢。その背景にあるのは、世界史レベルのパラダイム(知的枠組)の地殻変動である。顕在化している近代の崩落過程についてリベラル派の言論人を代表するふたりが語り合い、難局を避けるために必要な世界の見取り図を提示する。

<読む前の大使寸評>
予約して待つこと5日でゲットしたが、本屋の店頭から消えた新書が狙い目なのかも♪

<図書館予約:(2/13予約、2/18受取)>

rakuten『世界「最終」戦争論』1


経済的な見立てを、見てみましょう。
p162~165
<日本のシンガポール化>
内田:成長し続けるような余力は日本にはもうありません。成長し続けたかったら、中国のように強権的な政治にして、市民的自由を制約して、「選択と集中」戦略で少数の富裕層に国民資源を全部付け替えてゆくしかない。あるいは、シンガポール化、北朝鮮化といってもいいと思います。

 でも、こんなことを続けていれば、行く末は見えています。本来なら、国民が二百年、三百年と使い延ばすための国民資源を、当期の利益だの四半期の売り上げだの今の株価だのということのために流し込んで、短期間で溶かしているんですから。国民資源の中には、大気や海洋や森林のような自然環境もあるし、交通網や通信網やライフラインのような社会的インフラもあるし、司法や医療や教育のような制度資本もありますけれど、どれも生身の人間が日常の生活を営むためになくてはならぬものです。

 でも、経済成長の余地がないとなると、その「生身の人間が日常の生活を営むためになくてはならぬもの」を商品化したり、株式市場に投じたりするしか手立てがない。年金を株に突っ込むなんて、もう正気の沙汰ではないとしか言いようがない。

姜:それで、どれだけ損しているかも、国民にディスクロージャーしませんからね。

内田:彼らを追い立てているものは、焦燥感ですね。

姜:ええ、なんでも短期に結果を出さないとダメですからね。悠長に構えていたら、バスに乗り遅れる。それがグローバリゼーションの鉄則、選択と集中ってやつです。

内田:本当に自転車操業なんだと思います。走り続けないと国が倒れてしまうという、そういうモデルをわざわざ作ってしまった。

 そうすると、もうこの速度を意地するためには、政治的には独裁しか手立てがない。それは経済合理性から導かれる自明の結論です。共和的な合意形成手続きや、分権の仕組みでは、この速度は維持できない。速度を維持するためには、全権を官邸に集中させて、司法府も立法府も行政府の指示に従う仕組みを作るしかない。ビジネスマンの中にはそう信じている人がいくらもいます。もしかすると過半数がそう信じている。

 金儲けのためには立憲デモクラシーは邪魔なんです。だから、改憲したがる。このまま次の選挙で自公が勝てば、緊急事態条項から改憲に持ち込む可能性があります。自民党改憲草案のようなものが通ってしまえば、もう立憲政治はおしまいです。だって、新設の第9章を見ると、緊急事態を宣言すれば、法理的には未来永劫総理大臣に全権が委任される制度なんですから、彼らはシンガポールや北朝鮮のような国にしたいのです。

 ビジネスマンだって、それなりに今の世界情勢については危機感を持っていると思います。でも、生まれてからずっと経済成長モデル以外に知らない。それ以外のオルタナティブがあり得るということを考えたことさえない。だとすると、成長し続けるためにはとりあえずシンガポールをモデルにするしかない。

 治安維持法で反政府的な人間を令状なしで逮捕拘禁できるようにする。反政府的なメディアはすべて潰す。労働組合も潰す。「金儲け」に直結する以外の学術には公的支出をしない。全国民が「経済成長」という国是のために一億総活躍するシステムを作る。そうやって金儲けのしやすいビジネスの環境を作って、世界中から資本を呼び込んでくる。安倍政権の当面の政策が向かっているのは、その方向ですよ。

姜:巨大なシンガポールですね。

内田:ええ、巨大なシンガポール。ただ、日本がシンガポールと決定的に違う点があるんです。それは日本には豊かな自然資源があることです。日本は国土の68パーセントが森林ですし、水も豊富だし、土地も肥沃だし、海からの風が吹いて大気も清浄です。

 それに比べて、シンガポールには水がない。マレーシアからパイプラインで買ったり、下水を再生処理したりしているのです。農地もない。自然資源が何もない。でも、それがむしろシンガポールの強みなのです。国土が広くて、豊かな山河があれば、中央政府がどれほど強健を発動して国民を締め上げても、田舎に逃げることができる。

 日本では今若い人たちがどんどん都市を逃れて、里山に逃げていますね。そこで農業を始めたりしている。シンガポールにはそういうオルタナティブがない。逃げる先がない。そこが日本とシンガポールの最大の違いです。日本をシンガポール化するときの最大のネックはそこなんです。里山があること。

姜:そういう田舎回帰の動きはかなり出て来ていますね。だけど、豊かな資源があると独裁政治がやりにくいという発想、おもしろいですね。強権的な政治を効率よくやるためには、人口を都市部に集中させなくてはいけないということですか。

内田:そうです。シンガポール化政策の最大の障害は日本のこの豊かな自然なんですよ。だから、シンガポール化をめざす人たちは自然を破壊して、里山を居住不可能にする政策を積極的に展開していますでしょ。


ウーム 里山を居住不可能にして、都市へ労働力を集約するのか・・・・
内田先生の里山に着目した推論がユニークというか、鮮やかですね♪

『世界「最終」戦争論』1
『世界「最終」戦争論』2


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