『三四郎はそれから門を出た』3

<『三四郎はそれから門を出た』3>
本屋で三浦しをん著『三四郎はそれから門を出た』という文庫本を手にしたが…書評集にしたらけったいなタイトルやで。

でも、朝日新聞の書評欄で、つねづね三浦しをんをフォローしているわけで・・・
こんな軽いタッチのブックガイドもいいかも♪

手元不如意の大使が、本屋で本を買い求めるのは久々であった。それだけ厳選しているということも言えるのだが。

【三四郎はそれから門を出た】
しおん

三浦しをん著、ポプラ社、2010年刊

<「BOOK」データベースより>
人気作家にして筋金入りの活字中毒者・三浦しをんによるブックガイド&カルチャーエッセイ集。
【目次】
1章 犬のお散歩新刊情報/2章 三四郎はそれから門を出た/3章 本のできごころ/4章 役に立たない風見鶏/5章 本を読むだけが人生じゃない/6章 愛の唄

<大使寸評>
朝日新聞の書評欄で、つねづね三浦しをんをフォローしているのだが、この本のように気軽なブックガイドもいいかも♪

rakuten三四郎はそれから門を出た

(その3)として読み進めました。

古本屋で働いていた三浦さんは、しおりのエピソードなど、本に関する薀蓄には事欠かないようです。
p137~139
<本にはさむもの>
 本を読むときの作法には、人それぞれ、こだわりがあるだろう。なかでも、「なにをしおりとして使うか」というのは、読書作法的に重要な問題だ。

 古本屋で働いていたころ、「こんなものをしおりがわりにする人がいるのか!」と驚くようなものを、いろいろ目撃した。買い取った本のあいだから、しおり(および、しおりがわりのもの)がはらはらと舞い落ちる。そのたびに私は、人間の裏面を覗き見る思いがしたものである(ちょっとおおげさ)。

 帯をしおりがわりにしている人は、けっこういた。あと、文庫や新書に挟まれている「結婚相談所」や「新刊案内」の広告の紙。それらを細かく裂いては、読みやめるたびに挟んでいく人も多い。十数ページごとに点々と紙が挟まっているので、どういう割合でどこまで読んだのかが一目瞭然でわかる。後半になるにつれ、加速度的に挟まる紙の数が減ると、「物語にぐいぐい引きこまれたんだな」と推測して、こちらも楽しい気分になる。

 事務用クリップやティッシュペーパーやお札をしおりとして使う人もいた。お札には気をつけて・・・・。かなり多くの人が、本に挟んだことを忘れて古本屋に売っちゃってますよ~。あ、もしかしてあれはしおりがわりじゃなくて、ヘソクリだったのかな。

 「なにかを挟むなんて面倒くさい」とばかりにページの端っこを折っちゃう人もいる。2ページおきぐらいにページが折れていて、「きみはもうちょっと落ち着いて本を読め!」と言いたくなるものもあった。

 しかし、上記のように無害だったり、麗しかったりするしおりばかりではない。世の中には、実に恐ろしい物をしおりがわりにする人が存在するのだ。覚悟はよろしいか?
(中略:怖い物はこの本で読んでください)

 もう、汚い話でホントにすいません。私もなるべくならこんな話はしたくないんだが・・・。


たくさん載っている書評のなかで、そのひとつを見てみましょう。
p97~99
<感情の底流を描く>
 どこかへ行きたいと切実に願うことはあるが、それをそのまま実行に移すのは、たぶん843回に1回ぐらいの割合だ。

 テレビは持っているが、面倒くさくてアンテナに繋いでおらず、なにも映らない。だから、アテネオリンピックをまったく見なかった。

 私が、奥田英朗の紀行エッセイ、『泳いで帰れ』を読むことにしたのは、以上のような個人的理由による。どうやら出不精らしい著者が、アテネオリンピックを見るためにギリシャへ旅立つ。この本のなかにはきっと、私が望む旅のありかたがある。そして、私がついに見ることのかなわなかったアテネオリンピックがある。そう思ったからだ。

 アテネの暑さにヘバりながらも、著者は盛んに物を飲み食いし、旅先にもかかわらず、毎日快調に脱糞し、柔道の試合に興奮する。文句を言ったり感動したりしながら、出会ったひとや物と正直に向きあう姿。読んでいてとても楽しく、「このひとは次になにを感じ、なにを考えるんだろう」と、わくわくする。

 対象にのめりこみすぎることなく、絶妙の距離感を保って飄々と旅をつづける著者が、唯一我を忘れて憤るのが、日本代表の野球の試合を見たときである。この憤りぶりが半端じゃないのだ。怒っている著者には申し訳ないが、私は思わず笑ってしまった。

 「怒り」という感情は、決してマイナスばかりではないのだなと思った。著者は野球というスポーツを真剣に愛しているからこそ、その試合に怒りを感じたのだ。

 裏切られたときに憎んでしまうことを恐れて、なにかを深く愛そうとしないのは愚かなことである。この本で描写されるすべての感情、すべての出来事は、あっけらかんと晴れ渡ったアテネの空に吸い込まれていく。



『三四郎はそれから門を出た』1
『三四郎はそれから門を出た』2



ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック