『語られざる中国の結末』2

<『語られざる中国の結末』2>
図書館で『語られざる中国の結末』という本を手にしたが・・・・
巨大国家が経験する近未来は旧ソ連のような民主化か、それとも分裂なのかという内容が刺激的である。

相変わらず中華関連本には、つい手が出る大使である。
でも、なんだか一度読んだような気がするけど、ま いいかと借りた次第です。


【語られざる中国の結末】
中国

宮家邦彦著、PHP研究所、2013年刊

<「BOOK」データベース>より
海洋進出への野心を隠そうともしない中国。「膨張するものは必ず縮小する」。アヘン戦争のトラウマを払拭するかのごとく米国に挑戦し、来るべき「第二次東アジア戦争」に「敗北」したあと、はたして巨大国家が経験するのは旧ソ連のような民主化か、それとも分裂なのかー。いま最も注目される外交評論家が、近未来のシナリオを大胆に予測する。
【著者情報】
宮家邦彦(ミヤケクニヒコ)
1953年神奈川県生まれ。外交政策研究所代表。78年東京大学法学部を卒業後、外務省に入省。76~77年米ミネソタ大学、台湾師範大学、79年カイロ・アメリカン大学、81年米ジョージタウン大学で語学研修。82年7月在イラク大使館二等書記官、86年5月外務大臣秘書官、91年10月在米国大使館一等書記官、98年1月中近東第一課長、同年8月日米安全保障条約課長、2000年9月在中国大使館公使、04年1月在イラク大使館公使、イラクCPA(連合国暫定当局)に出向、04年7月中東アフリカ局参事官などを歴任

<大使寸評>
巨大国家が経験する近未来は旧ソ連のような民主化か、それとも分裂なのかという内容が刺激的である。
それにしても、著者の経歴がすごい。

rakuten語られざる中国の結末


この本で 中国共産党の課題を見てみましょう。
p171~173
 中国というこの巨大で多様な人間集団の将来を予測するには、まず現在の中国、とくに中国共産党がなぜいまも中国を統治しているか、すなわち、現在の中国における「統治の正統性」の根拠を正確に理解する必要があるだろう。筆者の見立ては次のとおりだ。

<揺らぎつつある統治の正統性>
 中国共産党の統治の正統性は三つの柱からなる。
 第一は、「中国の統一」であり、その延長上には「台湾問題」「チベット問題」などがある。
 第二は、「抗日愛国戦争勝利」であり、その最たるものが「歴史問題」「尖閣問題」であろう。
 第三は、改革解放政策による「経済発展・生活向上」である。

 残念ながら、正統性の第三の柱は、第一、第二の柱を代替できない。第三の柱は1978年末以降、ある程度成功したものの、最近は都市と農村、沿岸と内陸などの経済格差が許容範囲をはるかに超えて拡大している。いまや正統性の第三の柱そのものが、揺らぎはじめているのだ。

 当然ながら、指導部の第一、第二の柱への依存は増大していく。だからこそ、中国は台湾問題、チベット問題、尖閣問題や日本との歴史問題で妥協できない。共産党が譲歩した途端、中国では反政府運動が起きかねない。共産党中央にとって、譲歩はあまりにリスクが大きい悪夢の選択である。

 以上のとおり、現代中国最大の政治問題は共産党の「統治の正統性」が揺らぎつつあることだ。毛沢東、周恩来、トウ小平といった革命第一、第二世代の指導者にはカリスマ性があった。彼ら自信が中国共産党の正統性を具現していた。だが、1980年代に入り、中国は大きく変化しはじめる。
 
 1987年末に始まった改革解放政策の中身は、1.人民に対し政治的自由は与えないが、2.経済的自由は与える、3.だから共産党を引き続き支持すべし、という三点に尽きる。虫のよい要求ではあるが、当時の中国社会にはきわめて魅力的なものだった。

 この政策により、中国経済は飛躍的な発展を始める。ところが80年代末、ゴルバチョフの政治改革によりソ連・東欧では社会主義体制が相次いで崩壊しはじめた。当然、中国でも学生を中心に、ゴルバチョフのような政治改革を求める声が高まりはじめる。

