『鄧小平』4

<『鄧小平』4>
本屋で『トウ小平』という本を見かけたが・・・・
エズラ・ヴォーゲルに橋爪大三郎が質問するという対談形式の本である。
日米の英知が中国の巨大政治家を語るという企画が…ええでぇ♪

…ということで、ほぼ衝動買いとなった次第です。


【トウ小平】
ヴォーゲル

エズラ・ヴォーゲル×橋爪大三郎著、講談社、2015年刊

<商品説明>より
 トウ小平は、中国の方向をどのように転換させたのか。強大な経済力・政治力パワーをもつに至った中国の基礎をどのように築いたのか。「現代中国の父 トウ小平」の著者が、トウ小平の生涯と業績の大事なポイントを語る。【「TRC MARC」の商品解説】

「トウ小平は、20世紀後半から21世紀にかけての世界史にとって、もっとも重要な人物だ」――橋爪大三郎

「いま中国は相当強くなった。10年か20年で、GDPは世界のトップになるだろう。これがどうして可能になったかというと、トウ小平の開いた道なわけです。あれほど経験があって、権威があって、あらゆる面の実力を兼ねそなえている人は、いない」
「このインタヴューは短いけれど、トウ小平の生涯と業績の大事なポイントをすべて盛り込むものになった」――ヴォーゲル

<読む前の大使寸評>
エズラ・ヴォーゲルに橋爪大三郎が質問するという対談形式の本である。
日米の英知が中国の巨大政治家を語るという企画が…ええでぇ♪

hontoトウ小平

この本は読みどころが多いので、(その4)として読み進めたのです。

中国共産党の病理が語られているので、見てみましょう。
p231~234
■深刻な腐敗
橋爪:中国のチャレンジについて、順番にうかがいましょう。まず、経済発展が、まだ一部に偏っているので、国全体にそれを押し広げなければなたないというのがあります。

ヴォーゲル:そう。

橋爪:高度成長から安定成長になって、10年20年とかかる。二番目に、いま話のあった社会保障や社会インフラの整備に、相当の投資が必要です。これは産業の投資と違って、財政支出を伴いますね。

ヴォーゲル:いま、その二つよりももっとむずかしい問題はね、腐敗だと思いますよ。

橋爪:ああ、はい。

ヴォーゲル:国民は、指導者を支持するのに、腐敗をやめろ、腐敗をすぐ何とかしてほしい、と思っている。
 ところが、腐敗を根絶しようにも、腐敗の根はあまりに深い。上の指導者はいま、みんな心配しているんですね。自分もひっかかるんじゃないかと。指導者はみな、家族が腐敗問題をいっぱい抱えているので、自分たちの将来を心配しています。海外へ行こうか、どこに財産を隠そうか、気が気でない。

 そういう心配があまり強くなると、習近平に対して、反感を持つ可能性がある。習近平政権も、それを恐れなければならない。しかし国民の手前、腐敗問題に手をつけて成果をあげないわけにはいかない。このバランスが崩れると、深刻な政治闘争を引き起こし、政治が乱れてしまうという心配があるのです。それが、いま直面している問題。いちばん危険なことだと、私はみています。

■腐敗は構造的
橋爪:ヴォーゲル先生が危ないっておっしゃるなら、それは相当あぶない。

ヴォーゲル:ハハハハハ。

橋爪:腐敗の問題はね、昔、国民党に対して言われていたことで、共産党は革命的規律があるから大丈夫、のはずだった。

ヴォーゲル:そう。

橋爪:そもそも共産主義だから、私有財産がない。こう、言ってたわけですね。
 ところが、社会主義市場経済になってみると、市場経済のなかには、私有財産があります。社会主義のなかには、権力があります。権力を独占しているのが中国共産党だとすると、権力を私有財産に変換できるわけです。これが、腐敗ってことですよね。

ヴォーゲル:そう。

橋爪:じゃあこれは、構造的な問題であって、取り除く方法が、私には思いつかないんですけれど。

ヴォーゲル:ですからいま、腐敗の問題は、抑えようとしているんですけれども、それは非常にむずかしい。どうにかして、腐敗をどんどん少なくさせようとすると、幹部たちは反撥する・・・・。

■組織ぐるみの腐敗
橋爪:そんなの無理だと思いますけどね。腐敗は、共産党の組織ぐるみなんだから。
 たとえば、ある市があってね、なにをやるかっていうと、じゃあ、市が持っている空き地にマンションを建てて、分譲して、みんなで儲けましょう。市有地に、市の企業がやってきて、建設して、販売して、買うのは値上がりを見越したバブルな買い手だったりなんかするわけです。
 見る間に売れた。それで利益があがると、市長がこれぐらい、副市長がこれぐらい、水道局がこれくらいって、関係者が全員でわけちゃうわけでしょ。というやり方だから、自分だけ分け前はいりませんって言ったらにらまれますから、仲良くしている証拠に、分け前をもらわないといけない。
 そういう案件がもう、毎日のようにあるわけですから、共産党の幹部はほっといてもじゃんじゃん儲かると思うんですけど、これ、誰かが有罪になったら全員有罪になってしまうわけですよね。

ヴォーゲル:はい。

橋爪:どうしようもないんじゃないですか。

ヴォーゲル:非常にむずかしいですね。どういうふうにやったらいいか。

■共産党は利権集団に
橋爪:この現象はどういうことか。中国共産党は、ひとつの社会実体ですね。

ヴォーゲル:はい。

橋爪:それは、機能を、もっているわけです。中国を発展させる。人民の生活を向上させる。経済や政治をうまくやる。その機能をになうはずなんですけど、その実、その関係者が、利権団体になっていて、自分の利益のために、中国共産党に寄生している。もし、後者の割合のほうが多くなったら、それは社会の寄生虫です。だったら、駆除する以外にないじゃないですか、まるごと。

ヴォーゲル:非常にむずかしいですね。どうしたらいいか。はっきりした道は、ないですね。


最後に習近平の今後を見てみましょう。
p248~250
■習近平は、実力者
橋爪:じゃあ、習近平。

ヴォーゲル:胡錦濤のあと、もう少し指導力のあるひとが必用だ、とみんな思った。自信のあるひと。そして、習近平は、コネがいっぱいあったんですね。

橋爪:習近平を選んだひとは誰ですか。誰かいないんですか。

ヴォーゲル:誰と誰というのは、はっきり証明できないですね。
 ただね、政治局の上の、人びとですね。年配の人びと。元政治局にいたひととか。年長者は、まだ中国では、影響力をもつでしょう。われわれが調べるかぎり、だいたいそういうことらしい。そうやって、政治局の常務委員はだいたい決まった。

橋爪:なるほど。

ヴォーゲル:習近平は、父親も改革派。彼は多少、農民のこともわかっている。地方の経験もあったし、非常に自信満々で、頭がいい。そういうひとなので、胡錦濤よりも、強いことをやれるわけですね。そもそもそういう人間を選んだのです。

橋爪:いま集団指導制と言っていいですか。それとも習近平の力が、飛び抜けて強くなっていますか。

ヴォーゲル:習近平は、わりあいに強くなった。だけどまだ、集団が決めるんですね。習近平が、今後、権力を自分の手に集めて、もう少し強い指導者として、働く可能性はあるんですけれども、ほかのひとが反対すれば、やりにくい。権力は、限られているんですね。

橋爪:あと数年すると、少し人事で入れ換えが、一部あるはずですね。

ヴォーゲル:そうそうそう。

橋爪:それから途中で、薄キ来とか周永康とかいろんなひとを抑えて行ったので、対抗するひとがあんまりいないようにも思うんですけれども。

ヴォーゲル:それはわからないですね。

橋爪:わからない?

ヴォーゲル:まだ、わからないですね。いまのところは、まだ見えないんですね。

橋爪:いまのところ、見えない。習近平が失敗して、なにか問題を起こすとすれば、いちばん大事な問題はなんでしょうね。やっぱり腐敗ですか。

ヴォーゲル:腐敗ですね。みんな、自分の将来を心配しているわけですね。みんなも腐敗をやっているのだから、という言い訳は、ちょっと通用しないでしょうね。


中国の復興のために、聡明なトウ小平は改革開放を断行したが・・・
土地が国家独占という社会主義体制下でそれを行ったことが、諸悪の根源となったようですね。そういう危険性をトウ小平は知っていたのかもしれないけど。

『トウ小平』1
『トウ小平』2
『トウ小平』3


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