『マテリアル革命』3

<『マテリアル革命』3>
図書館で『マテリアル革命』というニュートンムックを手にしたのです。
素材、元素分野の研究は日本のオハコであるが・・・
中韓台に差別化を図る意味でも今後ますます研鑽に励むべき分野ではなかろうかと思うわけです。

シャープのホンハイへの身売りが取りざたされている昨今であるが、いたくナショナリズムを刺激する本ですな~♪


【マテリアル革命】
マテリアル

ムック、ニュートンプレス、2015年刊

<「BOOK」データベース>より
ムックにつき、データなし

<読む前の大使寸評>
素材、元素分野の研究は日本のオハコであるが・・・
中韓台に差別化を図る意味でも今後ますます研鑽に励むべき分野ではなかろうかと思うわけです。

rakutenマテリアル革命


未来の自動車といっても、大使の場合は、中韓と差別する自動車ということになるわけで・・・読み方が偏狭になるわけです(汗)
p148~150
<未来の自動車には>
 たとえば、現在の自動車を改良することを考えてみよう。自動車の材料としてまず思い浮かぶのは、ボディやエンジン、車輪の軸などに使われ、自動車の総重量の70%程度を占めている「鉄鋼」だ。鉄鋼部分を少しでも軽量化すれば、燃費削減につながり、資源節約の面で大きな効果が得られる。

 鉄鋼の性能は、微量な合金元素を添加することで、大きく変化することが知られている。元素戦略ではあらためてその詳細なメカニズムの解明にいどんでいる。その成果によって、より強くしなやかな鉄鋼ができれば、自動車への鉄鋼の使用量を減らすことができ、さらなる軽量化が期待できる。

 ほかにも改良が期待されている材料はたくさんある。たとえば、モーターを動かすネオジム磁石には、高価で稀少なジスプロシウムが添加されている。また自動車の排ガスを除去するために使われる触媒には、現在のところ、プラチナやロジウムなどの高価な稀少元素が必用だ。これらの高価な稀少元素を添加せずに、もしくは別の安価な元素で代用しても、高い機能が得られさえすれば、価格をおさえた、高機能な自動車が登場する可能性が高まるだろう。

大使の関心がある項目を見てみます。
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【ネオジム磁石の改良】(協力:杉本・東北大学教授)
 自動車のモーターなどに使われるネオジム磁石には、レアメタルのジスプロシウムが含まれている。高温下では、ジスプロシウムがないと磁力が保てないためだ。
 これまでの研究によって、磁石内の結晶の粒子が小さければ小さいほど、保磁力が大きくなることが知られていた。そこで杉本教授らは、製作の際に使う合金粉末を粒径が約5マイクロメートルだった従来のものから、粒径約1.1マイクロメートルの微細なものに代え、低温で焼き固めることで、磁石内の結晶の粒子も微細にし、保磁力を大幅に上げることに成功した。その結果、ジスプロシウムを40%も削減することができたという。

 現在、さらに細かな0.3マイクロメートルという粒径の合金粉末の製作にも成功しており、今後、さらに結晶の粒子サイズやその構造を制御することで、より保磁力が高いネオジム磁石ができあがるかもしれない。

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【プラチナをこえる触媒】(協力:阿部・物質材料研究機構主幹研究員)
 燃料電池の燃料は水素だけではない。さまざまな燃料が検討され、研究がつづけられている。なかでもエタノールは雑草や廃棄穀物といった植物から合成することができるため、燃料として注目されている物質の一つだ。エタノールを燃料電池に使うと、ガソリンのように燃焼させる場合とちがい、有害な排ガスを出さずに電気エネルギーを得ることができる。しかしこれまで、エタノールから効率よく電気エネルギーを取り出せる触媒をは見つかっていなかった。

 阿部主幹研究員らは、タンタル(Ta)と白金(Pt)の合金粒子が常温・常圧で触媒として高い機能を発揮し、エタノールからいとも簡単に電気エネルギーを取り出せることを発見した。

TaもPtも単独ではその触媒機能はなく、TaとPtが1対3で組み合わさり、粒子となることで、触媒機能が生まれることがわかった。この技術により、エタノールを使った燃料電池が実現に近づいただけでなく、触媒機能の能力が低い元素どおしを組み合わせることで、新たな高い機能をもった触媒が生まれる可能性があることも明らかになったという。