<カリスマ性をもたない指導者たち>
 1989年の天安門事件は、改革解放時代になって初の共産党中央の「統治の正統性」に対する挑戦であった。本来であれば、中国人の緒利益が多様化した以上、「政治改革・民主化」という正統性の第四の柱があってしかるべきだろう。

 しかし、トウ小平は国民に政治的自由を認めるソ連型の政治改革が、共産党統治の終焉を意味することを正確に理解していた。だからこそ、1989年の天安門事件に際しても、躊躇なく人民解放軍を出動させたのであろう。
 かくして中国共産党は政治改革を拒否し、曲りなりにも「生き延びる」ことができた。皮肉なことに、あの天安門事件の顛末自体が、いまの中国に欧米型の自由・民主主義という選択肢がないことを示しているともいえよう。


著者の説く、米中衝突後のシナリオが興味深いのです。
p174~176
<七つの将来シナリオ>
 米国との衝突後の中国の行方・結末に関する予測を始めよう。ここでとくに注目すべきは、漢族内部の権力争いと、チベット・ウイグルの動向だ。考えうるシナリオは無数にあるだろうが、理論的可能性としては七つほどに大別できる。もちろん、これらはあくまでも頭の体操である。

 また、今回の頭の体操では、意図的に朝鮮半島の動向、台湾の対応、ロシアの動きなど中国以外の国際環境に言及していない。これを始めるとシナリオが無限に細分化され、頭の体操の本来の効用が失われると考えたからだ。

A:中国統一・独裁温存シナリオ(米国との覇権争いの決着いかんにかかわらず、共産党独裁が継続するモデル)

B:中国統一・民主化定着シナリオ(米国との覇権争いに敗北。米国主導の民主化、中国超大国化モデル)

C:中国統一・民主化の失敗と再独裁化シナリオ(国家分裂のないロシア・「プーチン」モデル)

D:中国分裂・民主化定着シナリオ(少数民族と漢族で分裂するも民主化が進む、資源のない中華共和国モデル)

E:中国分裂・民主化の失敗と再独裁化シナリオ(少数民族と漢族の分裂後、民主化が失敗するロシア・「プーチン」モデル)

F:中国分裂・一部民主化と一部独裁化の並立シナリオ(少数民族と漢族の分裂後、民主と独裁が並立するモデル)

G:中国漢族・少数民族完全分裂シナリオ(大混乱モデル)


日々、人民解放軍からサイバー攻撃を受けているが、ニッポンはどう対処すべきなのか?
p233~235
<「サイバー攻撃能力」の研究を>
 最近、主要国のサイバー攻撃能力の高度化、マルウェア技術の進化、軍事応用の高度化は著しい。また、プロのサイバー攻撃請負業者が出現するなど、サイバー空間の軍事化は急速に進んでいる。日本がこの分野でなすべきことは少なくない。

 サイバー攻撃から身を守るには、まず攻撃側がサイバー戦を重視する理由を知る必要がある。中国が平時にも攻撃を仕掛ける理由は、自国のサイバー攻撃能力を誇示しつつも、各国の能力に関する偵察活動を行っているからだろう。

 平時の情報収集は有事の際の敵の行動予測を可能とする。敵の制度的・技術的弱点を知り、敵がサイバー攻撃を「戦争行為」と認識する限界を試すことも重要だ。平時の活動は、より高度な「本番」の際の攻撃の予行演習でもある。

 サイバー防衛の基本は侵害された利益の特定から始まる。いまどきサイバー攻撃を受けない企業はないだろうが、実際には株価などへの悪影響を懸念し、被害を報告しない企業も少なくないという。被害情報公表が企業評価を高めるような発想の転換が必要だろう。
 悪質なサイバー攻撃を仕掛ける国家・国民は限られている。こうした攻撃の対象となっている国々との連携を深め、日常的な情報交換とサイバー防衛手段の共同開発などを思い切って推進すべきだろう。

