『リドリー・スコット:フィルムメーカーズ#16』2

<『リドリー・スコット:フィルムメーカーズ#16』2>
図書館で『リドリー・スコット:フィルムメーカーズ#16』というムック本を手にしたが…
リドリー・スコットの映画美術について、オタク気味に詳しく述べられています。
これぞ、大使のツボでんがな♪


【リドリー・スコット:フィルムメーカーズ#16】
スコット

風間賢二編、キネマ旬報社、2001年刊

<「MARC」データベース>より
「エイリアン」の大ヒット、そして次に続く「ブレードランナー」で多くのファンを獲得したリドリー・スコット。光と影の魔術師といわれる彼の映画手腕を様々な角度から検証する。

<大使寸評>
この本の紹介記事を書いていたが…
読みどころが多いし、Amazonの古本が格安だったので、早速注文したのです。

Amazonリドリー・スコット:フィルムメーカーズ#16

この本は読みどころが多いので、(その2)として読み進めています。

【対談:風間賢二×滝本誠】
この対談の中で『ブレードランナー』がカルト映画のひとつという言及があるが・・・
映画ファンとはそんなにアホなのかと、逆に思ってしまうのです。
ブレードランナー

p57~60
■今のスコットから思うと「エイリアン」のセットは夢のようだより
風間:ビジュアル系というか、スタイル、タブローとしてスクリーンを撮ってる人は、物語は弱いから、いまいち一般大衆を惹きつけられない。それが証拠に、結局、興行的には『エイリアン』がヒットしただけで、あとはこけてますよね。『ブラック・レイン』は中ヒットで、『テルマ&ルイーズ』でちょっと再浮上したけど、90年代は大作『1492 コロンブス』を皮切りに、『白い嵐』『G.I.ジェーン』と立て続きにこけて、ようやく『グラディエーター』で当たった。

 いまずらずらとタイトルを並べていて思ったんだけど、『テルマ&ルイーズ』は、『エイリアン』や『ブレードランナー』の頃の面影はないけど、作品としては非常におもしろいですよね。この作品、92年度のアカデミー賞にノミネートされているんだけど、ジョナサン・デミの『羊たちの沈黙』に負けちゃった。

滝本:あれは試写会で泣いてる女性が多くてね。

風間:最後のシーン?

滝本:そうか、女性は泣くのかって思いました、改めて。

風間:僕も泣きましたよ、観直して(笑)。あのラストシーンは『明日に向かって撃て』のパターンですよね。 

司会:ロードムービーのひとつのカタルシスですよね。

テルマ

■アンダーグラウンド的な未来観がカッコイイ『ブレードランナー』
滝本:『ブレードランナー』がらみで面白いのは、ハリソン・フォードが自分を抹殺したい映画に挙げていること。ああいうヒーローなのにぐちゃぐちゃにされちゃうというのがよっぽど嫌だったみたい。ハリソン・フォードもあまり頭のない人だから(笑)。

風間:『インディ・ジョーンズ』ですからね。観客の思うところと一致しているんですね。『スター・ウォーズ』と『インディ・ジョーンズ』のおかげでブレイクして、ヒーローとしての俳優ハリソン・フォード像ができてきたのに、『ブレードランナー』で、なんかウジウジと根暗に過去を引き摺っていて、しかも、レプリカントとはいえ女を後ろから撃ち殺すヤな奴ってことで本人も嫌だったんでしょう。イメージ・ダウンということで。

滝本:SF雑誌が『ブレードランナー』の再特集組んで、あらゆる出演者に当時のことをアンケートとってたけど、あいつだけはノーコメント、取材拒否だって。

風間:確かに彼の役はあまりパッとしない。ルトガー・ハウアーの方がいいとか、女性陣が輝いているとか言われてますよね。

滝本:でも、今観てもゆったりした流れのあの感じは僕、好きですよ。

風間:今でこそ、カルト映画のひとつとなっていますが、公開当時はまったく受けなかったんですってね。いろいろ資料見ると、日本でも2週間でこけたっていうので、えっ?と思った。僕は試写会で見たんですけど、その後の成績は知らなくって、てっきり受けてるものかと思ってた。

滝本:まったくダメでしたね。京橋にあったワーナーの試写室で最初に届いた10分程のものを観たんですけど。宣伝の人が「滝さん、これ当たるかね」っていうから、「すごい!すごい!でも僕が観たいってことは…」って(笑)。確かにその通りになっちゃったけどね。

司会:風間さんは試写でご覧になって、作品としてどうでした?

風間:ディックの原作「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」を読んで気に入っていたから、期待が大きかった。結局、映画のほうは原作とは全然違うものだったけど、すごくカッコイイと思った。あのアンダーグラウンド的な未来観にシビレたね。

 初めに古代マヤの遺跡とマイクロチップを融合したような大企業のビルが映るとことか、ロサンゼルスのゴシック調にしてレトロ・フィーチャーな街並みとか、なんか得体の知れない東洋人たちやパンク系の西洋人たちの格好とか。まず、あの退廃して崩壊寸前の風景に見せられましたよ。

 あと圧倒されたのは、ハリソン・フォードが扮するデッカードが写真を見つけてコンピュータに入れ、どんどん分割していって違うものを見つけるところ。あれはなんか、リアルな世界から奥に入って行って、そこには写っていないもうひとつの別の世界にいって、見えなかったものを分子的に見つけて提示するという視覚的マジックの本質を表象しているような気がした。
(中略)

 意外だったのは、リドリー・スコット自体は、ディックの原作を半分しか読めなかったって言ってるんです。そういう割には、コンラッドとかジョイスとかヘンリー・ミラーを好きで読んでる人なのに。

滝本:つまり、SFを向こうのまっとうな大人は読まないという固定観念があるのね。SFっていうとなんかえらく下なもので、SFというとケッて感じで。クローネンバーグとかボーイとかに聞いても、50代のSF観というのはむちゃくちゃひどいですよ。

風間:そうですか? 日本でもけっこうSFはバカにされてますよ。あんなのくだらないマンガと同じだってね。まあ、そう言う人のSFって、『スター・ウォーズ』や『スター・トレック』、あるいはスーパー・ロボットもののジャパニメーションに代表されるような作品なんですけど。でも、一般大衆にとっては、SFといえば、あいも変わらずそういうものでしかないんです。

滝本:スコットなんか、おそらくSFをバカにしていたから。ディックがあんだけ怒ったというのもそのニュアンスがあったと思うんです。単にハリウッドに怒っただけじゃなくて。スコットの態度に、SF作家をバカにしているところが如実にあったと思うんです。

風間:でも、『デュエリスト』から突如『エイリアン』へ行ったのも「ヘビーメタル」というSF系のアメコミ雑誌に影響されてのことらしいですよ。

滝本:そういうノリもあるよね。あれはビジュアルだから。

風間:グラフィック・デザイナーでもあるスコットは「ヘビーメタル」をイラストレーション雑誌として鑑賞したんでしょうね。

滝本:『ブレードランナー』観たとき、僕はまだディック寄りだったから、ディックが映画を「古めかしいフィリップ・マーロウものだ」と言った理由がそれもそうかなと思ってたんだけど、でも今は僕、SFから遠ざかって完全にノワールの側に来てるからね。すると、これはノワールとしては最高だなと。今度は逆に脚本とスコットの側に立つのね。

風間:完全にレイチェルなんてコスチュームから何からファム・ファタールですよね。ノワールの。

ウン 映像命のようなリドリー・スコットなら、原作をバカにしていたというか、軽視していたということなんでしょうね。

『リドリー・スコット:フィルムメーカーズ#16』1

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