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【新しい鉄鋼材料のボディ】(協力:古原・東北大学教授)
 鉄鋼の主要元素である炭素や窒素は、重量比でわずか0.1%程度添加するだけで、鉄の強度を飛躍的に向上させる。また、ホウ素は鉄鋼1グラムの中に0.00001グラム程度というごくごく微量加えるだけで、高強度の鉄鋼の破壊をおさえる働きを担っている。「これらの元素は軽元素に分類されまあすが、ほかの重元素と相互作用をおこして鉄鋼の性質に影響を与えることがわかっています」と古原教授は話す。

 鉄の結晶中に微量に含まれるマンガンやクロム、ニッケル、モリブデン、ニオブ、バナジウムなどの重元素と、炭素、窒素、ホウ素などの軽元素が均一に分布したり、原子数個から数百個の単位で結合したりすることで、強くてしなやかな鉄鋼ができる。それらが実際に鉄鋼の中でどのようにふるまい、どのように材質に寄与するのかが明らかになれば、添加する元素の最適な量が決まったり、稀少元素の量を減らしたり、今まで以上に頑丈でしなやかな鉄鋼が作れたりするようになるだろう。 


高性能排ガス触媒のネット情報に心躍る大使でおます♪

2016.2.13東北大学、貴金属やレアアースを使わない高性能排ガス触媒の共同開発に成功より
 東北大学は、物質・材料研究機構と共同で、貴金属や希土類元素を一切使わない高性能排ガス触媒を開発した、と発表しました。新開発の触媒は「ナノポーラスNiCuMnO金属複合化合物」という物質です。

 東北大学の藤田武志准教授は、科学技術振興機構 (JST) の戦略的創造研究推進事業で、物質・材料研究機構の阿部英樹主幹研究員と共同で、貴金属(レアメタル)や希土類元素(レアアース)を一切使わない高性能排ガス触媒、ナノポーラスNiCuMnO金属複合化合物の開発に成功しました。

 これまで、自動車用排ガス触媒にはプラチナなどのレアアースの酸化物が使用されていましたが、レアアースは市場の価格変動が大きいことなどから、レアアースを使わない排ガス触媒の開発が求められていました。
(中略)
 新開発の触媒は、合金粉末を酸に漬けるだけで作製できるため、大量生産が可能で、自動車用排ガス処理装置のコストダウンに大きく寄与することが期待できます。


『マテリアル革命』1
『マテリアル革命』2

この記事へのコメント

ダイヤモンド理論(炭素結晶の競合モデル)について
2016年10月10日 10:42
 日立金属の冶金研究所が、トライボロジー分野でなかなか確立できなかった境界潤滑の原理を解明したことを発表している。それは自己潤滑性特殊鋼SLD-MAGICの研究において確立されたことだが、自動車部品分野など幅広い機械工学上の貢献につながると識者たちは指摘している。
これですね(CCSCモデルファン)
2016年12月18日 14:17
 色々部品があるが金属や鉄鋼材料同士が油を介して摩擦し合うのが、いまも昔も機械の実態。こういった技術をトライボロジーというのだが、そのなかでも境界潤滑技術というのが理論は確立せず摩擦損失の主な元凶であるにもかかわらず、研究者も少なく、理論がないため色々な材料同士を実験的に摩擦させるだけ。しかも実機試験とラボ実験の乖離などもあり、無用の長物扱いをされかねない中途半端な技術分野ともみられていた。
 材料技術が無いとティアワンの資格がないというが、その材料技術とはという問いを抱いて、玉ねぎの皮むきのようなことを何層にもわたり中心部分にはトライボロジーという、無気力な技術者がいるというのが実態だ。
 この形勢一変する、島根大学客員教授の久保田博士らが
提出した炭素結晶の競合モデルというのはこの事態を一変させるもので、「半世紀に渡りトライボロジストが見続けていた夢」とまで評されている。今後の活躍が大いに期待される。
トライボシステム展望
2017年03月06日 22:15
 現在の機械構造材料の最大のネックは摺動面。
いくら機械的特性(材料強度・硬さ)が高くても、材料というものは摩擦に弱い。
そのため潤滑油が存在する。しかしながら、それでも弱いので
コーティングをする。
しかし、日立金属が開発した自己潤滑性特殊鋼SLD-MAGICは
コーティングレスで摩擦に強いことが特徴。そのメカニズムは
潤滑油と鉄鋼材料が相互作用を起こし、グラファイト層間化合物
という高性能な潤滑物質を作るためであることが、日立金属技報
2017で公表された。
 これにより機械設計は小型化され、摩擦損失と軽量化の同時
解決が見込まれ、自動車の燃費向上に大いに寄与することが期待
されている。
内燃機関関係
2017年03月19日 14:21
 やっぱり産業機械の国の競争優位性は境界潤滑をどう制御するかにかかっていて
ドイツ車のダウンサイジングの嵐も、結局ピストンピンにDLCだった。しかしこれは違う。潤滑システムを見直せと言っている。自分の担当の部品だけに固執して表面硬度
をガンガン上げて、相手材を破壊したり、循環システム全体にナノダイヤをまき散らすのは良くないといっているのだ。つまりドイツ方式の部分最適化ではなく全体でドイツを上回るエンジンを作れる展望を示しているのだと思う。
自動車部品業
2017年06月11日 11:20
島根大学の客員教授である久保田邦親博士らが境界潤滑の原理をついに解明。名称はCCSCモデル「通称、ナノダイヤモンド理論」は開発合金Xの高面圧摺動特性を説明できるだけでなく、その他の境界潤滑現象にかかわる広い説明が可能で、更なる機械の高性能化に展望が開かれたとする識者もある。幅広い分野に応用でき今後潤滑油の開発指針となってゆくことも期待されている。
三和鋼業
2017年06月22日 07:28
 特殊鋼開発のまさに最前線ですね。鋼と油の相互作用があるとは目からウロコの理論です。
内燃機関関係
2017年06月24日 22:07
 論文読みました。凄いですねナノベアリング結晶体GIC(グラファイト層間化合物)が表面で自己組織化してコーティングするのですか。これはカーボンテクノロジーの最先端といえるでしょうね。
ダウンサイジングは終わっていない
2017年07月05日 23:05
 ドイツの低価格48Vのハイブリッド攻勢が始まる。日本勢は低燃費高級型一本でいいのか?輸出を考えた欧州型の地球支配に対抗できるのか?
パラダイムシフト
2017年07月19日 14:59
 機械工学の本質とはなにか?それは統合力であると思う。細かなことを知らなくても何がボトルネックかということを自覚し、時にはチャレンジすることだ。そのキモとなるパラメータの限界はおおむね材料の耐久性にあったりする。
 この材料は一つの大きな可能性を示している。機械をなぜ小さくできないのかという原理を明確化した。原因が分かればここに勢力を投入しさらなる高みを求められる。地球環境に対する真水の直球勝負がこれから始まる。
イノベーションに期待
2017年09月17日 15:53
 こういった分野はトライボロジーと呼ばれているみたいですね。たしかに産業界に横たわる多くのものづくりの暗黙知のある大きな塊が解明された感があります。
役員ウォッチャー
2017年11月28日 04:39
 久保田博士は日経新聞の人事異動の情報によるとダイセルの首席技師として活躍し始めたようですね。特殊鋼の専門家が姫路の樹脂企業に来たのは深い意味があるのでは。
レッドツェッペリンファン
2018年01月23日 21:26
 これは話題性を狙った効果的転職なのかもしれません。転職産業は成長分野ですね。
ビジネスモデルファン
2018年02月27日 12:37
 とにかくこの理論のおかげでガンダム級の巨大ロボットの開発の可能性が見えてきた。
科学技術の日本力
2018年03月22日 21:29
ラマン分光法はけっこう使える。
大学関係者
2018年04月05日 18:54
 早急に日本の国力を高めるには、国プロも考えるべきではないか。
ダイヤモンドアイ
2018年05月01日 09:36
 トライボロジー分野は今後高面圧(低フリクション)分野でのラマン分光を併用した境界潤滑研究が盛んになりそうですね。
善良でありたいトライボロジスト
2018年05月13日 19:22
 とにかく、摩擦損失の本質的な解決の考え方が、境界潤滑下において高面圧に耐えられる材料が無いという認識は機械工学の人間は常に意識するべきであって、PV値900MPa・m/min程度で驚いていることがその認識がないのだと久保田博士は考えているのかもしれない。
 摩擦力は面積に支配されていて多少、摩擦係数がさがったから大発見だという幼稚すぎる議論が多いいのではないか。機械の摩擦の本質や原理を言わない研究者が多い中、考えを提示し転職までしても、それを証明しようとするそのすがたは、誰かが忘れているのではないだろうか。
学生
2018年05月22日 15:40
久保田博士のresearchgateの講義資料はおもしろかった。材料物理数学の再武装というのだが、そのなかの、関数接合論は人工知能のアルゴリズムのニューラルネットワークの補助線になる。
自動車部品業界
2018年06月04日 19:57
 それにしても、久保田博士のジュラコンとSLD-MAGICをスタンダードのトライボシステムだという発言は反響してますね。
メカトロニクス
2018年06月30日 19:24
 博士のresearchgateにおそらく講義資料と思われる、材料物理数学の再武装というものがある。この資料を見てようやく人工知能が直感的にわかった。たとえばトライボロジー分野で語られるストライベック線図はペトロフの式とクーロン則の合成関数なのだが、どう合成するかは関数接合論が教えてくれた。このような非線形関数を連続的に造形手法をニューラルネットワークとか人工知能とかと呼んでいる。人工知能は現在の科学技術と十分連続性があり、シンギュラリティを叫ぶことで考え方を分断する向きもあるが、この論法は連続性を丁寧に説明していると思った。
ナノベアリングの科学技術
2018年07月16日 18:19
特許4258772の話ではないな。
内外装ハイブリッド研究者
2018年07月16日 19:26
 しかし、人工知能の原理を明確にし、知性の正体はバランスであることを示しているようで楽しい。
播磨謙一
2018年08月02日 00:12
 最先端のシミュレーションで連成計算っていうのがあるよね。熱ー力ー電磁作用などのメカニズムが並走している現象を予測しようとしているものがある。そんな世界でニューラルネットワークが結構役に立ってきた。しかし博士の考えである並走する違うメカニズムをとらえるという点で人工知能が何故役に立つのかぼんやり分かってきた。
伝説と人工知能
2018年08月19日 22:34
 逆に、島根県安来市にある十神山がやはり分かってきた。
目からウロコの新理論
2018年09月23日 08:48
 日本鉄鋼協会の学術講演聞きました。
機械工学関係
2018年09月27日 19:00
 久保田教授の講義資料である材料物理数学再武装の破壊力学による安全率の明晰な定義とても興味深かったです。
プラスチック関係
2018年09月29日 12:20
日本鉄鋼協会でれいの境界潤滑の二重擬三元系状態理論聴きました。
医療自動車関係
2018年10月01日 20:05
 ハイテン成形実験の話ですね。CDROMで概要は知ってます。
Eisen und Stahl
2018年10月11日 21:44
 それってSLD-MAGICの成分が載っているレア―記事ですよね。
ダイセル・エボニック
2018年11月06日 20:26
足立先生のトライボロジー理論ってあるのかな?
東北大学生
2018年11月10日 17:13
 それにしても久保田博士のマルチマテリアル計画聞きたいなあ。
エンジンのピークアウトが近づいている。
2018年11月16日 18:09
 DLAMPを使った接合技術も駆使するらしい。
これですね
2018年11月29日 05:32
境界潤滑下におけるCCSCモデルを念頭におい たアダマンタン添加実験 ◆久保田邦親,上島稔(ダイセル) トライボロジー会議 2018秋 伊勢
バイク乗り
2018年12月01日 13:41
 CCSCモデルが登場して、EHL理論はくすんで見えますね。
断捨離
2018年12月31日 23:56
 良識派はそう思いますよね。
井上憲一
2019年01月04日 21:15
 自動車の技術者の中でもEHLをはしゃいでいるのは日産だけ。あとは新理論を求めている矢先にこれが登場してつぼにはまった。
内閣府
2019年01月04日 21:55
 文部科学省は千載一遇のチャンスを逃すようだ。
電子制御
2019年02月23日 07:28
 二重擬三元系状態図は有機から無機を含む、境界潤滑時のトライボケミカル反応をシンプルにまとめている。
八雲軸受
2019年02月25日 19:11
 前から、博士のことをウォッチしていますが、かれの地球環境に態度は素晴らしい。
最新情報
2019年03月31日 20:48
今はダイセル播磨の首席技師らしいです。
ラマン分光ファン
2019年05月18日 17:14
 新境界潤滑理論、CCSCモデルはプラントメンテナンスの保全技術にも有効だと思います。
パッキン技術者
2019年06月14日 21:38
 潤滑油臭いSCP財団よりも立派です。
戦艦出光
2019年06月29日 20:33
 プラントメンテナンス分野から眺めるとラマン分光法が巨大発電所の軸受監視センサーになると思います。

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