 欧米企業はサイバー防衛のために能力のある「元ハッカー」を高給で雇っている。「毒をもって毒を制す」ということなのだろうが、潔癖な日本政府・企業の倫理観とは必ずしも相容れない。ここは発想を転換し、優秀なハッカーが「薬」になることを受け入れるべきだろう。

 過去数年来、米国ではサイバー戦を「抑止」するための「サイバー攻撃」に関する準備が着々と進んでいる。日本でも、憲法上の制約があることを前提としつつ、サイバー戦「抑止」のための「サイバー攻撃能力」を研究する時期に来ている。

 安全保障専門家の最大関心事はサイバー戦の法的整理だ。サイバー攻撃は国際法上の「武力の行使」なのか、これに対し通常兵器・サイバー兵器による「自衛」攻撃は認められるのだろうか。この点については日本でも検討を開始する必要があるだろう。

 サイバー戦は長期の周到な準備がなければ抑止できない。サイバー戦はすでに日々戦われており、外部のサイバー攻撃根拠地・発生源に対し、ただちに、かつ正確に反撃するための戦略確立、予算増額、人材育成を早急に進める必要がある。


人民解放軍が行っている平時のサイバー攻撃の実態がNHKスペシャル『狙われる日本の機密情報』でレポートされたが、衝撃的な内容であった。

アメリカのサイバー攻撃対応をネットで見てみましょう。

2016.3.18サイバー対策を強化するオバマの狙いより
 米国のバラク・オバマ大統領がウォール・ストリート・ジャーナル紙に投稿し、米国のサイバーセキュリティの大幅強化のための「サイバーセキュリティ国家行動計画」を発表しました。要旨は以下の通りです。

■オバマにとって最優先事項はサイバーインフラ保護
 米国の政府、民間に対するサイバー攻撃の脅威に対抗するため、これまでの予算の35%増の、190億ドル強の予算を提案する。すべての国民にオンラインの安全を提供するためである。

 具体的提案は以下のとおりである。

 1)連邦政府の老朽化したコンピューターシステムの近代化のため、30億ドルを支出する。

 2)シリコンバレーなどから最優秀人材を集め、政府全体のサイバー専門家集団を作る。

 3)2月8日発足させたサイバーセキュリティの「中核的研究拠点」で官民の専門家が最新のサイバー技術の研究開発を行う。

 4)国民がサイバーの脅威をより自覚するような運動を行う。

 5)超党派の「国家サイバーセキュリティ強化委員会」を設立し、今後10年間にわたり、官民によるサイバーセキュリティの自覚と強化を図る。

 インターネット時代が始まってから未だ30年足らずであり、米国民が重視するイノベーションと個人情報の保護が確保できれば、今後の可能性は無限である。

 大統領にとって米国のサイバーインフラを保護することは国家安全保障上の最優先事項である。すべての課題を1年で解決することはできないが、将来のための強い素地を作ろうとするものである。諸措置をとることにより、米国のイノベーションの可能性を最大限発揮し、長きにわたり米国の繁栄とサイバーの安全を確保できると確信する。

 オバマ大統領がここで述べているサイバーセキュリティ大幅強化策は、オバマ大統領が2月9日に議会に提出した2017年会計年度の予算教書で、目玉の一つとして提案されています。

 中国やロシアなどからとみられるサイバー攻撃は、米国にとって現実の脅威となっています。米企業に対する企業機密窃取のためのサイバー攻撃に加え、国防総省や人事管理局などがすでに大規模なサイバー攻撃を受けています。

 ホワイトハウスのサイバーセキュリティ調整官のMichael Danielは記者会見で、「サイバーセキュリティ国家行動計画」(以下「計画」)は、個々のサイバー攻撃ではなく、サイバーの脅威の基本的課題に対処しようとするものである、と述べたと報じられています。

 基本的課題の一つは人材です。サイバーセキュリティには高度の知識を持った専門家が必要ですが、現在連邦政府には専門家が不足していて、養成が急務と言われています。今回の「計画」で、政府全体のサイバー専門家集団を作る、とされているのは、そのニーズに応えるものでしょう。



『語られざる中国の結末』1byドングリ

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

なるほど(納得、参考になった、ヘー)

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック