『読書歯車のねじまき仕事』2

<『読書歯車のねじまき仕事』2>
図書館で『読書歯車のねじまき仕事』という本を手にしたが・・・・
椎名誠の選ぶ探検本が渋いというか、ええでぇ♪

内田先生の『街場の読書論』を読んだ後となるが、ここは読書路線つながりで、椎名誠のねじまき仕事を見てみましょう。

【読書歯車のねじまき仕事】
椎名

椎名誠著、本の雑誌社、2005年刊

<商品説明>より
日本と世界を縦横斜めに駆けめぐる椎名誠の、旅と読書のエッセイ集。本を抱え、ラオス、ベトナム、カンボジア、阿寒湖から有明海、パラグアイを駆け抜けてブラジル奥地へと旅立つシーナ。エッセイに加え、昨年半年にわたって行われた書店でのトークショーも録り下ろしで掲載。(武)

<読む前の大使寸評>
椎名誠の選ぶ探検本が渋いというか、ええでぇ♪

rakuten読書歯車のねじまき仕事


シーナ書店・売上ベスト100から大使お奨めの本を選んでみました。
p196~197
<「シーナ書店なのだ!」半年間の営業報告>より
 2004年の5月2日から11月3日までの半年間、池袋のジュンク堂書店の7階にぼくのきわめて個人的な品揃えによる書籍コーナーができ、「シーナ書店なのだ!」というつまりは店舗内店舗というような恰好でこだわり書店を経営した。

 「経営」などと偉そうなことを言ったが、そこに置く本のリストを作り、月に一度ほど行って読者のみなさんに折々の話をするという程度のものだ。けれど約5坪の圧倒的な個人商店の形をとっているので、「店長」としては責任もあるし不安もある。

 これは2003年から始まった池袋ジュンク堂の思い切った試みの一環で、初代店長は谷川俊太郎さん、2代目は安野光雅さん、そして3代目をぼくが務めるということになったわけである。昔から3代目が店を潰すとよく言われているので、そういう不安もかなり本気であった。

【売上ベスト100】より
1 『陰鬱礼讃』谷崎潤一郎
2 『無人島に生きる16人』須川邦彦
3 『奇想、宇宙をゆく』マーカス・チャウン
4 『センス・オブ・ワンダー』レイチェル・L・カーソン
5 『「しきり」の文化論』柏木博
6 『さまよえる湖』スウェイン・ヘディン
6 『かくれた次元』エドワード・ホール
8 『飛ぶ教室』エーリッヒ・ケストラー
9 『ゾウの時間、ネズミの時間』本川達雄
10『ソロモンの指輪』コンラート・ローレンツ

13『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』フィリップ・K・ディック
25『地球の長い午後』ブライアン・W・オールディス
34『地球でいちばん過酷な地を行く』ニック・ミドルトン
42『カラス なぜ遊ぶ』杉田昭栄
47『秘境西域8年の潜行』西川一三
55『納豆大全』町田忍
61『漬け物大全』小泉武夫
71『くさいはうまい』小泉武夫
71『自然の中に隠された数学』イアン・スチュアート
81『シルクロード・路上の900日』大村一朗


椎名さんお奨めの探検本を見てみましょう。
p79~81
<ラ・プラタ川に持っていった本と映画>より
 パラグアイを旅しているときは『世界最長の徒歩旅行』を読み始めた。これはイギリスの青年が南米の最南端、パタゴニアのティエラ・デル・フエゴからとにかくまっすぐ南米大陸を北上し、合衆国を過ぎてカナダまで7年間かけて行ってしまうというとてつもない体験記録である。

 なぜかぼくは歩いて旅をする本というのが好きで、国内外ずいぶんたくさんの本を読んだが、このタイトルにある通り7年間、3万キロを行くのは世界で最長の徒歩旅行なのだ。出発地点のパタゴニアのチリやアルゼンチンあたりの話はぼくも何度か行っているところだからずいぶん共感を持ってよむことができた。しかもこの主人公はヨシコという日本人を妻としている。

 ヨシコはサポートとして最初のころ一緒に旅をするが、途中で妊娠し出産のために日本に帰る。その間にも主人公はさまざまな苦労を重ねながらどんどん北上していく。特に北米と南米を繋ぐいちばんくびれたコロンビアとパナマを結ぶダリエン地峡あたりを越えるのは読んでいてまことにスリリングな展開だった。ぼくはパラグアイからブラジルにむかって移動する船の中でこの部分を読んでいた。

 日本で生まれた娘はアユミと名付けられ、そうして2年ほどたったときにこの主人公が南米大陸のかなり北限のほうに来たところで初めて対面する。とても感動的なシーンだ。それからしばらく家族3人で移動しているうちにヨシコが再び妊娠する。そして母と娘はまた日本に帰り出産とその育児に励むのだ。

 第二子は男の子でジェフリー・ススムという名前が付いた。娘はアユミで息子はススムである。このススムも大きくなりヨシコは二人の子供を連れて北米のかなりゴールに近いところを進んでいく主人公と再会する。これもまた感動的な話で、実にこの本を今まで読まずにこういった旅で見ることができて幸せな気分だった。


大使は根っからの発酵食品ファンであるが、ここで納豆の話を見てみましょう。
p100~102
<納豆・蜘蛛・鯰>より
 インドシナ半島のちょっと長い旅から帰ってきて数日後に経団連会館に行った。まだ頭の中や体の動きが暑くてごしゃごしゃしていて、場合によっては辛くてヒハヒハ、場所によっては暗くてグシャグシャしているようなアジアモンスーン地帯の呪縛から脱しきれずにいる状態である。そのぼあんと空気膨張したような頭で、経団連会館などという、それまでいたところとはずいぶん異なった世界に入っていくのはそれなりの勇気がいる。

 その日、全国納豆協同組合連合会が主催するシンポジウムがあり、それに出席しなければならないのだ。小泉武夫教授に「このネバネバシンポジウムに参加するように」と言われており、仰せに従ったというわけである。

 会場に行くとやはり経団連らしくぴしりとダークスーツを着込んだいかにも実業家的な人々がたくさにて、ほんの数日前まで毎日目にしていたアジアのだらだら風景とはずいぶん違うのでたじろいだ。

 控え室に行くと、そのシンポジウムにパネラーとして参加する村松友視さん、南伸坊さん、阿川佐和子さん、枝元なほみさんらの顔が見えた。村松さん、阿川さん、南さんは以前にも会っているので、「やあ、しばらく」ということになった。控え室では早くも納豆の話で盛り上がっている。

 こういうシンポジウムに参加するのだから、やっぱり全員ものすごい納豆ファンであったのか、という驚きとやや引け目を感じる。ぼくも納豆は好きであるが毎日毎食納豆がなければ生きていけない、というほどまでの納豆好きではなく、それについての薀蓄もあまりない。けれど先客らの話を聞いていると彼らもぼくと同じくらいの納豆との付き合い方をしているらしいとわかった。これもやはり小泉教授のお人柄が納豆のようにネバネバのからみ技で我々をひきつけたのであろう、とみなで解釈した。

 シンポジウムの前に、小泉教授の納豆基調講演があり、続いて教授を囲んで我々もそれにからむネバネバシンポジウムとなった。都合3時間と少し、とにかく納豆まみれの研究時間を過ごし、帰りには全国の有名納豆をどさりと十数個おみやげに貰った。

 家に帰ってその納豆のおみやげをひろげると、妻は「あらま」と言った。その前日からわが家にはアメリカ人のお客さんが来ていて、その人の要望もあり、納豆をどさりと買ったばかりというのである。かくて、その日から何食か必ずおかずに納豆が出てきた。妻が新たに買った納豆を加えると十メーカーぐらいの納豆を期せずして食べ比べるということになった。

 そうしてわかったのだが、納豆にはびっくりするほどいろいろの大きさの粒があるということだった。ひき割りの極小サイズから、黒豆の親指サイズぐらいの巨大なものまで、いろんな大きさがある。そうしてその硬さも糸の引き方も商品によってさまざまであった。

 結果的にわかったのは、おいしい納豆は大量のネバネバの糸を発生させるということだった。ネバネバ糸が多く出て、それが長く引けるほどどうやらうまいようだ。経団連会館での小泉教授の講演の話を思いだした。

 あるテレビ局が納豆の糸がどのくらい長く伸びるものかということを実験したところ、なんと十数メートルも伸びることが判明した、という話である。


『読書歯車のねじまき仕事』1

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