『天下大乱を生きる』2

<『天下大乱を生きる』2>
図書館で司馬遼太郎×小田実著『天下大乱を生きる』という本を手にしたのです。
おお 偉大な思想家とも言えるお二人の対談とは・・・すごい対談が企画されたもんやでぇ♪
初版が1977年とかなり古いのだが、当時の歴史認識には興味を惹かれるのです。


【天下大乱を生きる】
天下

司馬遼太郎×小田実著、風媒社、1996年刊

<「MARC」データベース>より
渾沌とする時代状況をまっすぐにつき進んだ二人の「自由人」。国家とは何か。日本人とは何か。アジアを駆け、世界を股にかける唯一無二の対談集。1977年潮出版社刊行の再刊。

<読む前の大使寸評>
おお 偉大な思想家とも言えるお二人の対談とは・・・すごい対談が企画されたもんやでぇ♪
初版が1977年とかなり古いのだが、当時の歴史認識には興味を惹かれるのです。

amazon天下大乱を生きる


小田さんのファシズム論を見てみましょう。
東条英機のファシズムは民主ファシズムだったとのこと。
p116~120
司馬:ところが大阪のぼくの友だちの錠前屋は、全部下請けの町工場に請負で頼んでいる。下請けの町工場は彼の系列下に入っているだけです。だから、解散しようと思えばいつでもできる。私の友人がカバン一つで夜逃げしたら、それで解散という仕組みです。

 そのシステムを彼がドイツ人にいくら説明しても分からない。これがだいたい日本の社会で、自民党がいちばんずるくそれを利用しているわけです。たとえば、代議士になるためには、まず何人かの県会議員が応援して、一人の代議士に自分の地盤を提供する。その県会議員は村会議員を系列下に置いている。みんな松下電器の販売店みたいに系列化されているわけですね。

 そういう、戦国以前からある、そして戦国以後もある、いまもある下請システムをうまく利用しているわけです。
(中略)

小田:そうなんだけれども、おもしろい問題がありましてね、人間としての個ではなしに、機能としての個があるんです。日本のファシズムの危険はそこにあったと思う。つまり、大ファシストはだれもいないんです。機能として、錠前のメッキだけをやっているファシストで、何かをみがくだけのファシストがいた(笑)。
 われわれが日本のファシストとして絶対研究しなければいけないのは東条英機やと思う。

<1パーセントのファシストが百人集まれば・・・>
司馬:実体としてのあの人物(東条英機)はまったく何でもない人間なんだな。おかしいのはそこやな。

小田:ぼくが思うに、たまたま彼は総理大臣になったからファシストになったんです。日本のファシストは2.26事件でみんな殺された。東条が陸軍少佐で肺病になってやめたら、おそらくファシストになっていない。あるいは在郷軍人会でファシストになっている。

 第二の東条英機がたまたま総理大臣になって、たまたまファシストになったら、日本全国がファシストになるから、たまたま在郷軍人会の会長であるところの、元陸軍少佐の東条英機がファシストになる。

 そのように考えてくると、天皇だってたまたま天皇であったからといえる。三島由紀夫はそこに腹を立てたと思うんですよ。もっと天皇は天皇らしくしなければいけない。ある意味ではひじょうに近代的だと思う。「機能としての天皇だ」という天皇機関説はまったく当たっているわけでしょう。だから、ある意味ではものすごく危険だよ。

 アメリカの現在のファシストもそうでしょう。ばくは民主ファシズムと呼んでいるんだけれども、東条英機のファシズムは民主ファシズムですよ。

 ナチ・ドイツはいつも反体制であって、それが体制に変わるわけだけれども、東条英機はいつでも体制側に立っているということが、まずポイントだと思うんです。その人が初めから体制側の一つの機能として生きていくことによってファシストになっていく。たとえば、ナチ・ドイツの場合は議会を解散したりするけれども、日本の場合はしない。

 そこに岸信介、賀屋興宣が「私は平和主義者だ」と言える理由があると思うんです。彼らは自分で、「私は機能として生きてきた」と思ってるもん。

 ぼくは賀屋興宣とどなり合いをしたことがあるんだけれど、彼はいつでも正しいことをしてきたと思っているんだ。東条内閣と和平のために働いた。いまも働いていると言ったもん。天皇もぜんぜん意識の変革なんかない。昔だって人間天皇だしね。機能としての小さな部分しかないとみんな言う。「私はどうせつまらない者で・・・・」と言うけど、そのつまらない者一人ひとりがメチャクチャなことをやっているわけでしょう。

 民主主義の恐ろしさは、1パーセントのファシストが百人集まれば100パーセントになるということです。民主主義に官僚制がくっついたら天下無敵になる。それが頭のいい、最もすばらしい人たちがおかした過ちだと思う。民主的に見えるけれども、ちょっとずつファシストが集まれば、ウワーッとベトナム戦争を起こす。これがかつてやったことじゃないですか。

 そこで、どうしたら新しい芽ができるか。錠前屋と機能分担しながらきている。そこのところで分解可能なんです。ある場合はAの力につく、Bの力につく、住民運動が大きくなれば、どちらにつくのも簡単にできます。そこのところがひじょうに問題だという気がするな。


『天下大乱を生きる』1



ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック