『東洋文庫ガイドブック2』3

<『東洋文庫ガイドブック2』3
図書館で『東洋文庫ガイドブック2』という本を手にしたのが・・・・
パラパラめくると、イザベラ・バードとか近代アジアの史実とか載っていて興味ふかいのです。


【東洋文庫ガイドブック2】
東洋

平凡社東洋文庫編集部編、平凡社、2006年刊

<「BOOK」データベース>より
運命の一冊、座右の書、旅のお供に暇つぶし、小説のタネ本、老後の娯しみ…四十余人が東洋文庫とのさまざまな付き合い方を語り、解説総目録が既刊750巻の内容を簡潔に伝える。この一冊で叢書全体を見晴らしよく案内。

<読む前の大使寸評>
パラパラめくると、イザベラ・バードとか近代アジアの史実とか載っていて興味ふかいのです。

rakuten東洋文庫ガイドブック2

この本は読みどころが多いので、(その3)として読み進めました。

アイヌや民俗学にも精通したN・ネフスキーというマルチ・リンガルのロシア人がいたようです。
p35~37
<アイヌの歌声から:津島佑子>
 そして、N・ネフスキーの『月と不死』。これも私には得がたい1冊となった。アイヌ叙事詩のうちの神謡(カムイ・ユカラ)に、怠け者の男の子が水汲みをいやがった罰で、月に閉じこめられてしまう話がある。水桶を持った子供の姿に月の影の部分を見立てての話だが、この話がサハリン・アイヌやウイルタ(ギリヤーク)ではどのように変化し、またずっと下って、宮古島、沖縄本島ではどのような月の話が伝わっているか、さらには北欧、北米先住民、メラネシア、そして古代日本の例もあげて、ネフスキーは報告している。
 アイヌのカムイ・ユカラをこのような大きな流れのなかで見る必要があるということを、この本は私に教えてくれた。そして、実を言えば、私にとってこのカムイ・ユカラの印象があまりに忘れがたく、『月の満足』という短篇小説をひとつ、書くに至ってしまった。その意味でも、特別、感謝を捧げなければならない1冊となっている。

 この本はとても親切な編集がなされていて、ネフスキーの翻訳によるアイヌのメノコ・ユカラ(女性が主人公の叙事詩)や、琉球の歌などが収録されていて、さらに日本の民俗学者である柳田国男やアイヌ語研究の先輩金田一京介などに宛てた書簡、そして解説としてかなり詳しいネフスキーの伝記も添えられている。

 ロシアで中国語、日本語を学び、日本に留学している間に、ロシア革命の影響で帰国できなくなり、日本に14年も滞在することになった。やがて、日本女性と結婚し、アイヌ語の研究、東北地方のおしら様やイタコについても調べ、台湾の曹族の言葉、中国の西夏文字、満州語、ウイルタ語、琉球語など、驚異的な範囲の言語に通じ、民俗学をまたいだ研究を果たして、ようやくロシアに戻ったところで、スターリンの粛清に遭い、銃殺されてしまう。
 
 こうした一人のロシア人研究者の人生までが迫ってきて、さまざまな思いをかきたてられる。ネフスキーの妻に宛てた日本語の手紙の写真も掲載されているのだが、私はこの日本語のなめらかさ、達者な文字にすっかり感心させられてしまった。ほかの書簡を見ても分かることではあるが、この人の言語の天才ぶりをここではさすがに信じないわけにいかなくなるのだ。

 そして、この本から刺激を受けて、私自身も世界各地の口承文芸に近づかずにはいられなくなった。もちろん、この分野でも東洋文庫は期待に十分応えてくれる。なかでも、モンゴルの英雄叙事詩『ゲセル・ハーン物語』を読んだときは、アイヌの英雄叙事詩の内容にあまりにそっくりなので、びっくりさせられた。

 13世紀のころ、サハリン・アイヌが今のモンゴルまで攻め込み、その後、今度はモンゴルがサハリンを攻めてきた、という記録が中国の資料に残されているらしい。となると、アイヌとモンゴルとの間に文化の接触も当然、あったのだろう、と想像される。アムール川の流域に沿って、人も物も流れ、叙事詩も流れ、交じりあったのだろうか。

 アイヌからはじまり、ネフスキーから刺激を受けた私の思いは、東洋文庫とともに、こうしてますます広がりつづけていく。

ネフスキーネフスキー


『東洋文庫ガイドブック2』1
『東洋文庫ガイドブック2』2

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